初音ミク10周年特集|藤田咲×下田麻美インタビュー “ボカロの中の人たち”が手に入れた人生の大切な宝物

初音ミクの10年 ~彼女が見せた新しい景色~

「これがミクが歩んできた歴史なんだ」って泣いてしまった

──直近のイベントだと、今年11月に大阪、東京で開催される「初音ミクシンフォニー2017」があります。こちらも、クリエイターのパソコンから生まれた音楽を、大きなホールで、オーケストラで演奏するというチャレンジングな企画です。

下田 私は去年の「初音ミクシンフォニー」にゲストとして参加させていただいたのですが、自分が出演する以外のところは全部、客席で観させていただきました。オーケストラを観るのが初めてというお客さんが多いので、緊張感がスゴいんですよ(笑)。でも、息がピタリとあったオーケストラに圧倒されて、「音楽というものを捉え直した」なんて人もいると思うんです。その中で、最後のほうで「ぽっぴっぽー」(ラマーズP)が流れたときに、自然と手拍子が起こって、みんなで弾けて。本当に楽しかったですし、さらにパワーアップしていそうな今年が楽しみですね。

左から藤田咲、下田麻美。

藤田 普段はなかなかオーケストラを聴ける機会がないし、敷居が高いイメージもあると思うんです。でも、実際に生で聴くと、パソコンから流れてくる音と、丸みが全然違うんですよ。自分が好きで親しんでいる音楽をオーケストラが演奏してくれるのは、本当に素晴らしいです。ミクやリン・レンがもっと活躍の場を広げて、いろんな世界に案内してくれるといいですね。

──改めてこの10年を振り返っていただき、藤田さんにとって初音ミク、下田さんにとって鏡音リン・レンからご自身が受けた影響、得られたものがあれば聞かせてください。

藤田 私は人の縁をもらいました。いろんな方々と出会うことができましたし、Pさんとお話しすると、ありがたいことに「ミクに出会って人生が変わりました」なんて言っていただけて。ミクを通じて生まれたクリエイター同士の縁もたくさんありますし、自分が人の縁を結ぶことに力添えできたというのは、本当に稀有な経験をさせてもらったと思います。それが人生の宝物になっていますね。

下田 ミクちゃんのあの歌みたいだね、「Tell Your World」(kz)。

──「君に伝えたい言葉 君に届けたい音が いくつもの線は円になって 全て繋げてく どこにだって」という歌詞は、確かにVocaloidが起こしてきたムーブメントを象徴しているように思います。

藤田 10周年ライブのオープニング映像が、1本の線から始まって、それがミクの形になっていく、という演出だったんです。それを観て、私は泣いてしまって。「まさに、これがミクが歩んできた歴史なんだ」と思いました。

下田麻美

──下田さんはどうでしょうか。

下田 咲ちゃんの言葉が素晴らしすぎたので、それ以上のコメントはできません、ということを前提に(笑)。変化や影響は多すぎて簡潔に語ることはできないんですけど、やっぱり私も人生を変えてもらったと思います。鏡音を通じて私を好きになってくれた人もたくさんいて、そういうご縁の広がりもそうですし、本当に未知の世界に連れて行ってくれるんです。どんな未来が待っているのかな、という希望を常に与え続けてくれるし、多くの人たちがそういう思いを共有していると思うだけで、胸がいっぱいになると言うか。一番大きいのは、咲ちゃんをはじめ、素敵な人たちとこうやって仲良くなれたことかな(笑)。

家族の絆になるような存在になってくれたら

──最後に、これから何十年でも、初音ミクや鏡音リン・レンは歌い続けると思います。次の10年に向けて、どんな存在になっていくと思いますか?

藤田 1つ思うのは、世代を超えて、例えば親子、もっと言えば孫の代も含めて一緒に応援できるコンテンツになっていくんじゃないかなって。親から子へ、同じくミクが歌っている好きな曲を紹介して、子供も違和感なくその歌を聴けるなんて、なかなかないことですよね。そうやって同じものを応援するということが、家族の絆になっていく。そんな存在になってくれたらいいなって思います。素敵な楽曲を書くPさんがたくさんいるし、Vocaloidは最初からいろいろなジャンルの曲を歌うことが許されているから、実際のアーティストのように「昔のほうがよかった」なんて言われることもないですから(笑)。そういう意味で、強いアーティストだと思います。

下田 またも超えられないコメントを!(笑) ミクちゃんは日本だけでなく、海外にも本当にたくさんのファンがいて、世界中で同じものに感動して、それがすごい速度で広まっていくというエネルギーがありますよね。初音ミクの可能性って、もう音楽だけにとどまっていないんです。今後10年、私たちの想像を簡単に超えて、どんどん活躍の場を広げていってくれるでしょうし、そうして誰かの元気になったり、助けになったりしていく。歌声自体は音声データで、本来は無機質なものかもしれません。でも、そこでつながっている人たちにはみんなハートがあって、つながりあうことができる。その結果の10年を、今後みんなで一緒に見つけていけたらいいと思いますし、みんなにとって希望の10年でありますように、と願っています!

左から藤田咲、下田麻美。
左から初音ミク、鏡音リン・レン。ill. by iXIima © CFM

ill. by iXIima © CFM

初音ミクシンフォニー2017
初音ミクシンフォニー2017

ill. by KEI @ CFM

2017年11月17日(金)大阪府 フェスティバルホール

出演者大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:栗田博文
司会:初音ミク / and more

2017年11月29日(水)東京都 東京国際フォーラム ホールA

出演者東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:栗田博文
司会:初音ミク / and more

スペシャルシートオリジナルグッズ
オリジナルデザインチケット / オフィシャルパンフレット / オリジナルTシャツ(Illustration:寺田てら) / オリジナルラバーストラップ(Illustration:iXima)/ オリジナルクリアファイル / オリジナル不織布バッグ

スペシャルシートオリジナルグッズ

スペシャルシート(限定グッズ&パンフレット付き):14800円

S席:9000円

A席:8000円

チケット好評発売中

藤田咲(フジタサキ)
10月19日生まれ、東京都出身のアーツビジョン所属の声優。2007年8月に発売されたVocaloid、初音ミクのキャラクターボイスを担当する。代表作として「WORKING!!」の伊波まひる、「進撃の巨人」のユミル、「ゆるゆり」の杉浦綾乃、「艦隊これくしょん -艦これ-」の赤城、「キラキラ☆プリキュアアラモード」のキュアマカロン(琴爪ゆかり)などを演じている。
下田麻美(シモダアサミ)
1月30日生まれ、鳥取出身のアーツビジョン所属の声優。2005年にアーケードゲーム「THE IDOLM@STER」の双海亜美・双海真美役で声優としてデビューし、2007年12月に発売されたVocaloid、鏡音リン・レンのキャラクターボイスを担当する。代表作として「IS 〈インフィニット・ストラトス〉」の凰鈴音、「生徒会役員共」の津田コトミ、「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」の猿渡銀兵衛春臣などを演じている。