ナタリー PowerPush - CASCADE

作詞家・森雪之丞とのコラボも! 個性炸裂の新作が誕生するまで

ダンスを笑われたのは“してやったり”

──じゃあ、今のダンスモードがパツーンと開けたのは15周年記念ライブから?

MASASHI あれははっちゃけたなあ。

──あのときは「煩悩白書パート2」のお披露目が大爆笑を生んで。

インタビュー風景

HIROSHI センセーショナルでしたよね(笑)。関係者が手を叩いて笑ってましたからね。笑わせてたんじゃなくて笑われてた。

──あれは笑われて本望?

HIROSHI してやったりですよ。

TAMA そのとおりですよ。「何あれ?」とか言われるよりいいですよ。

MASASHI あのダンスは本番3日前に「この振り付けでお願いします」って言われてね。

TAMA そのほかにメドレーもあったじゃないですか。20分くらいのメドレーをやっと覚えたと思ったら、先生から「今からダンスをやります」って言われて、こうやってこうやって、って鏡の前で。ハテナマークが120個ってあのことですよ(笑)。頭がパンクしそうでした。でも身体に入ると曲に合ったダンスなんだなってわかりましたね。でも、まさかあんなに喜んでいただけるとは(笑)。

──クセになったとか?

TAMA 楽しいですけど、クセになったかどうかとはちょっと違うんですよ。そこを追求しても……。

MASASHI その当時のTAMAちゃんは、いろんなことに挑戦しようとしているときで、東京マラソンにも出たし、レコーディング中も瞬発力を出すために食事にも工夫をしてたし、すごいストイックだなあ、って思ってましたね。

HIROSHI 「サディスティック・グミ」の歌入れが終わってすぐ次の週に東京マラソンを走ってた。だからマラソンの準備もしつつ歌入れしてたんですね。

TAMA まあやっぱり、やれることは1回やってみようかと。でも次のマラソンでは4時間切ろうとかそういうのとは違うんですよ。ダンスもマラソンも、ボーカリストの自分の役に立ってるものではあるなと思いますけど、自分がやるべきことはステージで歌うことなんで。

時間が経つにつれてブレなくなってきた

──パフォーマンスもそうだけど、再結成後はリリースのたびにどんどん迷いがなくなってきてますよね。

MASASHI そうかもしれないです。

──手探り感がなくなってきてる。

MASASHI 手探り感(笑)。いやいやいや。そんなに考えてはいないんですけど、ブレなくなってきたし、まとまってきた。

TAMA MASASHIが曲をぽんぽん書いてますからね。

MASASHI (頭の中で音が)鳴り止まないですね。旅行とか行っても気になっちゃうし、感じやすいんでしょうね。

──世の中のことを?

MASASHI いや、世の中の流れとか雰囲気とかは全くどうでもいい派なんですけど、ツアーでいろんなとこに行ったりすると、インスピレーションを感じやすい体質なんでしょうね。霊感とかはないんですけど。

──昔から世間の流行は関係なくて、自分の中のブームに忠実ですよね。

MASASHI そうですね。たまに流行と重なるときもありますけどね。

HIROSHI 流行とは関係ないマイブームは、MASASHI君が日数かけて刷り込むんですね、僕らに(笑)。

TAMA 話がうまいから。

HIROSHI 世間話にまぎれて刷り込んでる。

MASASHI いやあ、本当にいい人たちで良かったです(笑)。

常識を持った子供でいたい

──でも昔のCASCADEは、ライブで「アホかー!」とか毒を吐いたりすることが多かったでしょう。そういう雰囲気が好きだった人から、「今の感じは寂しい」って声が聞こえてきたりはしない? 今のいい人路線というか、明るい路線というか。

一同 (笑)。

MASASHI みんなドキっとしてる(笑)。

インタビュー風景

TAMA 20代のときはしょうがないけど、ある程度年数が経つと「アホかー!」とか目の前のお客さんに言うのはさすがに……。言うこともありますけど、20代だったらカッコよくても、今言ったらどうなんだ?みたいな。確かに今言ったら面白いと思われることもあるかもしれませんけど……。ええ。だからですね、そこは自分の気持ちに忠実にやってるのかもしれないです。別にいい人ぶろうと思ってるわけでもないですし。

HIROSHI 今でも「アホかー!」とか言ってるときはあって、でもそれが記憶に残らないのは、そのあとフォローしてるからだと思うんですよ。昔はとがったことを言ってもフォローなしだったけど、今はフォローの言葉があるから、今まで言ってないほうの言葉が印象に残っちゃうんじゃないですかね。フォローの言葉、言ってるよね?

TAMA 毎回じゃないけどな。

──昔のパフォーマンスは若気の至りだった?

TAMA ああ、若気の至りでしょうね。でも……どうなんでしょうね。ミュージシャンってある程度大人にならなきゃいけないのか、子供のままでいいのか、ってあるじゃないですか。

──ああ。それは結構大きな問題。

TAMA 大きいですよね。まあ、うーん。常識を持った子供でいたいですね(笑)。

──非常識な大人よりは常識ある子供。そう思うようになったのは再結成以降のこと?

TAMA うん。かもしれないです。

──昔よりファンのありがたみを感じていそうな気がしますね(笑)。

MASASHI いや、全然とんがってますよ?(笑) でもやっぱり発信してる側からすると、これをやったらウケるとかは考えない。常にとんがった感性で、これはどうだ?これはどうだ?って感じでやってますね。ただ、ライブはやっぱりひとつの空間を共有する場ですから、ときには優しい人であるかもしれない。気持ちは全然とんがってますけど。

ニューアルバム「マゾヒスティック・ガム」 / 2011年9月14日発売 / 2200円(税込) / アミューズ / ASCM-6091

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CD収録曲
  1. 我武者羅WARS
  2. あなたのベッドで眠りたい
  3. DANCE☆SENSE☆ZANSU
  4. ハイパーロミオとジュリージェット
  5. なないろグラフィティ
  6. 止まらないバトン
  7. 星降る街のセレナーデ

<BONUS TRACK>
ダンスモードコレクション ('11.07.18 CASCADE TOUR 2011サディスティック・グミ ~踊る!恋愛環境庁 The Final~ at SHIBUYA BOXX)

  1. しゃばなガールズ (Live)
  2. パーティフルサルマンライフ (Live)
  3. 煩悩白書パート2 (Live)
  4. スモモかじってカリフォルニア (Live)
  5. スーパーカー ~アルティメットエアロ version~ (Live)
CASCADE(かすけーど)

CASCADE

TAMA(Vo)、MASASHI(G)、HIROSHI(Dr)の3人からなるバンド。テレビ朝日系で放送されていたオーディション番組「えびす温泉」への出演を機に注目を集め、1995年11月にアルバム「VIVA」でメジャーデビュー。1998年にリリースされたシングル「FLOWERS OF ROMANCE」「YELLOW YELLOW FIRE」のヒットを機に、一躍人気バンドの仲間入りを果たす。個性的なサウンドとカラフルなビジュアルで幅広い層に愛されるも、2002年に解散。その後メンバーは個々に音楽活動を行っていたが、2009年にTAMA、MASASHI、HIROSHIの3人で復活する。同年4月に新作ミニアルバム「VIVO」をリリースして以降、精力的に活動している。