ナタリー PowerPush - ザ50回転ズ

メンバー3人と行く淀川アンダー ザ ブリッジ

映画「荒川アンダー ザ ブリッジ」の主題歌である「涙のスターダスト・トレイン」を軸に、“ラブソング”をコンセプトにしたミニアルバム「ロックンロール・ラブレター」を完成させたザ50回転ズ。今回ナタリーでは映画のタイトルにちなんで、大阪・淀川の“アンダー ザ ブリッジ”周辺で撮影とインタビューを行った。

監督がザ50回転ズの長年のファンだったことから楽曲を依頼されたという幸福な主題歌タイアップをきっかけに、自然な流れで制作されたというミニアルバム「ロックンロール・ラブレター」。当初は全く違うコンセプトを考えていたという今作だが、主題歌「涙のスターダスト・トレイン」の完成に引っ張られるかのように、幅広い層にアピールする胸キュン&ロマンチックなロックンロールレコードに仕上がった。ダニー、ドリー、ボギーの3人に淀川近くの居酒屋で話を訊いた。

取材・文 / 鈴木淳史 撮影 / 大山卓也

「ロックンロール世界旅行」の反動で振り切れた

──今回の「ロックンロール・ラブレター」は、「ラブレター」というコンセプトからして非常に普遍性のある作品だと思うんです。前作「ロックンロール世界旅行」が「世界の音楽をザ50回転ズ流に表現する」というコンセプトだったからこそ、より今作のキラキラした雰囲気が際立っているように思います。

ザ50回転ズ

ダニー(G, Vo) 完璧にそうですね。前作の反動で一気に振り切れたというか。

ドリー(B, Vo) 両極端ですよね。

ダニー 「ロックンロール世界旅行」は単に俺たちがやりたかったことをやりたい放題やった作品ですからね。世間からの反響も少なかった(笑)。

──全力で馬鹿をやっているロックンロールアルバムで、僕は大好きですけど。

ボギー(Dr, Vo) 俺らの認識としては、こういう馬鹿馬鹿しいロックンロールはアリなんですけどね。

ドリー いいロックンロールアルバムだと思ってます。ミニアルバム3部作の2作目は「突き抜けたい!」って考えてたんです。

ダニー 俺が思うに、フルアルバムでも2作目は遊んだりするやないですか。THE BLUE HEARTSの2ndもRAMONESの2ndもそうですけど。

「荒川アンダー ザ ブリッジ」監督から直々にオファー

──今作のラブソングというコンセプトはどこから?

ダニー 映画「荒川アンダー ザ ブリッジ」の飯塚健監督から「自分の監督作品なんで好きなバンドにやってもらいたい」と直々にお話をもらったんです。映画のスタッフは多分誰もザ50回転ズを知らなかったでしょうけどね(笑)。仮編集の映像に「ロックンロール・マジック」に入ってる「I can not be a good boy」を入れてくれはってて。それがうれしくて。

ボギー ロマンチックでキラキラした「I can not be a good boy」を、事前に曲のイメージとして伝えてくれたことで、主題歌に何が求められてるかが自然にわかったというか。

──じゃあこのアルバムを作る上では「荒川アンダー ザ ブリッジ」の主題歌として「涙のスターダスト・トレイン」という楽曲ができたのが大きかったんですね。

ザ50回転ズ

ダニー そうですそうです。どう転ぶかわからんもんですよ。その話もらうまでは「次の作品はライブ感がある小細工抜きの一発録りロックンロールアルバムでええんちゃう?」と話してたんで。このロマンチックな1曲がポコッと生まれてオモロい方向にいった。「涙のスターダスト・トレイン」がほかの曲を引っ張って連れてきたかなと。

──「ロマンチック」がキーワードだったんですね。

ダニー 「涙のスターダスト・トレイン」という曲を盛り立てることを考えたんですね。そしたら「やっぱロマンチックでしょ!」「合言葉はキラキラ胸キュンでいこうぜ!」と。で、タイトルは「ロックンロール・ラブレター」というのがプッと浮かんで、みんなに話したら満場一致で。

ドリー スパンっと決まったね。

ミニアルバム「ロックンロール・ラブレター」 / 2012年2月1日発売 / Sony Music Associated Records

  • 初回限定盤[CD+DVD] 2300円(税込) / AICL-2340~1 / Amazon.co.jp
  • 通常盤[CD] 1680円(税込) / AICL-2342 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. 涙のスターダスト・トレイン
  2. エイトビートがとまらない
  3. ロックンロール・ラブレター
  4. おねがいR・A・D・I・O
  5. Baby,I Love You
  6. ぶっちぎりのラブソング
DVD収録内容
  • The 50KAITENZ JAPAN TOUR LIVE AT TOKYO
ザ50回転ズ(ざごじゅっかいてんず)

ザ50回転ズ(

ダニー(G, Vo)、ドリー(B, Vo)、ボギー(Dr, Vo)の3名により2004年に大阪で結成。「なにわのラモーンズ」と呼ばれるパンキッシュなガレージサウンドが特徴。2006年1月にアルバム「50回転ズのギャー!!」でメジャーデビューを果たし、「FUJI ROCK FESTIVAL '06」や「SUMMER SONIC」などの大規模フェスに多数出演。世界最大の音楽見本市「SXSW」やドイツ「ASIA PACIFIC WEEKS」へ招聘されるなど海外での活動も積極的に行う。2010年にソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズに移籍して以降は、ミニアルバム3部作「ロックンロール・マジック」「ロックンロール世界旅行」「ロックンロール・ラブレター」を発表。「ロックンロール・ラブレター」収録の「涙のスターダスト・トレイン」は映画「荒川アンダー ザ ブリッジ」の主題歌に起用された。