ナタリー PowerPush - 堀江由衣

ほっちゃんが“着うたディーヴァ”に!?「ゴールデンタイム」との親密な関係

一生のうちで一番充実した「ゴールデンタイム」

──堀江さんにとっての「大学生」のイメージって……今話を聞いただけでも若干あやふやですけど(笑)、堀江さんは短大に通いながらもすぐに声優の道に進んでいるし、いわゆるキャンパスライフ的な体験はご自身にはないですよね。

そうですね。短大1年生の夏に事務所のオーディションを受けて、2年生の頃には養成所に通い始めたので。それに短大のしかも女子大だったから、どこか高校の延長みたいな感じもあって。

──堀江さんに最初にインタビューをさせてもらったとき(参照:堀江由衣「PRESENTER」インタビュー)、その時期のお話も少し伺いましたけど、中学高校は“暗黒時代”で、短大時代も幼なじみと一緒に行動してたんですよね。だから、おそらくキャンパスライフ的な青春は送ってないだろうなと(笑)。

まったくその通りです(笑)。短大だから授業もギュッと凝縮されてたし、教室も狭いところだったからいわゆる「代返」みたいなことも経験してなくて。テストの形態が違うとか図書館が豪華とか、それ以外はホントに高校の延長でしたね。

──だからそのキャンパスライフというものを、どう捉えて演じ、どう歌に落とし込んでいったのだろうなと思ったんです。

タイトルの解釈がもしかしたら竹宮先生とは違うかもしれないんですけど、私が思う「ゴールデンタイム」って、将来のことを迷ったり悩んだりしながらも、あとになって振り返ると「この頃は楽しかったよな」って思い出せる時間なんじゃないかなって。高校のときよりも自由だし、先輩は20歳を超えた成人で大人の付き合いもあったりして、しかも地方から上京してきた人とかだと1人暮らしだし、夜なんてホントに自由じゃないですか。就活とかリアルな問題を抱えつつ、でも絶対思い返したら一生のうちで一番充実した「ゴールデンタイム」だと思えるのがこの年代なんじゃないかなっていう。私はこのタイトルにそういうイメージを持ったんです。人生における雨宿りの時間というか。

──なるほど。でも堀江さんはこのモラトリアムな期間をたっぷり使うことなく、すぐに次のステップへと進んだわけですよね。そうすると、こういった人生のゴールデンタイムを謳歌している大学生をうらやましく思いますか?

うーん、でも逆に1年生の夏から進む道が決まってたぶん、自由だったのかも。ほかの子たちはそのあとから就活で大変そうだったし、そんな中ではもうちょっと気楽に過ごせていた気がします。今思い返すと、その幼なじみの親友とよーく遊んでたなーって(笑)。

香子はバラのような人

──「Golden Time」はもっとハードな音にすればEDM的な曲になるかもしれないし、「Sweet&Sweet CHERRY」はまさに着うた系というか、R&Bのような要素もありますよね。音楽的には新しいところだと思うのですが、歌のレコーディングはすんなりいきましたか?

苦労しました。「着うたっぽさ」というテーマがあったものの、全部想像なので正解がわからないんですよ(笑)。自分の中でもジャッジができなくて「これでいいような気もするし……」みたいな(笑)。迷い迷い歌ってましたね。

──空想の着うたディーヴァ像を描きながら(笑)。でもそういうイメージで作っているというだけで、正解はないですからね。

受け取る側の自由ですし、着うたでもいいですけど、CDもおすすめです(笑)。

──CDのジャケットはデザインが公開された段階で大きな話題になりました(参照:堀江由衣、真っ赤なバラに囲まれた「Golden Time」ジャケ)。赤いバラはアニメの第1話にも印象的な形で登場しますけど、アートワークのイメージはやはりそこから?

そうですね。そこがまず最初の、主人公の万里くんが持つ香子のセンセーショナルなイメージというか、物語はそこから始まっていくので。それに原作を読んだ印象で、香子はバラのような人だなって思ったんです。ディレクターさんの親戚がお花屋さんをやられているそうで安く購入できますけど?っていう裏事情もあったりして(笑)。

──衣装もバラをイメージして。

はい。スタイリストさんが手作りしてくださって、スカートがバラの花びらのように分かれていたりして、しかも座るときれいに見えるんです。こういうシンプルに赤と白、みたいなジャケットって今まであまりなくて。いつもわりとデコレーションというか……なんて言うんだっけ、あの、いろいろ貼って、デザイン的にアレする……。

──コラージュですかね。

それです! あはは(笑)。今までコラージュが得意な方にデザインをお願いすることが多くて、私もコラージュというかデコっていくのが好きなので、そういう空間を埋めてくデザインが多かったんですけど。この抜け感は自分の中ではちょっと新鮮ですね。

風船NGなんですよ

──一方ビデオクリップは、ジャケットとはまた違ったイメージになりましたね。

はい。こちらはパーティナイト的なイメージで。「ゴールデンタイム」ってコンパのシーンがすごく多いから、パーティみたいな雰囲気にしたかったんです。

──風船を持ってはしゃいだり、ここまでストレートに楽しそうな大学生のパーティ感があると、ちょっとイラッと来ますね(笑)。

そういう意見も多いですね。このリア充め!みたいな(笑)。あと私、風船NGなんですよ。

──風船NG?

私、割れる風船がホントに苦手で。だから割れない風船をどうにか探してきてもらったんです。穴が開いてもパーン!じゃなく、ぷしゅーっとなりそうな。パンパンの風船はNGなんです(笑)。音が怖いから、割れるんじゃないかってハラハラしちゃって撮影にならないので。

──風船以外のNGはあるんですか?

なんだろう、虫かなあ。あと私爆弾NGです。

──爆弾は大体の人がNGですよ(笑)。ハラハラするものがダメなんですか?

そうなんです。苦手みたいで。前作の「夏の約束」の撮影は虫がいっぱいで、すっごい大変だったんですよ。夜の撮影で明るいライトをつけたら、尋常じゃない数の蛾が集まっちゃって……。

ニューシングル「Golden Time」/ 2013年11月13日発売 / スターチャイルド
初回限定盤[CD+DVD] 1890円 / KICM-91477
通常盤[CD] 1200円 / KICM-1477
収録曲
  1. Golden Time
  2. Sweet&Sweet CHERRY
  3. Golden Time(off vocal ver.)
  4. Sweet&Sweet CHERRY(off vocal ver.)
初回限定盤DVD 収録内容
  • 「Golden Time」MUSIC CLIP
堀江由衣(ほりえゆい)
堀江由衣

東京都出身の声優アーティスト。1997年に声優としてのキャリアをスタートさせた後、1998年に歌手デビュー。「ほっちゃん」の愛称で親しまれ、永遠の少女然とした自身のキャラクターと重なるオリジナル音楽作品をコンスタントに発表している。アニメやゲームのキャラクターソングも数多く手がけ、2005~2007年には声優ユニット「Aice5」としても活躍。2009年9月には声優として歴代4人目となる日本武道館公演を2日間にわたって行い、大成功に収めた。2012年2月には8thアルバム「秘密」を発表。オリコン週間ランキングで3位を獲得した。2013年3月には千葉・幕張メッセイベントホールにて「堀江由衣ベストライブ~由衣と時間泥棒~」「堀江由衣をめぐる冒険IV ~パイレーツ・オブ・ユイ 3013~」と内容の異なる2本のライブを開催。9月20日には「堀江由衣ベストライブ~由衣と時間泥棒~」が、12月25日には「堀江由衣をめぐる冒険IV ~パイレーツ・オブ・ユイ 3013~」がDVD / Blu-rayとなってリリースされる。また11月には約1年4カ月ぶりのニューシングル「Golden Time」を発表した。