ねごとがラストステージを笑顔で完遂、宝物のような12年間に幕

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ねごとが7月20日の東京・Zepp DiverCity TOKYO公演をもって約12年間におよぶ活動に幕を下ろした。

ねごと(Photo by AZUSA TAKADA)

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昨年末に「この4人でできることは精一杯やりきった」というコメントと共に解散を発表し、今年5月28日よりラストツアーとなる「お口ぽかーん!LAST TOUR ~寝ても覚めてもねごとじゃナイト~」を行ってきた彼女たち。昨日の公演を含め全国12のライブハウスで展開されたツアーのチケットは軒並み完売。ラストステージとなった昨日の公演には全国各地からファンが集結し、ねごととしてのメンバー4人の最後の勇姿を見届けた。

蒼山幸子(Vo, Key)(Photo by AZUSA TAKADA)

蒼山幸子(Vo, Key)(Photo by AZUSA TAKADA)[拡大]

SEの音が大きくなり、ステージを覆っていたカーテンがゆっくりと開くと、そこには定位置にスタンバイした4人の姿が。スポットライトがすっと蒼山幸子(Vo, Key)を照らし、「インストゥルメンタル」を歌う柔らかく繊細な声がゆっくりと会場に伝う。途中で蒼山の「こんばんは。ねごとです」という挨拶から、澤村小夜子(Dr)のカウントで沙田瑞紀(G)と藤咲佑(B)の音が加わり、ダイナミックなアンサンブルがフロアを満たした。2曲目の「透き通る衝動」のサビでステージがパッと明るくなると、笑顔を浮かべた4人の姿が観客の目に飛び込んだ。「DESTINY」では藤咲がステージの前方に躍り出て跳ねるようなグルーヴを生み出し、「sharp ♯」では澤村がパワフルなリズムむ上で蒼山が涼やかなボーカルを聴かせる。これまで何度もライブで演奏してきた楽曲を1音1音丁寧に奏でる4人に対して、観客は腕を上げたり、体を揺らしたりとそれぞれの形で応え、曲が終わるごとに大きな歓声を上げた。

沙田瑞紀(G)(Photo by AZUSA TAKADA)

沙田瑞紀(G)(Photo by AZUSA TAKADA)[拡大]

「私たちのラストワンマンツアーのファイナルにようこそお越しくださいました。今日は史上最高に楽しい夜にしたいと思うんですが、皆さん準備はよろしいですか?」という蒼山の呼びかけに続いて、バンドの代表曲の1つである「ループ」が始まった。サビでは軽快なサウンドに合わせて観客の手が左右に揺れ、波打つような景色が会場に広がる。高揚していた場の空気を変えたのは「ふわりのこと」。フロアを包み込むように蒼山の優しい歌声が広がり、澤村、沙田、藤咲の紡ぐ音色が観客をノスタルジックな曲の世界へと誘った。

藤咲佑(B)(Photo by AZUSA TAKADA)

藤咲佑(B)(Photo by AZUSA TAKADA)[拡大]

その後も4人は自分たちのキャリアを総括するように、シングル以外の楽曲もたっぷり披露。中盤では、きらびやかなサウンドが光る「シンクロマニカ」をはじめ、「Fall Down」「サタデーナイト」などエレクトロやダンスミュージックに傾倒した近年の楽曲を続けてパフォーマンスした。並行して楽曲の歌詞やサウンドを彩るように映像やレーザー光線の演出も加わり、フロアを埋め尽くすファンを視覚を含めて魅せる。特に「水中都市」では曲のタイトルを具現化したアニメーションがスクリーンに映し出されたほか、青いレーザー光線が場内を行き来して幻想的なサウンドに彩りを添える。ラストではたゆたうようなギターの音色の余韻が残る中、蒼山の囁くような声がぽつりと響いた。

澤村小夜子(Dr)(Photo by AZUSA TAKADA)

澤村小夜子(Dr)(Photo by AZUSA TAKADA)[拡大]

デビューのきっかけとなった「閃光ライオット」でのエピソードを語るメンバーのやり取りに続いたのは「これがきっと ラストシーン」というフレーズで始まる「メルシールー」。澤村がバスドラムで強烈なビートを叩き出し、沙田と藤咲もそれに呼応するように向かい合いそれぞれの楽器を弾く手に力を込める。次第に熱量を上げていく4人のパフォーマンスに観客はシンガロングで応え、「新しい終わりを迎えよう」という一節を蒼山が歌うと歓声を上げた。

懐かしいナンバーのあと、メンバーはソリッドなビートとエッジーなギターが軸を担う「シグナル」で激しいプレイを繰り広げたり、オリエンタルなムード全開の「憧憬」で艶のある表情を見せたりとさまざまな一面を観客にアピール。ライブも終盤に差しかかった頃、蒼山は「今日が最後だなんて今でも実感が湧きません。それって幸せな形のラストツアーなんじゃないかなと思います」としみじみと口にした。さらに、自分たちの音楽を待ち続け、愛してくれたファンへの感謝の思いを真摯に伝え「みんな、ホントに出会ってくれて、ねごとを見つけてくれてありがとう。宝物のような12年だったし、宝物のような今です。この光景を焼き付けていきたいと思うので、最後まで音楽の中で気持ちを渡し合っていきたいと思います」と宣言。ミラーボールがきらびやかな光をフロアに落とす中で「ETERNALBEAT」を歌い出した。そして、甘い空気を醸し出す「endless」、バンドにとって最後の曲である「LAST SCENE」を経て「アシンメトリ」へ。蒼山は感情を爆発させるように声を張り上げ、澤村と藤咲は力強いグルーヴを、沙田はファンタジックな音色を紡ぐ。最後は眩い光がステージを照らし、4人のシルエットがくっきりと浮かび上がった。

観客に最後の挨拶をするねごとの後ろ姿。(Photo by AZUSA TAKADA)

観客に最後の挨拶をするねごとの後ろ姿。(Photo by AZUSA TAKADA)[拡大]

アンコールではメンバー1人ひとりがトーク。泣き虫としてファンに知られている藤咲は「幸せなツアーでした。皆さんに本当に本当に感謝しています」「人生の半分をここで過ごしてきたので、思い出だらけで。この先の人生、これ以上のものがあるのかという気持ちがあるんですが、これ以上のものがあるようにがんばることが今の目標です」と涙を見せず笑顔のまま語った。澤村は「無事に今日を迎えられてホッとしてます。これから先ドラムを叩くかはわからないんですが、生まれ変わってもドラムを叩くと思います。また来世で会いましょう……ってことでありがとうございました」と彼女らしくユーモアを交えながらファンに思いを伝え、沙田は12年の活動の中でギターを抱え続けたことで肩がガチガチになったことをボヤきながら「長い間お付き合いいただき、すごく楽しい12年を過ごさせていただきました」とこれまでの活動を回顧。さらに「曲は残りますので、モーツァルトのように何百年か先に未来人が聴いてくれたら最高だよね。引き続きねごとを愛してくれるとうれしいです」と音楽家としての思いを明かした。

「雨」「彗星シロップ」というデビュー当時の楽曲を披露し終えたあと、蒼山は「今日は最高の夜をありがとう。この景色を抱きしめて、これからも進んでいきたいと思います」と叫ぶ。続いて彼女がキーボードに指を落とし、ラストナンバーの「カロン」がスタート。澤村が叩く軽やかなリズムに合わせて観客全員のコールが起き、フロアが1つになっていく。サビになった瞬間、銀テープが放たれ、スクリーンには笑顔のメンバーの顔が大きく映し出された。幸せな空気に包まれる中、4人は向かい合って最後の1音を力強く奏で、蒼山の「ありがとうございました。ねごとでした」という言葉をもって12年におよんだ活動に終止符を打った。

なおラストライブの模様は10月23日にBlu-ray化されることが決定しており、完全生産限定盤にはライブ音源を収めたCDに加え、ラストライブ当日の写真を収録したフォトブック、ライブで使用された銀テープが特典として付属する。

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ねごと「お口ぽかーん!LAST TOUR ~寝ても覚めてもねごとじゃナイト~」2019年7月20日 Zepp DiverCity TOKYO セットリスト

01. インストゥルメンタル
02. 透き通る衝動
03. DESTINY
04. sharp ♯
05. ループ
06. greatwall
07. 透明な魚
08. 真夜中のアンセム
09. ふわりのこと
10. シリウス
11. シンクロマニカ
12. Fall Down
13. サタデーナイト
14. 水中都市
15. メルシールー
16. シグナル
17. nameless
18. 憧憬
19. ETERNALBEAT
20. endless
21. LAST SCENE
22. アシンメトリ
<アンコール>
23. 雨
24. 彗星シロップ
25. カロン

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かおる @kaoru_11

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