ナタリー PowerPush - cinema staff

結成10年目でメジャー進出 今までの軌跡を振り返る

残響record所属のロックバンド、cinema staffが最新作「into the green」でメジャーデビューを果たした。オルタナバンドやポストロックを経由した劇的に展開するサウンドと叙情的なドラマ性に満ちた歌を融合させる彼らの楽曲は、インディーズ時代からリスナーの力強い支持を得てきた。今作のリード曲「into the green」は、バンドの魅力がシンプルかつダイナミックに極まった仕上がりで、メンバーも一様に特別な手応えを覚えているという。

ナタリー初登場となる今回は、メンバー全員にインタビューを実施。現在に至るまでの道のりをひも解きながら、cinema staffの魅力に迫った。

取材・文 / 三宅正一(ONBU) 撮影 / 佐藤類

決定的影響は高校の頃出会ったNUMBER GIRL

──cinema staffの音楽的な方向性が固まっていくにあたって、どういう流れを経てきたんですか?

インタビュー写真

三島想平(B) 高校1年のときに同じ学校に通っていた飯田、辻、僕と当時のドラムで前身バンドを組んだんです。高校2年になると地元・岐阜のBRAVOというライブハウスに月1くらいで出演させてもらうようになって。地方だと、高校生のバンドでもツアーバンドの対バン相手としてブッキングしてもらえるんです。店長がめちゃくちゃイカつい人で、「おまえらちゃんとやれ!」みたいな部活感があったんですよ(笑)。それで俺たちにも高校生のうちにどこまでいけるかという意識が生まれてきていて。今のcinema staffの音楽性につながる上で決定的な影響を受けたのは、その頃に出会ったNUMBER GIRLでした。最初は「なんじゃこりゃ! 意味わからん!」と思っていたんですけど、聴いてるうちにこのバンドが今まで出会った中で一番カッコいいと思うようになって。向井(秀徳)さんになりたいとさえ思ってましたね。それから自分たちの曲も変わっていって。

──オルタナ色が強くなった?

三島 一気に強くなりましたね。そこから海外のオルタナバンドやポストロック寄りのバンドも積極的に聴くようになったんです。あと、NUMBER GIRLは歌の録音バランスが小さいというのも衝撃的だったんですよね。「何言ってるかわからんけど、なんでこんなにカッコいいんだろう?」って。俺はゆずがきっかけで音楽を好きになった人間なので、そこで歌の価値観がひっくり返ったというか。

──当時から三島さんがサウンドのイニシアチブを取っていたんですか?

三島 取ってましたね。最初は飯田だったんですけど、俺が曲を作るようになってからは自分発信で「これ聴いたほうがいい」ってメンバーに薦めたり。

飯田瑞規(Vo, G) 最初は三島から薦められる音楽は自分がそれまで聴いてきた、歌が前に出るロックとあまりに違っていて戸惑いもあったんですけど、少しずつハマっていって。

今の4人の初ライブは「TEENS' MUSIC FESTIVAL」予選

──久野さんはどのタイミングでバンドに加入したんですか?

久野洋平(Dr) 僕は三島くんと大学の同級生で、同じ音楽サークルに入っていたんです。そこで3つくらいバンドを掛け持ちしていたんですけど、三島くんから「地元でやってるバンドがあって、ドラムが抜けたからそっちでも叩いてくれない?」って誘われて。僕は元々パンクが大好きで、BPMが速ければ速いほどカッコいいと思っていたような人だったんで、三島くんからバンドのデモを聴かせてもらったときに「遅えな」と思って(笑)、最初は俺が叩くバンドじゃないと思っていたんですけど。

──自分は2ビートを叩きたい、みたいな?

インタビュー写真

久野 そうですね(笑)。でも、スタジオに呼ばれて試しに音を合わせたら、すごく楽しかったんですよ。変拍子とか、これまで叩いてなかったようなリズムが多かったので。それで加入することになって。

三島 彼が入ってから全体的にBPMが速くなりましたね。それがすごくしっくりきたんです。

久野 勝手に速くしました(笑)。速くしか叩けなかったというのもあるんですけど。

──久野さんが加入したのが2006年ですよね。そこからいい感じにバンドが転がりだしたんですか?

三島 ちょうどこの4人になったタイミングでヤマハ主催の「TEENS' MUSIC FESTIVAL」の最後の大会があって。そこに出場して、渋谷公会堂で行われた決勝大会までいったんです。

飯田 決勝大会は阿部真央ちゃんもいて。今回、同じポニーキャニオンに所属することになったっていう(笑)。

久野 僕がバンドに入ってからの初ライブが「TEENS' MUSIC FESTIVAL」だったんです。

飯田 予選で調整するみたいな感じだったんだよね(笑)。

三島 「TEENS' MUSIC FESTIVAL」で決勝まで行ったことで、もっと真剣にバンドをやっていきたいという意識が生まれましたね。

CD収録曲
  1. into the green
  2. 棺とカーテン
  3. チェンジアップ (Re-Recording)
  4. 優しくしないで (Re-Recording)
  5. KARAKURI in the skywalkers (Re-Recording)
  6. AMK HOLLIC (Re-Recording)
cinema staff 1st E.P.「into the green」
release oneman live「望郷」
2012年7月1日(日)
岐阜県 岐阜BRAVO
OPEN 17:30 / START 18:00
※SOLD OUT
2012年7月15日(日)
東京都 LIQUIDROOM ebisu
OPEN 17:15 / START 18:00
料金:前売3000円 / 当日3500円
(ドリンク代別)
cinema staff(しねますたっふ)

プロフィール写真

飯田瑞規(Vo, G)、三島想平(B)、辻友貴(G)、久野洋平(Dr)からなる4人組ロックバンド。2003年に飯田、三島、辻が前身バンドを結成し、2006年に久野が加入して現在の編成となる。愛知、岐阜を拠点にしたライブ活動を経て、2008年11月に1stミニアルバム「document」を残響recordからリリース。アグレッシブなギターサウンドを前面に打ち出したバンドアンサンブルと、繊細かつメロディアスなボーカルで着実に人気を高めていく。2012年6月、ポニーキャニオンに移籍。1st E.P.「into the green」をリリースした。