音楽ナタリー Power Push - 9mm Parabellum Bullet

命を燃やし尽くせ! 9mmが彩るダークファンタジー

90秒に込めた「ガッツの生き様」

──主題歌「インフェルノ」ですが90秒で完結する楽曲になっています。最初からこの設定で制作されたんでしょうか?

かみじょう アニメで使用される尺は90秒って決まってたんで、まずはその時間に合わせたデモをメンバーで作ったんです。

菅原 その中で「インフェルノ」になるデモ曲を滝(善充 / G)が持ってきてくれたんですね。本人ももともとは90秒以上になることを想定して作っていたみたいなんですけど、この尺で1回まとめてみたら「これを引き伸ばしたりすることはできない、曲のよさを殺すことになる」と思って、そのまま完成させた……って言ってました。

──テーマソングといえば普通3~5分で作った曲をTVサイズに編集して使うことがほとんどですけれど、珍しいパターンですよね。

菅原 「思い切ったな、アリなんだ」って思いましたよね。

かみじょう ほかのバンドでも、90秒で終わる楽曲をドラマの主題歌用に作った人がいましたけど。

菅原 いざ自分たちでやってみると刺激的でしたね。

──尺が短い分、大変だったこともあったのでは?

菅原 滝は「曲の構成がどんなに短くても、要素を削るんじゃなくて足していくんだ」って言ってて。曲の長さが90秒で確定していたので、そこにどこまで詰めていくかっていうつじつま合わせだったり、イントロからアウトロまで導く展開はけっこう考えたみたいです。デモの時点でほとんど完成されていたので、僕らはそれに従って演奏しました。

──そこまでアレンジも変えず?

菅原 そうですね。

かみじょう 強いて言えば細かいフレーズぐらい。

「9mm Parabellum Bullet LIVE 2016 “Waltz on Life Line” at 日比谷野外大音楽堂」の様子。(撮影:橋本塁 [SOUND SHOOTER])

──6月に日比谷野外大音楽堂で行われたワンマンライブで初披露されましたが、ファンの反応はどうでした?

菅原 新曲をやるときはいつもMCで曲紹介をするんですけど、そのときは「今のMCで話した時間より短いよ」って伝えて(笑)。みんな「どんな感じなんだ?」って集中して聴いていて、終わったあとはワーッて盛り上がってくれました。

──特に今回は短いからこそ、より集中して聴いていたかもしれませんね。

菅原 拍子抜けされたらどうしようって思いましたけどね(笑)。

──歌詞についても「命を燃やし尽くせ」「決して折れない剣を取れ」など、熱いフレーズがふんだんに盛り込まれています。

アニメ「ベルセルク」のワンシーン。 ©三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/ベルセルク製作委員会

菅原 これはまさにガッツの生き様を表しているんです。戦いのさなかに彼がどんな気持ちでいるのかを表現したかったんですよね。なおかつ9mmの曲としてライブで演奏したり、ほかの自分たちの曲と並べてみても不自然にならないところも守る、そのバランスは意識しました。オファーをいただいた際も「作品に寄せなくてもいい」って言ってくれたので、9mmらしさというのは大事にしました。

──ベルセルクのアニメーションといえば、これまですべての作品に平沢進さんが楽曲を提供しています。今回も劇中歌で参加されますね。

菅原 僕らは「インフェルノ」っていう焦熱地獄を表したタイトルになっていますけど、平沢さんの曲のタイトルが「灰よ」なんですよね。何もやり取りはなかったんですけど、ちょうど対比するようなタイトルになりました(笑)。まだ聴いていないので楽しみです。

全員一致で「すげえよかった」ライブ

「9mm Parabellum Bullet LIVE 2016 “Waltz on Life Line” at 日比谷野外大音楽堂」の様子。(撮影:橋本塁 [SOUND SHOOTER])

──カップリングには全13曲のライブ音源が収められます。

菅原 これは昨年行った全国ツアー「カオスの百年TOUR 2015」のうちの1本で、その中でも出来がよかった公演だったんです。東京だとZepp Tokyoで2日間あったんですけど、そのうちの1日がこの音源です。ライブ全体もそうですけど、特にこのトラックに収録されてる「The World」は「こんなふうに演奏できたことはなかったな」って感じる瞬間もあったんですよね。今回聴いてもらえる場ができてうれしいです。

かみじょう どの公演も全力でやってるので特別よかったって実感はなかったんですけど、終わったあとにスタッフ陣が満面の笑みで「今日はすげえよかった!」って言ってて。

菅原 全員一致で「今日はよかったね」ってなること、なかなかないよね。

かみじょう 緩急の付け方がうまくいったし、対バンがいることで自分らも「負けたくない」って感化されたのがよかったんでしょうね。

──さらにこの公演ではアコースティック編成でも演奏が行われ、その音源も収録されています。2編成のパフォーマンスが楽しめるのはファンにとっても、今回のシングルで初めて9mmを知る人にとってもうれしい内容ですね。

「9mm Parabellum Bullet LIVE 2016 “Waltz on Life Line” at 日比谷野外大音楽堂」の様子。(撮影:橋本塁 [SOUND SHOOTER])

菅原 実際、音源化してみてもすごくいいバランスになりました。アコースティック編成の音源は作品の聴きどころになりそうだよね。

かみじょう これまでほとんど音源化されてなかったし。

菅原 「MTV Unplugged」っていうDVDに付属してるCDぐらいだよね。バンドの核となる部分を聴かせるアコースティック編成と勢いのあるバンド編成、その違いを1枚で聴き比べできるのもいいんじゃないかな。

8thシングル「インフェルノ」 / 2016年7月20日発売 / 1620円 / Sazanga Records / GNCA-0432
「インフェルノ」
収録曲
  1. インフェルノ
  2. Live Track From “カオスの百年TOUR 2015” 15.10.24 At Zepp Tokyo

テレビアニメ「ベルセルク」

アニメ「ベルセルク」公式サイト

MBS
毎週金曜26:40~

TBS
毎週金曜26:25~

CBC
毎週金曜27:16~

BS-TBS
毎週土曜24:30~

WOWOW
毎週金曜22:30~ ※再放送 翌週金曜22:00~

※放送日時は変更になる場合があります。

スタッフ

原作・総監修:三浦建太郎(スタジオ我画)(白泉社ヤングアニマル連載)

監督:板垣伸

シリーズ構成:深見真

シリーズ構成協力:山下卓

メインキャラクターデザイン:阿部恒

音楽:鷺巣詩郎

劇中歌:平沢進「灰よ」

制作:LIDENFILMS

アニメ制作:GEMBA/ミルパンセ

キャスト

岩永洋昭、水原薫、日笠陽子、興津和幸、下野紘、安元洋貴、行成とあ、沢城みゆき、高森奈津美、平川大輔、竹達彩奈、寿美菜子、稲垣隆史、中村悠一、石井康嗣、小山力也、櫻井孝宏、大塚明夫、石塚運昇 他

9mm Parabellum Bullet
(キューミリパラベラムバレット)

2004年3月横浜にて結成。2枚のミニアルバムをインディーズで発表したのち、2007年10月に「Discommunication e.p.」でメジャーデビュー。パンク、メタル、エモ、ハードコア、J-POPなどさまざまなジャンルを飲み込んだ音楽性と、激しいライブパフォーマンスで人気を博している。2016年には自主レーベル・Sazanga Recordsでのリリースプロジェクトを始動し、4月に6thアルバム「Waltz on Life Line」を発表。7月にはテレビアニメ「ベルセルク」のオープニングテーマを収録した8thシングル「インフェルノ」をリリースした。