僕は音楽をやるために生きている

──アルバムの終盤に入っている「sing」「カタチ」「卒業」は、「LIFE」という作品のテーマを強く反映した楽曲ですね。

山内　そうですね。3曲ともアルバムの制作を始めて、最初のほうにできた曲なんですよ。まず「sing」は「おまえはなんで歌ってるんだ？」ということを書いてみようと思って。歌詞というよりも、自分の気持ちをメモする感じだったんですけどね、最初は。拙くてもいいし、韻も踏んでなくていいから、とにかく自分の気持ちを文章にしてみよう、と。

──“なぜ歌ってるか？”という問いに対する答えは見つかりましたか？

山内　いや、見つからないですね。音楽をやってる理由はあるんですよ。やっぱり大好きだし、音楽に救われてきましたからね。人がやってる音楽にも救われるし、自分が作った曲に救われることもあるし。今回のレコーディングでも「音楽がないとダメだな」ってずっと思いながら作っていたので。「なぜ生きてるか？」に対する答えは人によって違うだろうけど、僕は音楽をやるために生きてるんだなって思いますね。

──「LIFE」というアルバムの制作を通して、ものすごく根本的なことに向き合ったわけですね。

山内　そうですね。「カタチ」は愛がテーマなんですよ。愛のカタチが目に見えたほうがいいんじゃないか、ということを考えて……。

──最後の「卒業」は？

山内　「悟れる日が来るんだろうか？」という問いかけですね。そういう境地にたどり着けないからこそ、別れの寂しさとか出会いの喜びを感じられるのかもしれないし。人との関係のなかで変わっていくことも、素敵だと思うんですよ。そうやって肯定するような曲も、このアルバムには多いんじゃないかなって。

──ものすごく深い話ですね、それは。

山内　深いかどうかはわからないんですけど、「LIFE」には広いテーマが含まれていると思うんですよ。そういうことをバンドで表現できるのもうれしいし、10周年の集大成の年に出すオリジナルアルバムにふさわしいんじゃないかな、と。あと、「STAR」「VOYAGER」「LIFE」という3つのアルバムで1つのまとまりという感じもするんですよね。初期衝動で作った「STAR」、自分たちがいいと思うサウンドを突き詰めた「VOYAGER」があったからこそ、「LIFE」ができたというか。

──アルバムの1曲目が「リバース」というのもいいですよね。タイトル通り、テープの逆回転再生による曲ですが、“生まれ変わる”という意味合いもあるんですか？

山内　そうですね。“LIFE”の逆回転はできないですけど、まあそんなことしたくもないな（笑）。

加藤　昔に戻ったらどうだろうな？って考えることはあるけどね。

金澤　うん、ちょっと戻ってみたい。

10周年で武道館に立つ

──現時点で“すべてを出し切った”という感覚はありますか？

山内　いや、全然。アルバムを作ってるときはたぶん、何かを終わらせたかったんですよ。何を終わらせたかったのかは、明確に言えないんですけど。ただ「LIFE」というアルバムを作り終えたことで、また違うものが出てきてるような気がするんですよね。

──10月からは全国ツアーがスタート。11月28日には10周年を記念した武道館公演が行われます。

山内　ツアーは「LIFE」が中心になるんですけど、10周年というタイミングなので、それ以外の曲もやろうと思っています。武道館はこれまでのこと、今のことを両方観てもらえるような、特別なライブになるんじゃないかな、と。

加藤　うん。この10年のことだったり、これからの自分たちを含めて、武道館という場所で観てもらえるのは本当にうれしいですね。

金澤　武道館は特別な会場だし、やるほうはもちろん、観に行く人もちょっと緊張するんですよね。その感覚を味わいつつ、いいライブをやろうと思ってます。