cinema staff「シネマのキネマ」「熱源」PR

cinema staff|鳴らしたい音楽を貫く純粋さ「熱源」インタビュー

「譲れないもの」を描いてる

──アルバムの話に戻すと、「熱源」の歌詞は全10曲で群像劇を描くような統一感があるなと。

飯田 まさにそうです。

三島 群像劇感は確かにありますね。最初からそれを狙ってたわけではないんですけど。

飯田瑞規(Vo, G)

飯田 俺の中では全曲を通して「譲れないもの」を描いてると思っていて。「返して」や「Pulse」の歌詞には犠牲を払ってでも自分の求めてるものに対して向かっていく姿勢とか、「メーヴェの帰還」には目には見えないけど手に入れたいものを追求するという意志を感じる。「diggin'」も「ディグる」という言葉があるように、自分が欲しいものを掘り当てたいという衝動が前に出てると思うんですよね。「エゴ」でも「だいたいのものは捨ててしまえる」と歌ってるけど、曲の主人公は捨てられないただ1つの大切なものを追いかけていて。10曲のストーリーが裏で繋がっているような統一感があると思いますね。

──ストーリーの舞台として戦場が見えるし、そこに死生観が強くにじんでますよね。

三島 それは「Vector E.P.」の延長線上ですね。同じエリアの話というか。戦争における人の生き死にって、誰かの正義感や価値観が強く影響してくると思うんですけど。細かいことを言ったら、例えばバンドでも俺は自由度の高い曲を作りたいと思ってるけど、そういう曲は理解されないんじゃないかと危惧する人もいて。その結論として「やっぱりcinema staffは飯田の歌を生かした曲を作るべきだよね」という共通見解が出るわけですよ。つまり、組織の裏側にはそれぞれの正義があるということをもっと強く意識したいなと思ったんです。

飯田 三島と直接話してはなかったけど、俺が歌詞から読み取ったことは完全に同じですね。

三島 僕らみたいなバンドでも、メンバーとレーベルサイドでせめぎ合っていることもあるし、メンバー間でせめぎ合ってることもある。僕も我慢していることもあれば、みんなも我慢していることもあって。でも、その中でいい着地点を見つけたいという思いを、戦争を裏テーマにして、舞台を架空の島のサイズまで広げて描いたという感じですね。戦争を仕掛ける側のエゴがあって、仕掛けられた側にいる島民の少年少女のリアルもある。「メーヴェの帰還」には特にそういうストーリー性が強く出ています。

飯田 俺は三島が書く抽象性の高い歌詞が好きで。それはなぜかというと、自分で行間を汲み取って考えないと理解できないからなんです。「こんな物事の見方があるんだ」という気付きを三島の歌詞は促していると思うし、それがcinema staffの音楽の面白さでもあると思うんです。

三島 ただ、リスナーを突き放してはいけないと思っていて。少なくともメジャーで不特定多数のリスナーに音楽を届けようとしている以上、そこはアジャストしなきゃいけない部分もあるので。そのバランスはすごく考えますね。だから「熱源」の歌詞がメッセージとして最適かということは世間が判断することだし、それはまだわからないですけどね。リスナーに答えを委ねます。

「オルタナって面白い」と思わせたい

──個人的にはcinema staffにはオルタナティブロックの復権を担う一助になってほしいなと思ってます。

三島 そうありたいですけどね。

──辻さんは新代田でCD屋と飲み屋が一緒になったLFRという店をやっていますが、そのあたりをどう感じてますか?

辻友貴(G)

 どうなんだろう……オルタナがまた盛り上がってほしいなとは思いますけどね(笑)。

飯田 そこは「オルタナがまたキてる」って言ってほしい(笑)。でも、LFRで売っているCDやレコードを買いに来る時点で、その人はオルタナ好きということだよね。

 そうそう。

──LFRが店舗を拡大したらオルタナが盛り上がってるということになる(笑)。

 そういうことですね(笑)。

久野 あの店がオルタナの1つの象徴になったら面白いけどね。

 僕としては店を新代田という街でやれているということが大きくて。周りにはライブハウスのFEVERとラーメン屋くらいしかないんだけど、バンドマンってラーメン好きが多いじゃないですか(笑)。それもあって、バンドマンやバンド音楽が好きなお客さんが集まる新しい場所として新代田が盛り上がればいいなと思ってるんです。

三島 それは本当にいいことだと思う。それと同時に、その新代田のムードを東京中、日本中に浸透させるためにはちゃんとcinema staffの音楽にポピュラリティがないといけないと思うんです。バランスは難しいけど、「熱源」がその第1歩になったらいいな。音楽に詳しくない女子高生がcinema staffを聴いていいなと思っても、「新代田でCD屋をやってるなんてプロじゃないじゃん」って思っちゃうかもしれないし。

 そうだね(笑)。でもCD屋をやってるから音楽で食っていけてないなんてすげえ短絡的な考えだと思うけどね。

──そんな楽な商売じゃないですしね。

 生活のために稼ごうと思ってやってるわけではないので。

久野 ただ、そういう人たちも相手にしなきゃいけないというのもリアルな話なんだよね。

三島 そういう人たちに「オルタナって面白い」と思わせたいし。

 うん、それはそうだね。

後輩と対バンしていいところを盗みたい

──先ほどバンド主催のフェスやイベントだからこそ表出するムードがあるという話もありましたが、最後に「シネマのキネマ」に向けた4人の思いを聞かせてください。

久野 初回を開催して純粋に面白かったんですよね。下の世代と対バンすることが貴重な機会で。前回、Halo at 四畳半のメンバーがMCで僕らのことをずっと好きだったと言ってくれて。そういう思いを聞いて今の自分たちの立ち位置を確認するところもあったし。

飯田 今回出演してもらうSHE'S、PELICAN FANCLUB、Age Factoryも世代的には下だけど刺激をもらえるバンドだと思っていて。最近はほかにもLAMP IN TERRENやyonige、My Hair is Badとも仲よくしているし、「シネマのキネマ」を下の世代と対バンする場として活性化させていきたいなと思ってます。

cinema staff

三島 今まではバンドの体質的にそこまで後輩に目を向けてこなかったんです。でも、「シネマのキネマ」で下の世代のバンドのライブを観て「こういう戦い方をしてるんだ」って勉強になることがかなりあるんですよ。彼らは「cinema staffなんぞすぐに追い越してやる」と考えてるかもしれないし、「ただのステップですよ」と思ってるかもしれない。でも、バチバチした対バンをやれたら、僕らも改めて自分たちにしかできないライブを追求しようという気持ちになるので。実際、初回はそういう機会になりましたし。

 僕はちょっと前までは下の世代のカッコいいバンドに対して嫉妬の気持ちが入っちゃうから、先輩のバンドと対バンするほうが気持ち的に楽だったんですよ。リスペクトだけで臨めるから。

久野 どこか負けて当たり前っていうね。

飯田 そう、挑戦者でいるほうが絶対に気持ち的には楽なんだよね。でも、僕らも30歳になってやっと後輩と対バンしていいところを盗みたいというマインドになれたんですよ。

久野 ずっと先輩を追い抜きたいという気持ちでやってきたけど、気付いたら後輩もいっぱい増えていて。コンセプトイベントとして「シネマのキネマ」を今後も成長させていければいいなと思ってます。

cinema staff「熱源」
2017年5月17日発売 / ポニーキャニオン
cinema staff「熱源」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
4104円 / PCCA-04537

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cinema staff「熱源」通常盤

通常盤 [CD]
2808円 / PCCA-04538

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CD収録曲
  1. 熱源
  2. 返して
  3. pulse
  4. souvenir
  5. メーヴェの帰還
  6. 波動
  7. el golazo
  8. diggin'
  9. エゴ
  10. 僕たち
初回限定盤DVD収録内容
  • 前衛懐古主義 part1 東京編@2016.10.17 LIQUIDROOM
  • 「エゴ」Music Video
  • 「返して」Music Video
  • 「ビハインド」Music Video
  • 「pulse」Music Video Document
cinema staff 自主企画「シネマのキネマ」

2017年5月19日(金)東京都 東京キネマ倶楽部

<出演者>
cinema staff / Age Factory / SHE'S / PELICAN FANCLUB

cinema staff(シネマスタッフ)
cinema staff
飯田瑞規(Vo, G)、辻友貴(G)、三島想平(B)、久野洋平(Dr)からなる4人組ロックバンド。2003年に飯田、三島、辻が前身バンドを結成し、2006年に久野が加入して現在の編成となる。愛知、岐阜を拠点にしたライブ活動を経て、2008年11月に1stミニアルバム「document」をリリース。アグレッシブなギターサウンドを前面に打ち出したバンドアンサンブルと、繊細かつメロディアスなボーカルで着実に人気を高めていく。2012年6月にメジャーデビュー作「into the green」を、2013年5月にメジャー1stフルアルバム「望郷」を発表した。同年8月、テレビアニメ「進撃の巨人」の後期エンディングテーマに提供した「great escape」がスマッシュヒットを記録。同曲を含むニューアルバム「Drums,Bass,2(to)Guitars」を2014年4月にリリースした。2016年5月にはプロデューサーに江口亮を迎えた5thアルバム「eve」を発売。同年11月に新作音源「Vektor E.P.」を発表し、自主企画イベント「シネマのキネマ」の第1回公演を開催した。2017年5月に6thアルバム「熱源」をリリースする。