細かいことをやっても、ライブだとよくわかんないし

──カップリング1曲目「Diamond」はEDM的なダンスナンバーですが、GARNiDELiAとしてこの手のサウンドを完全にモノにした感があるというか……。

メイリア＆toku　おおー。

──これもガルニデらしい1曲だなと、素直に思いました。

メイリア　めっちゃめちゃうれしいです。

toku　うん。ガルニデとしてのダンス曲の器みたいなものがしっかり見えてきたというか……。例えば1stアルバムの「Linkage Ring」以降こういう音色ってけっこう使ってたりはするんですけど、それが一番合うのはこのラインなんじゃないかなって気はしてますね。

メイリア　「Violet Cry」を作ってから、けっこうゴリゴリなダンス曲もいける感じになったんですよね。「EXXXTASY」にしても「BAD BOY」にしても、「ダンスはもうダンス！」って振り切っちゃっていいのかなって。

toku　なんか、あんまり細かいことをやっても、ライブだとよくわかんないし（笑）。

──細かいことやるのお好きそうなのに（笑）。

toku　好きなんですけど、表題曲で十分やったし、それはそれとして、ライブではシンプルな動きを軸にした曲のほうがよりお客さんに響くだろうとは思っていて。

──「EXXXTASY」や「BAD BOY」はビルドアップでアゲていく感じなんですけど、「Diamond」はより直線的というか、ブリブリのベースとノイジーなリードの反復でゴリ押していく感じ。かつ、トライバルなパーカッションがめちゃめちゃ聴き手を煽ってきますね。

toku　僕は昔、Nine Inch Nailsとかインダストリアル系がすごく好きだったんですよ。それを最近になって思い出して。「あ、これ忘れてたやつだ」みたいな（笑）。

──なるほど。音はダンスなのに、フィーリングがロックっぽいと思ったのですが、それが理由なんですね。とは言え、間奏であんなコテコテにロックなギターソロを突っ込んでくるとは……。

メイリア　確かに、ダンス曲なのに（笑）。そこがtokuさんの不思議なとこ。

toku　ある意味、わかりやすいかなって（笑）。

メイリア　でも、ライブが思い浮かびますよね。ガルニデのライブはダンサーもバンドもいるから、ダンス曲でもちゃんとバンドが演奏してるみたいな。

「ヒマじゃない」ときに書いた歌詞

──前回のインタビューで、メイリアさんは「ダンスナンバーはサウンドに引っ張られて歌詞が強気になる」とおっしゃいましたが、「Diamond」の歌詞もその例に漏れず、お強い。

メイリア　ホントにね、自分でも「なぜなの？」っていう感じなんですけど。ちょうど歌詞を書いてたとき、スケジュールがカツカツで「うわー！」ってなってたのも影響してるのかもしれませんね。

toku　「ヒマじゃない」って書いてるしね。

メイリア　あはは！（笑） そうだね、苛立ちが込められちゃったのかな。

──その苛立ちの原因として「挑発的なbad attitude」や「高圧的なwords shower」といったものを挙げられています。

メイリア　それこそ私たちが生きるネット社会ではね、やっぱり「好き勝手言いやがって！」とか「何も知らないくせになんなの！」みたいに感じることも少なくないので。それでも、私はダイヤモンドのように硬い意志で自分のやりたいことを貫いてみせますよと。だからメッセージとしては「SPEED STAR」と一緒というか、このシングルに関しては「信念を貫く」っていうテーマで詞を書いてるので、引き続き「自分は負けないぞ」ということをですね、強く歌っていきたいなと思っております。

メイリアは実はそこまで強くないことを知ってほしい

──そしてカップリング2曲目の「Angel's ladder」なんですが、この曲、超カッコいいですよね。

メイリア　わー、やった。うれしい。

toku　ありがとうございます。

──イントロのギターリフが一瞬オルタナっぽく聴こえるんですけど、それはホントに一瞬で、次の瞬間ちょっとにじんだような浮遊感のあるシンセのフレーズが被さって。そこにメイリアさんのボーカルが乗って、全体としてR&Bテイストのあるメロウな曲に仕上がっているという。

toku　あのギターリフって、どのジャンルの曲にもつなげられるんですよね。でも、ガルニデとしてはこういう方向にしたいっていうのを1つテーマにしてやりたかったんです。ずっと同じコード進行で続く曲っていうのも、今まであんまりなかったし。

メイリア　そうだね、動かないやつ。これずっとやりたかったんだよね。

──やったほうがいいと思います。作詞に関しては、「SPEED STAR」と「Diamond」はわりと抽象度の高い歌詞だったのですが、「Angel's ladder」は「電車の窓」や「知らない駅のホーム」といった、より具体的で日常的な言葉選びをなさっていますね。

メイリア　最初にtokuさんに歌詞を見てもらったとき「もっと具体的なほうがいいんじゃない？」って言われたんですよね。そこから、例えば学生時代に電車に揺られて通学していたときなんかを思い出したりして。毎日同じ道を歩いて、同じ時間の電車に乗って、そうやってルーティンを繰り返してる日々の中で「自分はどこに行くんだろう？」みたいな気持ちになってたし、今でもたまにそう感じることがあるんですよ。そういう漠然とした不安や窮屈さを解きほぐすような、「僕が僕であること」を取り戻す曲にしたいなと思って書きました。

──言葉選びと共に、主人公の心持ちも前2曲と対照的ですよね。つまり、「Angel's ladder」では弱さを見せています。

メイリア　1、2曲目がだいぶ強いので、この3曲目で「これがホントの私だよ」って伝わったらいいなと（笑）。実は、普段はけっこう弱気なんです。