ナタリー PowerPush - 井手綾香

現役女子高生シンガーが伝える ピアノと歌の可能性

歌う前には必ずおにぎりを食べます

──そして今回届けられる2ndミニアルバム「Portfolio」。タイトルからして、前作の「Portrait」と地続きの作品と言えそうですね。

そうですね。ジャケットも前回のように自画像ですし、タイトルも似ていて。私の自己紹介パート1、パート2みたいな気持ちで作りました。曲を書いた時期は全部近いんですけど、「Portfolio」のほうが最近書いた曲が多いですね。

──今回は恋愛の曲が多めですよね。解禁ですか?(笑)

アハハハ。最近書いた曲が多いので、多分そのせいだと思います。私自身は特にそういう経験はしてないんですけどね。片思いぐらいしかできないので。友達とかに話を訊いてみたり、友達の様子を見たりしながら書きました。高校は友達の人数が多いので助かります(笑)。

──曲のネタは友達から仕入れるにせよ、恋愛の曲を歌うことに関してはどうです?

ああ、やっぱりレコーディングで歌うときの気持ちは全く違いますね。声質とかもちょっと変えているというか。ちょっと弱々しく、歌詞を読むというか、語るような感じで歌うようにしました。曲によって似合う歌い方っていうのは絶対にあると思うので、そのへんは気持ちによって変化させています。

──歌入れのとき、自分なりのルールってあったりするんですか?

私、よく「もうちょっと動いて歌えば」って言われるくらい、ほとんど動かないんですよ。ちょっと足でリズムを取るぐらいで、ほぼ直立(笑)。歌うことだけに集中する感じなんですよね。全部の体力を歌だけに、っていうふうにしてます。あとライブとレコーディングの前は必ずおにぎりを食べます。1個ぐらいで大丈夫なんですけど、食べると声が太く元気になって安定するから。

──それは経験から生み出したルールですか?

一回、すごいおなかすいてたときにレコーディングをして、「あれ、綾香ちゃん調子悪いね」って言われたことがあったんですよ。で、おにぎりを食べたあとにもう一回歌ったら見違えるぐらい声が出たんですね(笑)。みんなには爆笑されたんですけど、そのときからおにぎりが必要なんだなって思って食べるようにしてます。

この先も背伸びをせずにコツコツと

──今作もピアノと歌だけで全曲構成されていて、井手さんはもちろん、本間昭光さん、Dr.kyOnさん、十川ともじさん、国府弘子さん、ミトカツユキさんがそれぞれの曲でピアノを弾いています。同じピアノという楽器ですけど、曲調や弾く人によってこんなにもいろんな表情があるんだなあということが驚きでした。

私自身、すごく気に入ってます。レコーディングで実際に弾いてるところを聴いていたんですけど、ほんとに1人ひとり全く響きが違っていてビックリしました。今回は初めて女性の方が弾いてくださったんですけど、男性と女性っていうことでもだいぶ聴こえ方が違いますよね。聴いていてほんとに面白い作品になったなあって。

──これだけ多彩なピアノをバックに歌うことはいかがでした?

緊張でドキドキはしてたんですけど、ものすごく楽しくって。素晴らしいピアニストの方々とライブをしているような気分でした。ミトさんは、これほんとに10本の指で弾いてるのかなあって思っちゃうくらいのピアノだし、Dr.kyOnさんは恐ろしいくらいに響きが美しいピアノだし、すべての方の演奏に聴きほれちゃいましたね。

──井手さん自身がピアノを弾いている「こんな歌があったなら」に関しては?

いつも弾き語りでライブをしているので、それに近い感じで聴いてもらえるんじゃないかなって思います。ピアノの腕はまだまだなんですけど、声を邪魔してしまわないように自分なりにピアノのアレンジをしてみました。弾き語りではいつも同じ場所を使って弾いてしまうことが多いんですけど、今回は広く使おうと思ってやってみましたね。

──ピアノと歌という井手さんのスタイルをしっかり打ちだした作品が作れたことで、次にやってみたいことも見えたのでは?

バンドアレンジもやってみたいですよね。弾き語りだと基本的にひとりなのでちょっと心細いものがあるんですけど、バンドだとみんなで「せーの!」でやる感じがすごく楽しそうだなって。そういう憧れはあります。ほかにもいろんなことにどんどん挑戦していきたいですね。

──デビューから約5カ月が経過し、2枚のミニアルバムで自己紹介が終わりましたからね。次の一手が楽しみです。

この2枚でだいたいどんな人なのかはわかってもらえると思うので、この後はもうちょっと進化した井手綾香を聴いてもらえたらいいなって思いますね。今は学校生活という狭い世界の中で曲を作っていますけど、卒業してもっと広い場所に出れば、きっとまたそこでしか書けない曲が生まれると思うんです。私はずっと“ありのまま”っていうのをテーマにして曲を作ってきているので、この先も背伸びをせずにコツコツと今のリアルを描いていければいいですね。

ミニアルバム「Portfolio」 / 2011年8月3日発売 / 1800円(税込) / Victor Entertainment / VICL-63761

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CD収録曲
  1. 愛をつなごう
  2. 君からのメッセージ
  3. miss you
  4. 青い空
  5. まっすぐに
  6. こんな歌があったなら

BONUS TRACK

  • 雲の向こう(strings ver.)
井手綾香(いであやか)

1993年生まれのシンガーソングライター。アメリカ人でプロダンサーだった母と、福岡でバンド活動をしていた日本人の父とともに、100頭以上もの野生馬が生息する地として有名な宮崎県串間市都井で育つ。4歳からピアノを始め、2009年7月に九州限定インディーズアルバム「TOY」を発表。2011年3月にピアノと歌だけで制作されたミニアルバム「Portrait」でメジャーデビューを果たし、収録曲「雲の向こう」が「ハイチオールCプラス」のCMソングとして話題を集める。2011年8月に2ndミニアルバム「Portfolio」をリリース。現在は宮崎市内の高校に在学中。