1969 RECORDSPR

1969 RECORDS × yahyel|イメージを具現化するための音楽と映像の融合

デニムとレコードを取り扱うセレクトショップとして1969年に誕生したブランドの背景を提示すべく、昨年立ち上がったGapのミュージックプロジェクト「1969 RECORDS」。このプロジェクトではGapがピックアップした注目アーティストの撮り下ろしのミュージックビデオやGapのアイテムを使ったスタイルブックなど、ブランド創業年の“1969”をキーワードにしたコンテンツが特設サイトにて展開されている。

今年Gapがピックアップしたのはyonige、Tempalay、Maika Loubté、JJJ、yahyelの5組。音楽ナタリーではyahyelがこのプロジェクトを通じて発表した「Iron」のミュージックビデオについて、ボーカルの池貝峻、映像作家としても活動しているVJの山田健人、彼らともともと親交があったという、ミュージシャン、俳優やモデルなど多彩なジャンルで活躍する主演のJanに話を聞いた。またVJを擁する特殊な形態で注目を集めるyahyelの制作活動についても語ってもらった。

取材・文 / 清本千尋 撮影 / 草場雄介

映像は音の表現を100%を120%にするためのもの

──「1969 RECORDS」とのコラボレーションで制作された「Iron」のMVですが、楽曲自体はもともとあったものなのでしょうか?

池貝峻(Vo / yahyel)

池貝峻(Vo) 僕らは楽曲を制作するときは映像込みで考えることが多くて。今回は山田の中で作りたい映像のイメージがあって、僕も作りかけていた新曲があったんです。その曲は“曲の最後に向けて世界が崩壊していく”みたいなイメージの曲で、山田がやりたかった映像のイメージともマッチすることから、この楽曲を完成させていきました。ちょうどそういうやり取りがあったタイミングにGapさんからお話をいただいて。

──キーワードの「1969」の要素はどう取り入れたのでしょうか?

山田健人(VJ) 1969年にアポロ11号が月面着陸したことをイメージして、月明かりが差し込んできているような青みがかったライティングで全編撮影しました。ライブで使う映像もそうなんですけど、yahyelにとって映像は、普段は音楽ありきのものなんです。100%の音の表現を120%に増幅させるために視覚の表現があると思っていて。

池貝 「次はこういうのを次にやりたいね」っていう案が映像の面でも音の面でも案が出ていて、すごくいいタイミングでした。

「Iron」のMVで伝えたかったこと

──今回のMVではJanさんが爪を噛み切り、そこから新たな生命が生まれていく様子が描かれています。

山田 この映像にはJanくん演じる“オリジナル”、その“オリジナル”の願望である白装束の“ピュア”、そして“オリジナル”の爪……つまりは体の一部から生まれていく“クローン”が登場します。“オリジナル”が“ピュア”と出会い、作品として“クローン”を生み出して、その“クローン”に拘束されてしまうんですが、これは作り手からした“作品”というものへのメタファーなんです。僕は、作品は自分の一部を昇華した末にできあがっていくもので、自分の手を離れた瞬間に自分にとっては過去のものになり、自分自身を縛るものになっていくと思ってるんですよ。現代においても作品が自分の手を離れた瞬間にSNSやメディアで拡散されて、よくも悪くもいろんなことを言われて自分たちの意図してない形にイメージが形成されていってしまう。例えば「あのアーティストは1stアルバムがよかったよね」とか「あの監督は1作目はよかったけど、2作目以降はダメだな」とか。

──よく聞く話ですね。

Jan

山田 今回のMVでは“オリジナル”が物作りという答えのない迷宮の中をさまよう中で“ピュア”という自分の究極の理想像を見つけて、その“ピュア”を追い求めて、“ピュア”のような存在を生み出すために自分の一部を断ち切っていくんですが、“ピュア”の姿とはかけ離れた姿の“クローン”が生まれ、その“クローン”たちが“オリジナル”を拘束していく。そしてその拘束から怒りという爆発により開放され、再び“ピュア”と向き合い、外の世界に飛び出していく姿を描きました。

──タイトルの「Iron」とは鉄という意味です。

山田 鉄は硬いですけど、高温になるとすぐに溶けてしまう。MVで言うと、鉄は“オリジナル”のことで、“オリジナル”にとっての“ピュア”という鋳型と対等に向き合って、最後にその鋳型を自ら取っ払う様子を“ピュア”を燃やす描写で表現しています。

1969 RECORDS
「1969 RECORDS」はデニムとレコードを取り扱うセレクトショップとして1969年に誕生したブランドの背景を体現すべく、2016年にGapが立ち上げた新プロジェクト。Gapが今注目するアーティストを起用し、「1969」をキーワードにこの企画のためにミュージックビデオを撮り下ろし、Gapのアイテムを着用したルックと共に公開していく。2年目となる今年はyonige、Tempalay、Maika Loubté、JJJ、yahyelの5組が参加し、大きな反響を呼んだ。
yahyel「Iron / Rude」
2017年8月2日発売 / BEAT RECORDS
yahyel「Iron / Rude」

[アナログ]
1782円 / BRA-18

Amazon.co.jp

SIDE A
  1. Iron
SIDE B
  1. Rude
Mount Kimbie「JAPAN TOUR 2017」
  • 2017年10月6日(金)大阪府 FANJ twice
    出演者 Mount Kimbie / yahyel
  • 2017年10月9日(月)東京都 WWW X
    出演者 Mount Kimbie / yahyel
yahyel(ヤイエル)
yahyel
2015年3月に池貝峻(Vo)、篠田ミル(Sampling)、杉本亘(Syn)の3名によって結成されたバンド。同年8月にライブ活動の本格化に伴って山田健人(VJ)、大井一彌(Dr)の2名を迎え、現体制となる。結成から1年と経たない2016年1月に老舗レコードショップRough Tradeを含む5カ所でのイギリスツアーを敢行。2月に7inchシングル「Fool / Midnight Run」、9月に500枚限定シングル「Once / The Flare」をリリースすると、いずれも発売と同時に品切れ店舗が続出した。同年7月に行われたMETAFIVEのワンマンライブのオープニングアクトに抜擢されたこともあり、音楽ファンから大きな話題を集める中、11月にアルバム「Flesh and Blood」をリリース。2017年は精力的にライブを行っており、Warpaintの来日公演をサポートしたほか、「FUJI ROCK FESTIVAL」のRED MARQUEEにも登場した。8月にアナログ盤「Iron / Rude」を発表。10月にはMount Kimbieの来日公演への出演を控える。
Jan(ヤン)
Jan
ミュージシャン、俳優、モデルとして活躍するアーティスト。現在はGREAT3、jan and naomi、自身のソロプロジェクトであるJan Urila Sasなどで音楽活動を展開している。