音楽ナタリー PowerPush - GLAY

「MUSIC LIFE」特集

TAKUROインタビュー

紆余曲折がないと物語は奏でられない

──ちなみにレコーディング中の亀田さんってどんな感じなんですか?

現場の雰囲気を最高によくしてくれましたね。いいテイクが録れたらメンバー以上に喜んでくれて、スタジオの中で踊りだしたり。「これはいいのが録れたね」って言われるのがうれしくて、もっとがんばっちゃったり。「MUSIC LIFE」のプロジェクトリーダーとして、高い目標と高いモチベーションを与えてくれましたね。

──TAKUROさんは今作にはエグゼクティブプロデューサーとして名を連ねてますよね。亀田さんとの仕事の“すみ分け”はあったんでしょうか?

TAKURO

サウンドプロデューサーが最高の仕事ができる環境を作るのが俺の仕事だと思ってやってます。例えば最高の音を録るにはこのスタジオじゃなきゃいけないのに資金面で難しいとか、ブッキングできませんってことがないように動くのが僕の仕事なんで。だけどスタジオに入ってしまえば、いちギタリストとして日々楽しく弾く感じでした。

──制作中に意見の食い違いが出たりは?

現場にリーダー2人はいらないので、意見が分かれたら従います。僕はスタジオではギターパートしか頭にないけど、亀田さんはミックスのその先までわかってるので。

──サウンド面で全幅の信頼を置いていたと。

ええ。これまでの僕らのスタイルを押し付けるんじゃ、一緒に作る理由がないですから。細かい食い違いはありましたけど、お互いそれを飲み込む器があるだけの大人なんでね。それに亀田さんはプロジェクトリーダーとして「あの山を目指そう」って指揮をとって、GLAYを引っ張ってくれるわけですから、彼のアイデアが120%実現できるように僕らも役割を変更していくわけです。亀田さんもそれに気付いてるから、僕らのことを信頼してくれて。いくつかやり方があったとしても、全員が1つひとつ確認して「間違いない」って“ハンコ”を押しながらやっていく。そうするといろんなエピソードが増えて、現場の雰囲気もよくなるし、それが音にも出る。音楽って知識だけで作ることはできますけど、紆余曲折がないと物語としてちゃんと歌ったり、奏でたりすることはできない。正しい道をただ行ってるだけだったら、一番早いんだけど、たいした物語もエピソードもなく真実味を帯びないというか。

──バックグラウンドや、共有したエピソードが音楽に影響を与えると。

そうですね。GLAYのライブでいつも実感するんですけど、TERUが歌い終わったあとに乗るギターリフは、HISASHIが弾かなきゃいけない。無名のギタリストじゃだめなんです。彼らは高校時代からの盟友で、これまで一緒にやってきたという物語が曲を一層強くするというか。「EXPO」で「SAY YOUR DREAM」っていう曲をやったんだけど、「彼女や親や誰よりも互い助け合いよくここまで来れたな……」っていう歌詞はGLAYの20年以上の歴史がないとただの活字ですからね。それは今年デビューしたバンドが歌っても説得力はない。

──ちなみに亀田さんがアルバム制作で目指していた“山”って具体的にはどんなものだったんですか?

「GLAYは歴史があるし、いろいろやってきたけど、今、その過去はいらないんじゃない? だって今みんな楽しそうだもん。それを音に封じ込めようよ」って。それが目標だったんじゃないかな。過去にこういう曲があったからやるとかやらないとかでもなく、「またこれをやるのか」でもなく……。亀田さんは過去の曲と比較することなく、純粋に曲を選んでくれたし。

──まっさらな感覚でGLAYに向き合ってくれたと。

そうですね。今の僕らの顔を見て、目を見て、心を読んでの目標設定だったと思う。マラソンでリードするバイクじゃないけど、彼が先導することでよりGLAYの20周年が加速できた。

「TAKUROに誘ってもらってよかった」のひと言のために

──「MUSIC LIFE」というタイトルはどなたが付けたんですか?

僕ですね。タイトル曲にもなってるJIROの曲の歌詞が、何回書いてもしっくりこなくて。悩んでるときに今年20周年ってことでいろんなところでデビューの頃の話とか、デビュー前の話をしていたのを思い出したんです。で、JIROが加入した93年の10月からデビューするまでの約半年、本当にあがいてもがいてたなあと。その一方で若さ故の根拠のない自信とか、首が折れるくらい上を見てる感じとかもあって。そういうことを歌詞にしようと思ったときに、タイトルは今までの自分たちを総括したような言葉がいいなと。僕らは高校時代からの仲間だけど、やっぱり音楽やGLAYがなければここまでつながってなかっただろうしね。20代後半になって、それぞれが自分の人生の指針を考えたときにバンドって解散することが多いけど、それでもTERUもHISASHIもJIROもGLAYを選んでくれたわけだし。2000年の初めにジュディマリをはじめ、仲間のバンドがどんどん壊れていく中で、自分たちの我を飲み込んでもGLAYを続けたいって言ってくれたみんなには本当に感謝してます。

──私はこのアルバムはGLAYの宣誓なのかなと思いました。

そうかもしれませんね。僕は常々きれいごとを歌えなくなったら、音楽をやめたほうがいいと思ってるんです。「愛は素晴らしい、愛がすべてだ」って言わないと人ってふんばれないから。その反面、音楽なんて有事の前では何の力もないっていうのが、この年齢になればわかるわけです。それでも自分たちが音楽をやる理由は、お金とか名誉ではなくて、心の底から湧き上がってくる思いを表現するためなんですよね。消去法になっちゃうけど。でも、僕らはなんでもできるってわけでもないけど、なんにもできないわけでもない。それとほかの何者にもなれないけど、GLAYのプロであろうとは思ってる。HISASHIの言葉だけど、僕らはミュージシャンとしてトップか一流かどうかはわからないけど、“GLAYのプロ”“一流のGLAY”であることは間違いないんです。僕らにとっての「MUSIC LIFE」=「GLAY LIFE」というか。

──そんなGLAYにゴールはあるんでしょうか?

僕個人になっちゃうんですが、なんらかの理由で誰かがやめたいって言ったときや、病気なんかでGLAYを離れるってなったときに「TAKUROにGLAYに誘ってもらってよかった」って言ってもらえることのみがゴールというか。そのために自分ができることをすべてやるだけですね。10年前にTERUが東京ドームで、「また10年後に戻ってくるから」って言ってたけど「おいおい! 10年間東京ドームでやる体力をバンドが持ち続けるってどんなことなのかわかってるのかな?」って思ったんです(笑)。でも、彼が言うからには自分ができることをやっていこうと。あとTERUが「稚内にまた戻ってくるからな」って言ったらそれをするためにどうすべきか考えるのがほかのメンバーやスタッフの仕事で。TERUの言葉のおかげで、僕だけでは観られなかった景色が観られるのならなんの悔いもないですよ。

──最後になりますが、何か言い残したことがあれば。

実は今回のアルバムに関して、後悔してることが1つだけあって……。

──なんですか?

「BLEEZE」「祭りのあと」「疾走れ!ミライ」とか夏を感じられる曲が入ったアルバムなのに、11月にリリースされたところですね(笑)。夏に東北ツアーを回ってるときに聴きながら、「出すなら今だよなあ」と思ったんです。でも長く愛されるアルバムになるように奏でていきたいと思います。

TAKURO
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TAKUROインタビュー
「MUSIC LIFE」参加ドラマーインタビュー
ニューアルバム「MUSIC LIFE」 / 2014年11月5日発売
「MUSIC LIFE」
2CD豪華盤 BALLADE BEST☆MELODIES / 3996円 / ポニーキャニオン / PCCN-00017
2CD豪華盤(G-DIRECT限定)BALLADE BEST☆MEMORIES / 3996円 / loversoul music & associates / LSCD-0018
1CD盤 / 2700円 / ポニーキャニオン / PCCN-00018
CD収録曲
  1. BLEEZE(Album Ver.)
    [作詞・作曲:TERU / ドラム:永井利光]
  2. 百花繚乱
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:松下敦]
  3. Only Yesterday
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:村石雅行]
  4. 疾走れ!ミライ
    [作詞・作曲:TERU / ドラム:永井利光]
  5. 祭りのあと
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:永井利光]
  6. 浮気なKISS ME GIRL
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:高橋まこと]
  7. 妄想コレクター
    [作詞・作曲:HISASHI / ドラム:永井利光]
  8. Hospital pm9
    [作詞・作曲:TAKURO]
  9. DARK RIVER
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:村石雅行]
  10. TILL KINGDOM COME
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:中村達也]
  11. MUSIC LIFE
    [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO / ドラム:永井利光]
GLAY(グレイ)

函館出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催。この人数は単独の有料公演としては、日本のみならず全世界での史上最多動員記録となっている。その後も数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」を設立。メジャーデビュー20周年を迎えた2014年9月20日には、宮城で大型ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」を敢行した。同年11月5日、1年10カ月ぶりとなるオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリース。


2014年11月26日更新