ナタリー PowerPush - banvox

1人から生まれる音楽

banvoxがニューシングル「Love Strong」を本日2月26日に配信リリースした。これを記念してナタリーでは彼にインタビューを行った。

2011年にMaltine Recordsからリリースした6曲入りミニアルバム「Intense Electro Disco」のヒットで、エレクトロシーンで一躍脚光を浴びたbanvox。その後も海外レーベルから作品を発表したり、東京女子流やCTSなど幅広いアーティストにリミックスを提供したりと順調に活躍の幅を広げる彼は、いかなる思考をもって音楽と向き合っているのか。今回のインタビューでは、音楽制作を始めたきっかけや現在の活動のこと、今後のビジョンなどについて本人に語ってもらった。

取材・文 / 加藤一陽 撮影 / 小原啓樹

 
mixiチェック

中高一貫校を辞めての上京

──banvoxさんは年齢非公表とのことですけど、とても若いというのは聞いています。東京を拠点に活動されていますが、もともと東京出身なんですか?

banvox

生まれは兵庫で育ちは岡山です。中学は香川で、高校は東京。今も東京に住んでいます。

──ずいぶん転々としてきたんですね。岡山にはいつまで?

小学生までです。それから香川の中高一貫の学校に通いました。そこは全寮制で。でも高校入学のタイミングでその学校も辞めて、改めて受験して東京の高校に入りました。

──中高一貫の学校を辞めてまで東京に来たのは、音楽をやるためですか?

いや、単純に家庭の事情です。でも音楽がやりたくて、高校も2年で辞めちゃったんです。

──「学校よりも音楽のほうが面白い」って?

まあ。でももともと高校もあんまり行ってなくて。それで何かをやろうってなったときに、好きなことが音楽しかなかったんですよね。

──音楽のほかに夢中になった遊びとかはなかったんですか?

いや、そもそも遊んですらいなかったですね。暗い部屋でずっと日本語ラップを聴いてました(笑)。

──ヒップホップが好きなんですね。じゃあ音楽の原体験というか、音楽を好きになったきっかけはなんでしたか?

難しいですね、覚えていないんです。ただヒップホップを好きになったのは母親が聴いていたジャズ、シャンソン、歌劇などがきっかけです。ジャジィヒップホップとかでジャズのフレーズがサンプリングされていたので、それが面白くて。あとは小3の頃に家にパソコンが来て、インターネットでいろいろな音楽を知って。だから小学生の頃はネットで調べたCDをTSUTAYAで借りたり、買ったりしていました。

──中学からは寮に入ったんですよね?

はい。寮では音楽とマンガ以外は娯楽的なものが禁止されていたんです。テレビもパソコンも携帯電話もダメでした。でも朝起きるときに流す目覚まし用の音楽を自分で決めることができたので、それを考えるのが楽しかったです。担当の人にCDを預けて曲を指定しておくと、その曲を目覚まし時計代わりに流してくれるんですよ。それで自分の選んだ曲で寮にいる全員を起こす、みたいな。

──そこではどんな曲をセレクトしていたんですか?

あんまりディープなトラックをかけても周りに引かれるので、そのときの流行も加味して、RIP SLYMEの「熱帯夜」とかをかけていて。みんなが喜んでくれるとうれしかったですね。

学校か、FL Studioか

──日本語ラップが好きなのが伝わってくるんですけど、作っている音楽はエレクトロですよね。だから少し意外でした。

banvox

ヒップホップでフィーチャーされているアーティストをいろいろ調べているうちに、フレンチエレクトロを知ったんです。フランスのダンスミュージック特有のポップ感みたいなものが好きになって。当時はまだ“フレンチエレクトロ”って言葉を知らなかったんですけど、そういう音楽をネットで調べてはTSUTAYAでいろいろ借りていました。

──それから東京の高校に進学して、2年で退学して音楽を作り始めて。そういうのって、何か後ろ盾じゃないけれど、例えば「プロから誘いが来たので、学校辞めます」みたいな順番が普通だと思うんですけど。

いや、高校辞めたのと音楽制作を始めたのが同時期くらいでしたね。

──それまでやっていたわけじゃない音楽制作を、高校を辞めてまで始めた理由は?

なんかその頃、全部に興味がなくなっちゃったんですね。学校も行かなくなっていたし、やっぱり音楽しか興味がなくて。で、「高校に通うか、DAWソフトのFL Studioを買って音楽制作に打ち込むか」ってすごく迷って、それでFL Studioを選んだんです。

──そういう極端な選択を自分に課して、人とは違うほうを選ぶのはとても勇気がいることですよね。ご両親や友達は驚きませんでしたか?

学校に行っていなかったから、友達は僕が音楽やっているってことを今も知らないと思います。親は僕が何かに興味を持つってことがうれしかったみたいで、快く応援してくれました。

配信シングル「Love Strong」 / 2014年2月26日発売 / 300円
「Love Strong」

iTunes Storeにて配信中!

収録曲
  1. Love Strong (feat. Layars)
  2. Watch Me Dance (feat. KLP)
banvox(ばんぼっくす)
banvox

東京を拠点に活動するトラックメーカー。2010年に音楽制作をスタートさせ、2011年にMaltine Recordsよりミニアルバム「Intense Electro Disco」をリリースしてデビュー。2012年にイギリスの音楽レーベルであるSurfer Rosa Recordsより「INSTINCT DAZZLING STARLIGHT EP」を発表すると、各配信サイトのチャートで上位を記録した。その後もCTS、東京女子流、Foreign Beggarsといったさまざまなアーティストにリミックスを提供するなどして才能を発揮している。2014年1月には、2曲入りシングル「Connection」を発表。また同日に発表されたiTunes Storeの「ニューアーティスト 2014」にも選出され注目を集めた。2月に2曲入りシングル「Love Strong」をリリースしたほか、3月以降に他アーティストが「Connection」をリミックスした作品や新曲のリリースを予定している。