ソロインタビュー メイリア編

「25人の主要キャラ全員の気持ちに即した歌詞を」というムチャ振り

──ニューシングルの表題曲「Désir」はアニメ「Fate/Apocrypha」とのタイアップですが、メイリアさんはどんなお気持ちで制作に臨まれました?

まず、ずっと「主題歌を歌えたらいいな」と思っていたシリーズなので、「やっと来たか!」ってすごくうれしい気持ちがあり、その一方で、やっぱり人気の作品ですからプレッシャーみたいなものも少なからず感じていましたね。でも、作ってる最中は特に気負いはなくて、むしろできあがってから「どう聴いてもらえるんだろう?」って。

──では、その過程における作詞は順調に? tokuさんは、メイリアさんの歌詞がかなり早く仕上がったとおっしゃっていましたが。

それがですね、普段と変わらず脚本をしっかり読み込んで、この世界観にどう寄り添っていくかを考えて書いたんですけど、なにしろ「Fate/Apocrypha」は登場人物がたくさんいるんですよね。で、アニメの制作スタッフの方から「みんなが主役級の立ち位置だから、誰か1人にフォーカスするのではなくて、みんなの気持ちに即したような内容にしてほしい」と言われまして。

──「Fate/Apocrypha」では赤と黒の陣営に分かれて「万能の願望機」である聖杯を奪い合う「聖杯大戦」が行われるわけですが、両陣営にサーヴァントがいて、赤のマスター、黒のマスター、ルーラーとホムンクルスの少年が加わって合計25人。その全員に当てはまる歌詞って、なかなかのムチャ振りですね。

だから最初は「25人分もどうしたらいいの!?」って思ったんですけど、まず、彼ら全員がなんらかの「願い」を叶えるために戦っているので、テーマはすぐに決まったんです。そのうえで、アニメの主題歌であることはいったん忘れて、私たちの曲を聴いてくれるみんなの願いに寄り添える詞を書こうと。それを軸に、脚本のあとに原作も読ませていただいたので、作中でメインキャラが言っている印象的なセリフをピックアップして、それらをパズルみたいに組み立てていくという作業をしました。

──サビで繰り返される「願い」には、ちょっとした仕掛けがありますよね?

そうなんです。これは歌詞カードを見てもらわないとわからないんですけど、1番だったら「未来(願い)」「希望(願い)」、2番だったら「自由(願い)」「夢(願い)」というふうに、当て字みたいにして、異なる漢字を全部「願い」って読んで歌ってるんです。そうすることで、それぞれのキャラの願いを表そうと思って。

──あるキャラクターは未来を願い、別のキャラクターは希望を願っていると。

はい。なので、原作ファンの方からすると、「この願いはあのキャラのだな」って想像してもらえるような内容になっています。

今までのガルニデっぽさを壊せるアレンジになった

──tokuさんの作曲について、最初にデモを聴いたときの印象は?

「『Fate』っぽいなー」って思いました。「キャラが動いてる場面、浮かぶなー」って。だからあらかじめ自分の中で決めていた詞のテーマともすんなりリンクして、書きやすかったですね。特にサビのメロディがすごく印象的だったので、ここは同じ言葉を当てようと最初に決めて、そこから書き始めて。サビの歌詞は、tokuさんのメロディにかなり引っ張ってもらいましたね。

──ボーカル録りはいかがでした?

意外と大変じゃなかったです。もともとミディアムテンポの曲は好きだったし、エモーショナルに歌い上げる感じの曲は得意ジャンルなので。自分としては、ゴリゴリの速い曲よりも思い切り歌えたかなって。特にDメロを歌うときがめっちゃ気持ちよくて。テンションも上がるし「よくこんなDメロ思いついたね?」って言ってたくらい、すごいドラマチックな、今までの私たちにありそうでなかった展開を見せるので、新鮮でした。

──tokuさんによる、「Fate」感を出すべくデジタル要素は控えめにしたという、今までとは異なるアレンジの方向性に関して、例えば違和感みたいなものは?

ないです。いい意味で、今までのガルニデっぽさを壊せるようなアレンジになったのかなと。やっぱりガルニデのシングル曲って言うと、「速い! 激しい! 派手!」みたいなイメージがけっこう定着している気がするので、そういうのを期待するファンの方からすると意外に思われるかもしれません。でも、曲を作る前に「どういう曲にしよっか?」みたいな打ち合わせはtokuさんとかなり綿密にしていて。つまりちょっとオリエンタルな色も差し込みつつ、「Fate」の世界観を表現すべくストリングスに重きを置き、そして何より歌を引き立たせるっていう、当初の狙い通りのことができてるんですね。

──これはGARNiDELiAとして正しい変化、ないし進歩であると。

思います。むしろ、私たちはインディーズ時代はこういうミディアムテンポの曲だったりバラードだったり、壮大な曲を作り続けてきていて、それが今までのシングルで打ち出してきた「マイナーアップテンポのデジタルロック」っていうスタイルの土台になってるんですね。今回、その土台の部分をシングル表題曲として、かつ今の私たちの歌としてみんなに聴いてもらえる機会を得られた。それが一番うれしいですね。

「願い」つながりでカップリングに入れられた超つらいフィクション

──続いてカップリングの「ワスレナグサ」は、tokuさん曰く「5年くらい前に作った曲」とのことでしたが。

「ワスレナグサ」は、タイアップも何も意識せずに作った曲なんです。つまり、何かの主題歌にしてもらう場合、ワンコーラスを89秒サイズに収めなきゃいけないんですけど、もともとこの曲は私が鼻歌で「ふんふーん」って歌ったメロディにtokuさんがコードを付けてできた曲なので、サイズ感がぜんぜん合わないんですよ。だからタイアップ向けではないけど、気に入ってる曲だからどこか大事なタイミングで出したいなと思ってるうちに5年も経っちゃって。

──それをこのタイミングで出せた理由は?

今回、「Désir」のテーマを「願い」に設定したというのもあって、このシングル1枚を通して「願い」をキーワードに曲を作っていこうってtokuさんと決めたんです。で、この「ワスレナグサ」はちょうど失ったものに対する願いを書いた曲だったので、「カップリングに入れるのどう?」って持ちかけて、ようやく日の目を見たっていう。当時のライブではよく歌ってた曲でもあるし、アレンジも大きくは変えていないので、昔からのファンの人たちはたぶんびっくりするというか、「この曲、今出すんだ?」「懐かしい!」って思ってくれるんじゃないかなって。

──その歌詞の内容は、「Cry」(2ndアルバム「Violet Cry」リード曲)ばりに絶望的で、悲痛ですよね。

何があったんでしょうね、このとき(笑)。まあ、当時はメジャーデビューの1年くらい前で、けっこういろいろなチャレンジをしている時期だったんですよね。私が作ったメロディにtokuさんがコードを付けるというのもその一環でしたし。で、この曲はタイアップを意識してないって言いましたけど、歌詞に関しては、映画なりドラマなりの主題歌のつもりで書いてみようっていうチャレンジをしたんですよ。なので、自分の中から出てきた言葉っていうよりは……。

──フィクション?

そう。ものすごい大事なものを失っちゃった人が主人公の、超つらいフィクションを思い浮かべて書きました。

GARNiDELiA「Désir」
2017年8月23日発売 / SACRA MUSIC
GARNiDELiA「Désir」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / VVCL-1101~2

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GARNiDELiA「Désir」通常盤

通常盤 [CD]
1296円 / VVCL-1103

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GARNiDELiA「Désir」期間生産限定盤

期間生産限定盤 [CD+DVD]
1620円 / VVCL-1104~5

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©東出祐一郎・TYPE-MOON / FAPC
初回限定盤 / 通常盤CD収録曲
  1. Désir
  2. ワスレナグサ
  3. Special Girl
  4. Désir -instrumental-
期間生産限定盤CD収録曲
  1. Désir
  2. ワスレナグサ
  3. Special Girl
  4. Désir -instrumental-
  5. Désir TV Size ver.
初回限定盤DVD収録内容
  1. Désir Music Video
  2. LIFE (stellacage TOUR 2017 ~Cry Out~@ DIFFER ARIAKE)
  3. BAD BOY -GARNiDELiA vs HEAVYGRINDER- (stellacage TOUR 2017 ~Cry Out~@ DIFFER ARIAKE)
  4. 約束 -Promise code-(stellacage TOUR 2017 ~Cry Out~@ DIFFER ARIAKE)
期間生産限定盤DVD収録内容
  1. TVアニメ「Fate/Apocrypha」エンディングノンクレジットムービー
GARNiDELiA stellacage Asia Tour 2017
  • 2017年10月1日(日)東京都 Zepp Tokyo
  • 2017年10月14日(土)台湾 台北 花漾Hana展演空間

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GARNiDELiA(ガルニデリア)
GARNiDELiA
モデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、様々なアーティストに楽曲提供を行っているtoku(Key, Compose)からなるユニット。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューする。その後も数多くのアニメソングのテーマ曲を手がけ、2015年1月にメジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、8月にはインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「BiRTHiA」を発表した。2016年8月に表題曲がアニメ「クオリディア・コード」のエンディングテーマに採用されたシングル「約束 -Promise code-」、12月に2ndフルアルバム「Violet Cry」をリリース。2017年6月に映画「劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女」の主題歌「SPEED STAR」を、8月にアニメ「Fate/Apocrypha」のエンディングテーマ「Désir」をシングルとして発表する。海外での活動も活発で、2017年5月には中国・上海で単独公演を行った。秋には「GARNiDELiA stellacage Asia Tour 2017」と題し、10月1日の東京・Zepp Tokyo公演を皮切りにアジアツアーを行う。