ナタリー PowerPush - burn World DJ CONTEST 2013

このDJコンテストが日本を変える!☆Taku審査員インタビュー

「アーティストだから許されるDJ」のままじゃダメだと気づいて

──ちなみに☆TakuさんがDJをやるようになったきっかけはなんですか?

中学生の頃、クラスメイトのお姉ちゃんがよくクラブに遊びに行ってて、その人にDJからもらったっていうミックステープを聴かせてもらったのがきっかけです。曲が終わらずにノンストップでかかるのがすごく好きで、自分もやりたいと思うようになりました。で、DJと同時進行でバンドでドラムを叩いてたんで、ダンスミュージックとロックを融合したミクスチャーバンドみたいのをやるようになって。

──それがm-floのルーツなんですね。

☆Taku Takahashi

ただDJについては、m-floを始めて数年経つくらいまではプロ意識を持ってやってたわけではなかったんです。その頃は結局あくまでm-floの延長で、「アーティストだから許されるDJ」みたいな感じ。でも途中で「このままじゃダメだな」って感じて、DJと真剣に向き合いたいと思うようになって。

──何かきっかけがあったんですか?

m-floで音楽を作ることがつまらなくなってたんです。lovesシリーズをやってた最後くらいの時期なんですけど。自分が作ってるサウンドに壁を感じたというか、要は新鮮さを感じられなくなっちゃって。どんなに刺激的なことでも、同じルーチンを続けると飽きてきちゃうんですよね。

──ああ、それで違うことに挑戦してみようと。

もう1つきっかけになったのは、当時やってた「Tachytelic Night」っていうパーティに、SBKのSHIGEOくんと弟のレイモンドくんのmoldっていうユニットを呼んだときのこと。moldが素晴らしいセットをやってたのに、お客さんはぼーっと見てる感じだったんです。やっぱり「m-floの人がやってるパーティ」だから、みんなm-floの曲がかかることを求めていて、moldのライブ中もそういった方々が最前列を陣取ってて。いや、お客さんは悪くないんですけどね。求めてるものが違ったんだから。でも、それじゃいかんなと思ったんですよ。こんないいライブしてくれる人たちを呼んでおいて申し訳ないって。それ以来、DJと本気で向き合うためにm-floの曲をかけるのをやめて、DJネームから「(m-flo)」って肩書きを外したんです。

──なるほど。

それにより何が起こるかというと、やっぱりどんどんどんどん客が少なくなっていくんですよ。場所によっては15人くらいになっちゃって。でも逆に、普段からクラブに通ってる人たちが「あ、☆Taku Takahashiってこういう選曲なんだね」って知ってくれて、またお客さんが徐々に徐々に集まってきてくれて。人がどう思おうが、自分が納得いくことをしてよかったと思ってます。まあ今でもたまに「m-floの人がDJって(笑)」みたいに言われることもあるし、逆にm-floファンから「m-floの曲がぜんぜんかかんなくてつまんない」って言われたり、自分の中でアイデンティティクライシスみたいな状況になったりしますけど。

自分の存在価値を過小評価しないでください

──☆Takuさん自身が海外で勝負したいという気持ちは?

☆Taku Takahashi

もちろん自分のDJのスキルをもっと磨いて海外でチャレンジしたいという気持ちはあります。でも自分を高めていくことも重要だけど、やっぱり今一番重要なのは若い才能を人々に知ってもらうことなんです。自分には人脈っていう宝があるから、それでみんなの役に立てればいいなと。この歳になって自分の名前の意味を考えるようになったんですけど、高橋拓の「橋」は「橋渡し」ってことなのかなとか、「拓」は「切り拓く」「開拓」みたいな意味を込めて親が付けてくれたのかなとか思ってて。

──そう言われてみると使命感が感じられる名前ですね。

うん。でも橋はただ作るだけじゃなくて、ちゃんと自分自身も戦ってるよってところを見せていかなくちゃならない。今の日本だと、若手DJが夢を持つって実はすごく難しいんです。仕事の合間に時間を作ってやっていくのが精一杯だったり。だけどそれだけじゃなくて、目指すべきものがあるんだっていうのを見せるのはすごい大事じゃないですか。「この大会で日本人が海外進出しました」っていうニュースがナタリーに載って、それを見て「だったら俺も!」っていう子たちが増える、そんな状況になったらいいなって真剣に思いますね。

──この大会で日本代表を目指す人に対して、期待してることはなんですか?

技術はもちろん大事なんですけど、それ以上に気持ちが大切ですよね。技術を軽視してもいいってことじゃなくて、最終戦になるともう技術面では同じくらいすごい人たちばかり集まるので、そこで勝つのは気持ちが強い子だと思うんです。だってDJですよ? もしこれがフットボール大会なら筋力とかフィジカル面がすごく影響するけど、DJだったら日本人でも外国人相手にぜんぜん戦えるはずなんです。

──確かに。

このDJコンテストは単なる大会にするつもりはないので、海外での活動経験がある方をメンターとしてお呼びして、参加者にブートキャンプをしてもらおうと考えてるんです。そのキャンプを通してメンタル面のトレーニングをしたり、自分がDJをしている映像を撮ってみんなで意見を言い合ったり、メンターから海外での経験やアーティスト哲学を教えてもらったりして、それからコンテストに挑んでもらおうと思います。最終的に選ばれるのは1人だけなんですけど、参加者全員が成長するための場所にしたいんです。

──では最後に、これからエントリーしようと考えている人へのメッセージをお願いします。

自分という存在の価値を過小評価しないでください。自分はこんなもんだって、どうせ俺は勝てないなんて決めつけないでください。実際にチャレンジしてみたらどんどん成長することもあるし、やってみないと変われないです。だからこういう機会があるときは、どんどん積極的に参加していくようになってほしいです。

☆Taku Takahashi
バーン エナジードリンク(burn ENERGY DRINK)

「すべてを忘れるくらい心から何かに熱中する人たちを応援するクリエイティブエナジー飲料ブランド」をコンセプトにした日本コカ・コーラの製品。 2013年3月11日にパッケージを一新し、黒の背景にミックスベリーを想起させる赤いグラデーションを上下に配した新デザインで、リニューアル発売された。3月13日からは新テレビCM「KEEP burnING」編のオンエアがスタート。世界規模のDJコンテスト「burn STUDIOS RESIDENCY」に日本代表として参加するDJを決定するための「burn World DJ CONTEST 2013 supported by block.fm」において、アイコンとなっているDJブースを備えた特別仕様車「burn エナジーモービル」が登場する。

「Isle of MTV Miyakojima」レポート

block.fm

block.fmは日本を代表するトップDJやアーティスト、そして世界を舞台に活躍する海外勢に加え、これからのシーンを担うべき若きDJやクリエイターらがさまざまな切り口でバラエティに富んだ音楽を発信する日本発のインターネットラジオメディア。新譜情報のほか、注目アーティストのインタビューやエクスクルーシブなDJミックス、チャート番組、そしてパーティ情報の紹介など、多種多様な番組を毎夜生放送している。

☆Taku Takahashi(Tachytelic, m-flo)
(たく たかはし)

DJ、プロデューサー。1998年にVERBALとm-floを結成。ソロとしても国内外アーティストのプロデュースやリミックス制作を行う。「Incoming... TAKU Remix」でbeatportの音楽賞「beatport MUSIC AWARDS 2011 TOP TRACKS」を日本人として初めて獲得し、その実力を証明。2010年にはアニメ「Panty&Stocking with Garterbelt」のサウンドトラックも監修する。またソロ名義「THE SUITBOYS」としてミックスCD「AFTER 5 VOL.1」を発表。国内外のDJが最先端の音と情報を発信するインターネットラジオ「block.fm」を設立し、注目を集めている。2012年にはm-floとしての約5年ぶりのオリジナルアルバム「SQUARE ONE」を発表。さらに2013年3月にニューアルバム「NEVEN」をリリースした。


2013年6月7日更新