音楽ナタリー Power Push - kz(livetune)×種村有菜

音楽家×マンガ家が語る、リズムゲーム制作裏話

世界一課金する

──MVで自分が描いたキャラクターたちが歌って踊る様子を観て、種村さんはどういう感想を持ちましたか?

種村 曲を聴いただけでも号泣したのに、音楽に合わせて踊っているのを観てさらに感動して。とにかく皆さんに早く観ていただきたいって思いました。「これが公開されたらどうなるんだろう。世間が黙ってないぞ」って、公開前に心配しちゃうくらい入れ込んでます(笑)。

kz 「3Dで観せる」っていうインパクトは、最近のゲームに絶対必要な要素だと思っているんですよ。「アイドリッシュセブン」はスマホゲームだけど、このMVに関しては据え置きのゲーム機のムービーとかに負けてない。とにかく演出が派手なんです。

種村有菜

種村 MVはモーションキャプチャを使用して、実際にダンサーさんが踊っている姿をトレースしてるんですよ。しかも1人ずつとかではなく、7人全員で同時に。だからターンするタイミングもみんな違ったりして。

kz 細かく作り込まれてるから、観返すたびに発見があるんですよね。

種村 ゲームには「MONSTER GENERATiON」以外にもたくさんの曲が収録されていて、ほかの曲もすごくいいんですよ。今はとにかく皆さんに早く聴いてもらいたいです。

──アプリのリリースが待ち遠しいと。

種村 私、もう友達に「世界一課金する」って宣言してるんです。バンナムさんにもらったギャラは全部「アイドリッシュセブン」につぎ込むことになるかもしれません(笑)。

手応えあるリズムゲーム

──ちなみにお2人は普段ゲームをするんですか?

種村 けっこうやります。RPGとかパズルゲームは好きなんですけど、実はリズムゲームってあまりやったことないんですよね。

kz 僕はもともと「BEMANI」シリーズのような音ゲーをずっとやってました。曲を作るきっかけになったのも音ゲーでしたし。ただスマホではあんまりゲームをやってなくて、始めてもある程度のところで止まっちゃうんですよね。今回の「アイドリッシュセブン」こそは続けようと思ってます。

種村 やっぱり音楽系のゲームはお上手なんですか?

kz 昔は自分でもうまいと思ってた気がするんですけど、最近のはどんどん難しくなっていて。今はもう歯が立たなくなってますね(笑)。

──すでにYouTubeではプレイ動画も公開されてますが、お2人はもうテストプレイはされたんですか?

種村 何度かやらせていただいたんですけど、ずっと1人であたふたしただけで(笑)。

kz 僕、映像は見せてもらったんですけど、まだプレイはしていないんですよ。難しかったですか?

種村 私がリズムゲームに慣れていないのもあって難しいと思いましたけど、ある程度手応えがないとゲームってすぐ飽きちゃうから。難易度は選べるみたいなので、最初は簡単なところからスタートしようと思ってます。

kz 種村さんはすでに曲を聴き込んでいるみたいだからすぐに上手になると思います。あと曲を作ってて面白いのが、リズムゲームの曲を作るときって、なんとなく自分で譜面(叩くタイミングを示す画面)をイメージしているんですけど、実際にゲームになると叩く音が想像と違うことがあって。おそらくゲームとしての操作性とかを追及してるからなんですけど、イメージとのギャップがある分、自分の曲のほうが難しく感じるときがあるんです(笑)。

アイドル育成アプリ「アイドリッシュセブン」

「アイドリッシュセブン」

8月20日に配信が開始されたスマートフォン向けアイドル育成アプリ。プレイヤーが7人のアイドルとともにアイドル界の頂点を目指す、フルボイスの本格リズムアクションゲームだ。製作はバンダイナムコオンラインが、楽曲制作はランティスが務める。スマートフォンゲームを起点とし、コミカライズ、音楽CD、アニメ映像など各種メディアでの展開が予定されている。

livetune(ライブチューン)
livetune

音楽プロデューサーのkzによるユニット。2007年9月、VOCALOID「初音ミク」を使用して制作したオリジナル楽曲「Packaged」を動画サイトに投稿し一躍注目を浴びる。2008年8月にアルバム「Re:package」でデビューした後、さまざまなアーティストの楽曲の作詞、作曲、リミックスなどを手がける人気クリエイターとして活動する。2011年12月に「Google Chrome “あなたのウェブを、はじめよう。”キャンペーン」のCMソングとしてlivetune名義の新曲「Tell Your World」を制作。YouTubeで公開されたCM映像は1週間で100万再生回数を超え、大きな話題を集めた。2013年3月には初音ミクのボーカロイド楽曲のベストアルバム「Re:Dial」を発表し、同年6月にはFukase(SEKAI NO OWARI)をボーカリストに起用したシングル「Take Your Way」をリリースした。2014年3月にはlivetune adding Yuuki Ozaki(from Galileo Galilei)名義によるニューシングル「FLAT」を発表。同年9月、鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)や原田郁子(クラムボン)など、さまざまなボーカリストとのコラボ曲を収録したアルバム「と」をリリースした。

種村有菜(タネムラアリナ)
種村有菜

1996年、りぼんオリジナル6月号(集英社)に掲載された「2番目の恋のかたち」でデビュー。1997年にはりぼんにて「イ・オ・ン」を初連載し、その後「神風怪盗ジャンヌ」が大ヒットを記録する。同作や「満月をさがして」はTVアニメ化もされた。詩的かつ印象的なセリフまわしや、こだわりのある美しい絵は、日本のみならず海外でも人気が高い。2011年にりぼんとの専属契約を終了し、フリーに。2013年にはマーガレット(集英社)で「猫と私の金曜日」を、メロディ(白泉社)では「31☆アイドリーム」をスタートさせた。


2015年8月20日更新