羽深という人間により興味が持てる

──ビートが印象的な曲と言えば「Friday」もそうですね。すごく新鮮でした。

吉田　そう言ってもらえるとうれしいです。「Friday」は早い段階でビートが決まってたんですけど、根岸さんに初めて聴いてもらったときに「なんか違うな」って言われてサビのベースを直したんですよね。キック周りのベースフレーズをたった1カ所直すことで、曲がスッキリしたのには驚きましたね。

羽深　ベースが盛り上がるところを頭から最後に持っていっただけで、すごく踊れるような曲になったし。ライブを意識して作った「ヤングパレード」も自分たちにとって新しい曲だと思います。歌とドラムだけになるようなアレンジは今までなかったんで。最後の最後まで歌詞が出なくて、しんどかった曲ですけどね。

中神　そうだったね。

羽深　今回の「YOUNGSTER」はチームで制作してる感じが強くて、頭でっかちにならないようにみんなの意見をなるべく取り入れて、そこにスタジオの追い込みも重なって……。慣れないことをしたせいで、無気力症候群みたいになっちゃったんですよ。本当に歌詞の通りの精神状態になっちゃって。でも、ライブでみんなと歌いたいっていう思いで作り上げました。

根岸　僕は詞に関してはそんなに口を挟まないタイプなので、無理に難しい表現をしてるようなところだけ教えたりする感じだったけど。

羽深　でも、例えば「ここの接続詞は、“は”よりも“が”のほうがいい」とかそういう指摘をいただいたり。言葉によってメロディの印象が変わっちゃうとか、字数が1番と2番のサビで違いすぎるとか、歌のノリが伝わりにくくなってたところはバシッと言っていただきました。

──あと歌詞の内容が前と比べて変わりましたよね。こんなに勇ましく歌うバンドだったかなってくらい。「ハートソルジャー」なんて特にそう感じました。

根岸　本当にそう。僕もできあがって歌詞カードを見たら、「こんなにちゃんとしたこと言ってんのか！」って。以前と決定的に違うのは、サウンド以上に歌詞かもしれないね。

中神　そうですね。めちゃくちゃ変わったよね？

吉田　うん。「LITTLE CITY」や「GUILTY」も自分たちの変化がわかるし。

羽深　根幹にあるセンチメンタリズムは残ってるんだけどね。

根岸　そのセンチメンタリズムは過去音源でも感じてたんだけど、曲の主人公がどんな人間なのか、どういうところを見て何を感じているのかがハッキリ見えなかったんだよね。繊細であることしか伝わらない。今回は歌詞が具体的になったというか。「GUILTY」だと、「16番線」「新宿」っていう言葉で景色の想像ができるようになってるし、「彼はこういうときにこういう顔をして立ってるのかもしれないな」ってイメージしながら聴けると思います。羽深という人間により興味が持てると言ってもいいかな。

羽深　よかったー！ そのあたりは今回すごく悩んだので。以前は自分の嫌なところを見つめ直すことをしたくなくて、完全に空想で曲を書いて、わかる人にはわかればいいよって気持ちがあったけど、今はそうじゃない。年齢的にどんどん大人になってきたのもあって、ここに来て僕がどういう人間なのかをちゃんと自覚した上で歌を歌うべきだと思ったんです。今まで「俺の歌を聴いてくれ！」なんて考えもしなかったのにね。今回は自分のことを伝えるために、具体的な表現を増やしました。

僕らのことまだ嫌いになってないですか？

──作品が完成した今、根岸さんに改めて聞きたいこととはありますか？

羽深　えー、なんだろうなあ……。個人的にどの曲が一番好きですか？

根岸　「Friday」かもしれない。もっともレコーディングで長く接してた気がするし、ああいう曲って前作までにはなかったもんね。レコーディングの間も口ずさんじゃうサビで、僕の中ですごくポップソングなんですよ。

吉田　へー。じゃあ、次は僕が質問を。レコーディングを終えて、バンドが目に見えて変わったところってありますか？

根岸　さっきも出たけど、羽深が書く歌詞の視点だね。音に関しては、もう少し一緒にやらないとわからないかな。でも伝えるべきことは伝えたから、ライブでその成果を観たいね。

羽深　ぜひ、授業参観に来てください！ で、最後はじんじん（中神の愛称）に締めてもらおう。

中神　えー！ 今だから聞きたい質問ですよね。僕らのことまだ嫌いになってないですか？

羽深＆吉田　あはははは！（笑）

羽深　まあ、じんじんのことはきっと嫌いだよ。今日も取材に遅刻してきたし（笑）。

根岸　微妙だなあ……なんてね。嫌いになるなんて、そんなことないよ。正直心配してるよ。ライブでコケてねえかなあって（笑）。でもジョゼにはこれからも期待してますから。

ジョゼ一同　はい、ありがとうございます。がんばります！