「RE:SUPERCAR 2」先行試聴会で秘蔵エピソード続々公開

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6月11日にDOMMUNEにて「RE:SUPERCAR 2 特別先行試聴会」が開催。中村弘二と、ミックスを担当したエンジニアの渡辺省二郎が登壇し、楽曲をフル試聴しながらレコーディングエピソードを語った。

写真は6月11日に行われた「RE:SUPERCAR 2 特別先行試聴会」の模様。写真左より雑誌「サウンド&レコーディング・マガジン」の篠崎賢太郎副編集長、中村弘二、エンジニアの渡辺省二郎。

写真は6月11日に行われた「RE:SUPERCAR 2 特別先行試聴会」の模様。写真左より雑誌「サウンド&レコーディング・マガジン」の篠崎賢太郎副編集長、中村弘二、エンジニアの渡辺省二郎。

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この日の試聴会には約500人が応募し、当選したのはそのうち30名のみ。倍率16倍の狭き門となった。

思い思いの飲み物を手にした観客が待つスタジオに、まずはこの日の司会を務めた雑誌「サウンド&レコーディング・マガジン」の篠崎賢太郎副編集長が登場。イベントの主旨を話しつつ、主役の2人を呼び込むと大きな拍手が起こった。

続いて乾杯の声が上がると、早速トークへ。まずは「RE:SUPERCAR 2 ~redesigned by nakamura koji~」の制作について、ナカコーが「『RE:SUPERCAR 1』もそうだったけど時間がない中で作って。『1』は1週間で仕込んで」と言うと、渡辺が「ミックスは2日で3曲ずつぐらい進めて」と応える。さらに「1」のミックスの間に、ナカコーは「2」を仕込んでいたという話が明かされると、オーディエンスから驚きのため息が漏れた。

昔の曲と向かい合った感想を訊かれると「子供の頃描いた絵を大人になって見る感覚に近いかも」とナカコー。また、今作は客観的に聴いてみたイメージを大切に“リデザイン”することを心がけたとのことだ。そしてナカコーが行き詰まったときには、渡辺が「いんじゃない?」「明日にしよっか、飲み行こっか」などとサポートしていたというエピソードも語られた。

そしていよいよ楽曲試聴がスタートした。CDの曲順どおりに1曲フルで聴き、篠崎がそれについての質問を投げかける、というかたちでイベントは進行していった。

まず1曲目は「Strobolights」。イントロがピアノになったことを含め、オリジナルからずいぶん変わったと指摘されると、ナカコーは「それが最初に浮かんだんですよ。スピードが遅いものが速くなっていくようにしたくて」とコメント。この作品の始まりとして、「古いゼンマイ式のおもちゃがゆっくり動き始めて息を吹き返していくように」「曲の後半にオリジナルのシーケンスが出てきて、そこで昔の状態に戻る」という表現を目指し、それにピッタリだった曲が「Strobolights」だったと明かした。

このほかにも次々と興味深いアイデアや逸話が語られていく。4曲目の「WARNING BELL」については「これが一番難しかった」とナカコー。「(オリジナルが収録されている)『HIGHVISION』自体が録るの難しかったんだけど、これをいい音で録り直すのも二度手間に感じられて」という発想から、アプローチを変えて楽曲の骨格を立たせるようにしたという。また渡辺は、5曲目の「Rollin' Rollin'」が自分にとって「2011年上半期ベストミックス」と宣言。「レコードをすり切れるまで聴いた感じを表現した」というコメントに、観客は興味深そうな表情を浮かべていた。

さらにトークでは、今作に参加したアーティストの名前も発表された。6曲目「Flava」では、オリジナルのストリングスのパッド音を、勝井祐二&成井幹子による生ストリングスに置き換え。7曲目「star fall」のレコーディング時には、使おうと思っていたRolandのシンセサイザー・JUNOが壊れたのでagraphこと牛尾憲輔を呼び出したが「すみません直せません」と言われたという微笑ましい出来事があったとのことだ。牛尾はさらに、8曲目「SHIBUYA Morning」の細かい音色も制作していると明かされた。

そして13曲目「YUMEGIWA LAST BOY」は、原曲のプロデューサーを務めた砂原良徳が“リデザイン”を担当。ナカコーは依頼するにあたり、砂原の最新アルバム「liminal」が出た後だったため「今のまりんさんの音でやっていただければ」とだけ伝えたとのこと。すると砂原から「遅くしてもいい? 4つ打ちって気分じゃないんだよね、もう」と問い合わせがあったというエピソードを話した。また渡辺は、砂原と古い付き合いのためフランクな話し口で逸話を紹介。「まりんにミックスも自分でやれば、って言ったら『ほかの曲とのつながりがあるから』って言うんだよね。意外に普通のことを気にして(笑)」と笑顔で語った。

そして14曲目「LAST SCENE」終盤に入っている「シーッ」という声については、ナカコーが「これが最後の曲ってことで、すべてが静かになっていくように」と説明した。さらに15曲目の「Blue Subrhyme」については、「『1』のときもやったんですけど、本編が終わって無音が10秒あって、それで本当に最後の曲が始まるんです」とコメント。「この曲はすべてを締めくくるものだから、ラストに迷ってるような演奏があるこの曲だと、これで終わっちゃうわけじゃなくていまだに続いているような感覚が表現できて、いいかな、と」と、収録順を決めた意図を告白した。なお渡辺は「Blue Subrhyme」に対して「『Rollin' Rollin'』がアルティザン(職人)的なベストミックスだとしたら、こっちはアーティスティックなベストミックス」と表現。渡辺がエンジニアとして誇れるミックスが詰め込まれた作品に仕上がったことを感じさせた。

試聴&全曲解説が終わると、オーディエンスを交えた質問コーナーへ。「『1』と『2』を通じて、会社から言われたルールはあったか」という問いかけにナカコーは「お金以外は特になかった(笑)。自分が決めた『歌は録り直さない』というのはあったけど」と回答。「今さらですが、スーパーカーというバンド名の由来は」という質問には「えーっ、僕も知らない! いつの間にか決まってた(笑)」と意外なコメントを返し、「最近聴いてる音楽の影響は出てるか」という問いかけには「『1』のほうがより強く出てるかな。『ライブラリ病』って呼んでるんだけど(笑)、海とか鳥とか風とかの音を盛り込んでるのは、そのせい」と答えていた。

イベントは終止笑いの絶えない和やかなムードで進行。レコーディング現場の打ち解けた空気を感じさせつつ、ナカコーと渡辺がときおり覗かせた真摯な表情は、今作の出来映えへの自信をうかがわせるものだった。イベント最後に渡辺が「名盤ですね。何年も残っていくアルバムになったと思う」と口にしたのが、今作の完成度を端的に表現していたと言える。当日参加したラッキーなファンはもちろん、残念ながら参加できなかった人も、発売日を楽しみにしておこう。

「RE:SUPERCAR 2 ~redesigned by nakamura koji~」は明日6月15日にリリース。全15曲が収録されるほか、初回限定盤のみに付属するDISC 2には、未発表音源を含むデモ音源が収められる。また今作の特設サイトでは、収録曲の全曲試聴を開始。Twitter経由でコメントを投稿した人の中から抽選で20名に「RE:SUPERCAR」オリジナルグッズが当たる企画も実施されている。

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