ナタリー PowerPush - ar

“1時間”を緩やかに描いた癒しのポップサウンドスケープ

クボアツシ(Vo)、フジモトヨシタカ(B)、オオタツバサ(G)の3人組バンドar(アル)がニューアルバム「LOVE LU LE LO」をリリースした。前作「moderate lights」から約2年7カ月ぶり、通算3作目のオリジナルアルバムとなる本作。エレクトロ、フォーク、シューゲイザーをベースにした、ドリーミーで心地良いポップチューンをたっぷり楽しむことができる。

このアルバム発売を記念して、ナタリーではメンバー3人にインタビューを敢行。現メンバーとの出会いからバンド結成、坂本龍一との逸話、ニューアルバムに隠されたテーマなど、興味深い話題をたっぷり語ってもらった。

取材・文/西廣智一 撮影/中西求

 
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歌がなかなか上達しないからクボくんと組めばいいやんって

──arはどうやって結成されたんですか?

クボアツシ 僕が大学時代に神戸にいて、フジモトと同じライブハウスで一緒に仕事をしてたんです。

フジモトヨシタカ 出会った当時はお互い1カ月に6曲作ろうとか競ってましたね。できなかったら、相手に焼き肉をおごるみたいな(笑)。僕はもともと彼の声が好きだったんですけど、お互い別々に活動してたから特に一緒にバンドを組もうという意識もなくて。普通に音楽仲間という感じでした。

インタビュー写真

クボ 2003年にたまたま2人とも上京して。まだ個々に創作活動をしてたんですけど、それぞれに足りないものを感じてたんです。僕もずっとひとりでやっていたけど、作りたいトラックのイメージはあってもそれをうまく形にすることができなくて。で、そういう人がいたらもっと楽しいものが作れるかなって思ってたんですね。

フジモト 僕の場合、当時の自分に足りないものは歌で。最初は自分で歌ってて、しばらくクボくんに教えてもらったりしてたんですけど、なかなか上達しないからクボくんと組めばいいやんって(笑)。

──そしていよいよarがスタートするわけですね。

フジモト 当時はMTRでデモトラックを作ってたんですけど、たまたまプロのレコーディングを見る機会があって。それは今の活動にかなり強い影響を与えてますね。

──だんだん宅録から現在のようなスタイルに進化していったと思いますが、当初から今のようなスタイルは見えていたんですか?

フジモト いやぁ、見えてなかったよね。

クボ そうだね。

フジモト 宅録をやってるときはなんでもありで、ノイズサウンドだけで音楽を作ったり、やりたい放題やってました。ライブをするようになってからは、ただパソコンの音を流すだけから生演奏に変わっていって。その流れでオオタくんが加わるんです。

オオタツバサ 知人が「すごく面白い音楽をやってる子たちがいるから」ってarを紹介してくれて、聴いてみたらすごく気に入って。初めて彼(フジモト)と会ったら音楽と人柄がぴったりの人で、すぐに彼のことが好きになりました。その後家に遊びに行って曲をその場で作ったりしているうちに、サポートとしてだんだんと参加するようになったんですよ。

フジモト 家に来たときにセッションして、その日に3人で曲ができたんですね。2枚目のアルバムに入ってる「out ape」という曲で、「オウタペ」って読めるんですけど。

オオタ 僕、友人からよく「おおたっぺ」って呼ばれてて、フジモトくんがその呼び方をもじったんです。

フジモト 僕とクボくんの中で「彼いいよね」って話になって、それで手伝ってもらったりして。続けていくうちにだんだんと重要な存在になって、メンバーになってもらったんです。

坂本龍一に直々に気に入ってもらえて励みになった

インタビュー写真

──3人が揃ってどんどん活動を進めていく過程の中で、坂本龍一さんのラジオ番組「RADIO SAKAMOTO」(J-WAVEで2カ月に一度放送)でarの曲が何度も紹介されるようになるわけですが。

クボ 坂本さんが気に入ったものをセレクトして、ラジオで流した後にコメントを付けていたんですが、その中でもいつもいい評価をくださって。坂本さんのようなすごい音楽家に曲を直々に気に入ってもらえて、とても励みになりました。

──良い評価は、その後の制作にフィードバックしたんですか?

クボ そうですね、今月はどの作品を送ろうとか考えたりして。番組の中で坂本さんは結構辛口なんですよね。

フジモト 僕らも1回、辛口な評価をもらったかな?

──対話で評価をもらうのではなくて、一方的にラジオで放送されるのは、かなり怖いですよね。

クボ 坂本さんは「こうしたほうがいいね」と主観で言ってると思うんですけど、いつもそれをドキドキしながら聴いてましたよ(笑)。

ニューアルバム『LOVE LU LE LO』 / 2009年11月11日発売 / 2310円(税込) / THISTIME / XQER-1017

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CD収録曲
  1. LOVE LU LE LO
  2. Thank U bye bye Robin Hood
  3. マサシクダビンチ
  4. i + i (アイタスアイ)
  5. うさぎ
  6. Mr.parachuteman
  7. lovely dance 〜あなたの中のボク〜
  8. Q.
  9. Good morning angel
  10. HAPPY BIRTHDAY
  11. chu chu chu
  12. ユラユラオドレ
  13. ON
  14. double face (ダブルフェイス)
  15. くもりデー
ar(ある)

アーティスト写真

クボアツシ(Vo)、フジモトヨシタカ(B,バンマス)、オオタツバサ(G)からなる3人組バンド。2003年、クボとフジモトにより東京で結成される。当初は宅録を主体とした活動で、コンピレーションアルバム参加やブランド「jouer avec moa?」の展示会の音楽などを手掛けてきた。坂本龍一のラジオ番組で彼らの楽曲が紹介されたことから徐々に知名度を高めていき、2005年に1stアルバム「plastic dish no rush」をリリース。同時期に音楽配信サイト「mF247」(現在は終了)にて楽曲配信をスタートさせ、好成績を獲得する。また2008年に、これまでサポートメンバーとして参加してきたオオタが正式加入。ライブ活動にも比重を置き、独自の活動を展開している。