ようやく新しい音を聴いてもらえる

──今、皆さんがいる場所を説明してもらえますか？

岩淵紗貴（通称：ポチ / Vo, G）　ここはですね、福岡にあるイッチー（一瀬貴之 / G）がひとり暮らししているマンションです。私たちは通称「宅スタ」と呼んでいるんですけど、ここで曲を作って録音できる環境になってます。練習スタジオ兼作曲場所みたいな感じですね。

一瀬　2年前からここで曲を作ってるんですよ。

──今日もここで曲作りしてたんですか？

岩淵　はい、さっきまでやってました。

──ではさっそくミニアルバム「C」の話をしましょう。全6曲を聴いて、バンドの多面性を見せたいという思いを感じました。アッパーな1曲目「オオカミ少年」と、サンバのリズムを取り入れた2曲目「STATION」は特にそういった意識が強く表に出たものになってるなと。

岩淵　そうですね。このミニアルバムでは、CHEESE CAKEの過去、現在、未来を表現したいなと思って。これから私たちのことを知ってくれる人にいろんなアプローチの曲を聴いてもらって「こういうバンドなんだね」って楽しんでもらいたいというのと、10月に東京と福岡であるワンマンライブにもつなげられるミニアルバムにしたかったんです。

一瀬　今回、初めて合宿的な感じで制作したんです。神奈川県の藤沢にあるレコーディングスタジオにスタッフやエンジニアさんと泊まり込んで。湘南海岸の近くにスタジオがあったんですけど、1回も海には行けなかったです（笑）。でも、すごく充実したレコーディングができたんですよ。チームワークで作り上げた実感も強くて。2枚のシングルは、すでに録っていた曲をそのまま収録したり、曲によって録った時期がバラバラだったんですけど、今回は6曲中4曲を合宿でレコーディングして。

──残りの2曲は？

一瀬　4曲目「かげろう」と5曲目「近すぎて」はすでに録っていたものを使いました。この6曲が1枚に収まったことで、ようやく自分たちの新しい音を聴いてもらえるなという気持ちですね。

まだまだ終わらないぞ！

田村三果（通称：アネキ / B）　リズムもいろんなパターンの曲があって、レコーディングはすごく楽しかったです。ミニアルバムを作ることが決まった時点でメンバーのテンションがすごく高くて。合宿レコーディングできたのもチームワークにいい影響がありました。

金山尚右（通称：ゴン / Dr）　うん。今までのCHEESE CAKEよりもパワーアップした感じになってると思います。サウンドはちょっと攻撃的な部分も出しつつ、楽しい空気をそのまま詰め込むことができたかなと。個人的にもドラムテックさんに付いてもらったことで学ぶことも多かったですね。

──「STATION」ではパーカッションやスラップベースもフィーチャーしていて。

金山　パーカッションはかなり新鮮でした。

田村　私もスラップは得意じゃないんですけど、今回はちょっと無理してでもチャレンジしようと思って。今回の収録で、やればできるもんだなと感じたので、今後も積極的に曲に取り入れていきたいなと思いましたね。

──前回のインタビュー（参照：CHEESE CAKE「音の無い世界のうさぎ」インタビュー）で岩淵さんは「もっと技術を上げてオラオラ系のCHEESE CAKEになりたい。弱々しいイメージを持たれてるかもしれないけど、ときにはぶん殴るくらいの勢いでいきたい」と勢い込んでいましたが、「オオカミ少年」なんかはまさにそういう部分を出せてますよね。

岩淵　はい！ まさにこの曲のことを言ってたんです。「オオカミ少年」と「STATION」の流れが自分たちにとって一番新しさを出せたところで。サウンドの雰囲気もガラッと違うし。私は日常生活からボヤッとしてるんですけど、変に負けず嫌いだったり、譲れないプライドみたいなものも強くて。そういう我の強さみたいなものをもっと音に込めたかったんです。

一瀬　今までのCHEESE CAKEはポップな部分が強く出ていたので、（岩淵の）もっとタフなところを見せたい気持ちもよくわかっていて。今回は強いギターサウンドや、面白いリズムのアプローチができたから、本人も楽しかったんじゃない？

岩淵　楽しかった！ 「これこれ！」っていう感じで。「でも、まだまだ終わらないぞ！」っていう気持ちもあります（笑）。