A応P|スタイリッシュに表現する奇想天外な「おそ松」ワールド

A応Pが2月20日にニューシングル「まぼろしウインク」をリリースする。第1期よりA応Pが主題歌を担当しているアニメ「おそ松さん」の第2期第2クールのオープニングテーマである表題曲は、放送作家の鈴木おさむが作詞を手がけており、「おそ松さん」の奇想天外な世界観を表現したナンバーに仕上げられている。レコーディングにはA応Pの候補生からなるグループ、A応P ZEROのメンバーを含む総勢10人が参加した。

今回音楽ナタリーではA応Pの4人にインタビューを実施。これまでの活動を振り返ってもらいつつ、ニューシングルについて話を聞いた。また特集の後半ではファンへのバレンタインメッセージなど、メンバーによる手書きコメントを公開。A応P ZEROのメンバー6人にも自己アピールなどを自由に書いてもらった。

取材・文 / 近藤隼人 撮影 / 曽我美芽

放送作家 鈴木おさむ コメント

こんなに何度も歌詞を書き直したのは初めてです(笑)。
その分ステキな幻を見せられる曲になったと思います。

鈴木おさむ

いろんな種類のオタクが集まってる

──最初にグループのコンセプトを簡単に説明していただけますか?

広瀬ゆうき A応Pはアニメ専門チャンネル「アニメシアターX(AT-X)」による「アニメ“勝手に”応援プロジェクト」から生まれた、好きなアニメを勝手に応援しているユニットです。本当にアニメ好きなメンバーが集まっていて、好きな作品のジャンルもバラバラなのでA応Pの特典会に来ていただけば誰かしらとアニメの話が合います。オーディションも本当にアニメが好きなのかが一番の審査項目でした。曲は最初の頃はアニメソングをカバーさせていただいていたんですけど、途中からオリジナル曲を歌うようになって、最近はアニメのタイアップもいただいて。タイアップしている作品の面白さを伝えながら活動しているのがA応Pらしいところだと思います。

巴奎依 最終オーディションのときに「今期ハマっているアニメは何?」とか、「自己紹介のところに『アニメの制作会社を調べるのが好き』って書いてあるけど、今注目している制作会社はどこ?」「その制作会社の代表作は?」と聞かれて、企業の面接みたいでした(笑)。

──好きなアニメのジャンルがバラバラだったのは、たまたまですか?

広瀬 はい。1つのアニメに対する着眼点もそれぞれ違って、A応Pにはいろんな種類のオタクが集まってます。

──着眼点が違うというのは、例えばどんなところで?

広瀬 BGM、声優、作画とか、いろいろですね。

福緒唯 私は背景美術がすごく好きで、そこに注目してアニメを観ることが多いんです。巴は制作会社や挿入歌を作ってる方に注目していますね。

 挿入歌を作っている方の過去作を全部調べ上げます。

福緒 同じアニメを観てもそれぞれ違う感想を持つのがA応Pですね。

──水希さんはどのような着眼点でアニメを観ていますか?

水希蒼 私は子供向けに作られてるキッズアニメが好きで、そういう作品の中に大人にも刺さる要素を見つけるのが好きです。小さい頃に観ていたアニメは大人になってからも何回も観ていますね。

──そうなんですね。音楽的な部分でのA応Pの特徴ってなんだと思います?

巴奎依

 アニソンの場合は、作品に寄った曲になってます。やたらピッチが高かったり、耳に残りやすかったり。あとダンスチューンが多いですね。曲に合わせてがむしゃらに、ひたむきにオタクががんばっているという感じです。

福緒 コミカルだよね。

水希 オープニングテーマっぽい曲が多いよね。

広瀬 タイアップが付いてない曲もアニソンっぽいですね。「この曲はロボットアニメっぽいね」みたいにメンバー間で話してます。

──声優として活動しているメンバーもいるんですよね。

広瀬 はい。5年前にA応Pに入った頃は自分が声優になるとは思ってなくて。普通にアニメが好きで、ライブイベントで憧れの声優さんと一緒になれたらうれしいというファンの方と同じ感覚だったので不思議な感じです。今はプロとしての意識を持ちつつ、A応Pとしてアニメへのファン目線も捨ててはいけないという思いで声のお仕事をやらせていただいています。A応Pという帰る場所があるからアニメに対してオタク目線でいられるんです。

どこの現場に行きましたか?

福緒 そうですね。出会い頭にアニメの話を誰かしらしゃべり出します。今日も会ったときに話したもんね。

 初めての作品を観て「このアニメのことを誰かに伝えなきゃ!」と思ったら、まずメンバーに話すんですよ。「このアニメの何話がすごい無茶な作りをしてて」みたいな話をして共感してもらい、作品を観てもらってメンバー間の共通認識ができあがってからトークイベントなどでそのことをしゃべるのが楽しくて。

──ハマった作品をお互いに教え合うんですね。

福緒 メンバーから教えてもらわなかったらここまで深く観なかったなという作品もたくさんありますし、逆に私がオススメしたものをみんなが観てくれて共感が返ってくると心からうれしいです。「よっしゃ! わかってくれた!」「布教成功した!」みたいな気持ちになって。ずっと一緒にいてみんながどれほどオタクなのかをわかっているので、対メンバーと言うよりは対オタクとして会話していますね。

広瀬 A応Pのメンバーが自分の話を一番受け入れてくれると思っていて。アニメに対してちゃんと知識がある子たちだから(笑)。自分の好きなものを人からわからないって言われるのが一番悲しいですし。

福緒 撮影帰りのロケバスの中であっても、メンバーは「うんうん」って聞いてくれるんです。周りのスタッフさんが寝てても、みんなは起きてくれて(笑)。 

 1分くらいの映像でキャッキャできるんで(笑)。

広瀬 もっかい観ようって!(笑)

──ファンもアニメ好きの方が多いんですか?

広瀬 アニメ好きと声優さん好きの方が多いですね。最近はソロで歌手デビューする声優さんが多いじゃないですか。そういった方のファンも私たちのライブに来てくれて、私たちも声優さんが好きだから話がめっちゃ合います。

──オタク同士の会話になるんですね。

 そうですね。アニメの話がメインになります。初めましての方にもとりあえず「なんのアニメが好きなんですか?」って聞きます。

広瀬 「どこの現場に行きましたか?」「どの声優さんが好きですか?」とか(笑)。

心の面で大人になった

──去年1年間を振り返ってみて、2017年はどんな年でしたか?

福緒 2017年は忘れられないくらい楽しい年でした。なんでA応Pにいるんだって思われるかもしれないですけど、私は歌って踊るのが苦手な人間なので、ライブ活動が得意じゃなかったんですよ。そんな中でも去年は東名阪ライブや1stライブツアーなどいっぱいライブをやらせてもらって、メンバーと常に一緒にいてたくさん意見交換をして、「いいものを作りたいね」ってがむしゃらにがんばった1年でした。

広瀬 今までは1回ずつライブをこなしていくっていう感じだったんですけど、初めてツアーとしてライブを連続してやって。妥協せずに意見を出し合いながら乗り越えられたと思います。東名阪ライブのときは1つのライブが終わったあとに毎回反省会をしたり、1stツアーのときは各公演にテーマを決めて臨んだり、初めてのことに多く挑戦しました。がむしゃらにやるだけでなく、考えてライブをやるという意味で一歩前に進めたかなと思います。

水希蒼

水希 A応P ZEROという私たちの候補生ができたのも大きい出来事でしたね。後輩ができた分、私たちはちゃんとした先輩にならなきゃという思いがあったので、心の面で大人になったと思います。あと私はツアーに対する憧れがあったので、1stライブツアーを開催できたのはすごくうれしかったです。ファイナル公演では2ndライブツアーのお知らせできたのも印象的でした。「まだまだ終わらないぞ」っていう。

──巴さんは印象的だった出来事はあります?

 アニメのタイアップが決まり続けたことがアニメ好きとしてもすごくうれしかったですし、A応Pを認識していただける機会が増えてありがたかったです。「異世界はスマートフォンとともに。」や「おそ松さん」とのタイアップが決まって、私たちのがんばりやアニメ好きということを認めてもらえたような気がして、「がんばっててよかったな」と思いました。