今年50歳のクリトリック・リスがパンイチで野音ワンマンに挑戦、本人不在で大団円

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クリトリック・リスが昨日4月20日に東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ「クリトリック・リス生誕50thイベント」を行った。

クリトリック・リス

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ENDLESS SCUMMER

クリトリック・リス「ENDLESS SCUMMER」
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今年10月29日に50歳の誕生日を迎えるクリトリック・リスことスギムは、2006年に活動を開始した大阪出身のソロアーティスト。ライブハウスやフェスのサブステージでのパフォーマンスを地道に続けてきたが、50歳の生誕祭として野音ワンマンに挑戦することを昨年7月に発表し、ファンを驚かせた。その後10月から今年1月にかけてはアルバム制作に向けたクラウドファンディングを行い、目標を上回る金額を集めて2月にニューアルバム「ENDLESS SCUMMER」をリリース。創意工夫に富んだ収録曲のミュージックビデオを公開したり、さまざまなメディアの取材に答えたり、対談した坂本慎太郎のアドバイスを受けてオケのデータをMP3ではなくWAVで作り直したりと、アーティスト人生最大の挑戦に向けた努力を着実に積み重ねてきた。

会場後方から現れたクリトリック・リス。

会場後方から現れたクリトリック・リス。[拡大]

鏡割りを行うクリトリック・リス。

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そして迎えた公演当日。スギムの晴れ姿を見届けるために、普段の集客の何十倍ものキャパを誇る会場を埋め尽くす観客が野音に集まった。開演を前にしてお酒の入ったファンの興奮で場内が包まれる中、クリトリック・リスのスタッフを務める“あいどん”こと愛どんわなだいがスーツ姿で登場。彼はスギムとの出会いを振り返りつつ、ライブの諸注意をアナウンスすると「本日の主役を呼びたいと思います」と告げる。すると夕日が差す会場後方から黒いフードをかぶったスギムが「酒相撲のテーマ」を歌いながら出現。スギムは通路の観客から酒を奪って飲み干しつつ、酒樽が設置された会場中央へ向かう。そこで「祭」と書かれた法被姿になったスギムは「ハゲ!」「早く割れ!」と四方から野次を浴びながら鏡割りを執り行い、己の人生を賭けた祭の開演を祝った。

クリトリック・リス

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スギムは野次る観客を「雑魚が!」と払いのけながら、ようやく野音のステージにたどり着くと「RAVE」でライブを開始。彼の正装と言えるパンイチ姿になってハイテンションで歌い踊る。ステージにはロッキン・ジェリー・ビーンが手がけたセクシー美女のバックドロップが掲げられていたが、股間には「18禁」と書かれたシールが。スギムによれば掲げた瞬間に野音のスタッフから「卑猥」と注意を受けて隠さざるを得なかったのだという。スギムは「めっちゃ健全なライブします!」と宣言すると「ちゃう」を披露。サラリーマン時代の先輩男性に迫られた実体験を歌ううちにどんどんパフォーマンスに熱が入っていき、最終的にはステージ後方に立つあいどんとキスを交わした。

クリトリック・リスが「マリちゃんと熊のアーノルド」を歌う中、虎の着ぐるみが登場。

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「クリトリック・リス生誕50thイベント」の様子。

「クリトリック・リス生誕50thイベント」の様子。[拡大]

チープなトラックに乗ってストーリー性のある楽曲を次々と熱唱し、1曲終わるごとに愛のある罵声を浴びるスギム。「マリちゃんと熊のアーノルド」では腹を叩いたり、握りこぶしで耳を作ったり、コミカルなダンスで観客の笑いを誘った。するとそこにかわいい虎の着ぐるみが現れる。その正体はクリトリック・リスが2人組だった時代の元メンバー・ゴヤ。約10年前の2009年6月に行われたミドリのワンマンライブで、クロージングアクトとしてスギムと一緒に野音に立った人物だ。スギムはギターを抱えたゴヤと共に「崖っぷち」を情感たっぷりに歌い上げ、ファンの目頭を熱くした。ゴヤ退場後、スギムは「味噌汁」「桐島、バンドやめるってよ」をエキセントリックにパフォーマンス。股間のテルミンをいじって電子音を鳴らしながら「柳瀬次長」を歌って会場を沸かせた。

高井真と「さよなら高円寺」をパフォーマンスするクリトリック・リス。

高井真と「さよなら高円寺」をパフォーマンスするクリトリック・リス。[拡大]

ミラーボールが輝く中、熱唱するクリトリック・リス。

ミラーボールが輝く中、熱唱するクリトリック・リス。[拡大]

観客たちによって開演時に割られた酒樽の中身が水であることが暴かれた15分の休憩後、スギムは「その時、俺は」でワンマンライブの第2部を開始。同じ野音のステージに立った大先輩であるTHE BLUE HEARTSの「TRAIN-TRAIN」をリスペストしたナンバー「BUS-BUS」に続いては、「ライス&ライス」が披露され、おなじみのコール&レスポンスで会場は大いに盛り上がる。ここでクリトリック・リスの楽曲制作をサポートする高井真がアコースティックギターを抱えて登場。スギムは高井と「さよなら高円寺」でコラボパフォーマンスを行い、哀愁漂うハーモニカの音色を夜の野音に響かせた。さらにスギムは、グッズのデザインを手がけるオバヒロが旗を降る中、パーティチューン「俺はドルオタ」「エレーナ」を連発し、ワンマン直前に発表した新曲「WEEKDAYS LIVE LIFE」で観客を一旦チルアウトさせる。ライブ終盤、スギムは爆音の「思い出のカラオケボックス」を経て「1989」をパフォーマンス。情熱的に歌うスギムの頭上ではミラーボールが燦々と輝いた。場内がエモーショナルなムードに包まれる中、スギムは青春パンクナンバー「MIDNIGHT SCUMMER」を披露。エアギターや絶叫で観客の心を揺さぶってライブ本編を終えた。

スタッフからの手紙を朗読するクリトリック・リス。

スタッフからの手紙を朗読するクリトリック・リス。[拡大]

「クリトリック・リス生誕50thイベント」の様子。

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本編終了後、「ハゲ!」コールが起こると、時間がないのかスギムはすぐさまステージに帰還。スタッフからの手紙を読み上げ、50歳の誕生日当日である10月29日に東京・渋谷CLUB QUATTROで改めて生誕祭を行うことを発表する。MCの最中、観客から温かい声援を受けて涙ぐむそぶりを見せたスギムは、最後に代表曲「バンドマンの女」を披露。ライブハウスで数えきれないほど歌ってきたこの曲を野音に轟かせ、ファンと一緒に力強く拳を突き上げた。鳴り止まない拍手と野次の中、汗まみれのスギムは観客に何度も頭を下げつつ退場。そこへスギムがライブ定番曲としているOasis「Don't Look Back In Anger」が流れ始める。「ワンマンで他人の曲はやらない」と事前に約束していたスギムがステージに戻ってくることはなかったが、ファンは肩を組んだり、モッシュしたり、クラウドサーフしたりしながら同曲を大合唱。無謀と思われたスギムの野音ワンマンは本人不在の状態で大団円を迎えた。

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クリトリック・リス生誕50thイベント
2019年4月20日 日比谷野外大音楽堂 セットリスト

1部

01. RAVE
02. レイン
03. ちゃう
04. お父ちゃんとの日々
05. マリちゃんと熊のアーノルド
06. 崖っぷち
07. 味噌汁
08. 桐島、バンドやめるってよ
09. 柳瀬次長

2部

10. その時、俺は
11. 串焼き屋かっちゃん
12. 群青の純情
13. BUS-BUS
14. ライス&ライス
15. さよなら高円寺
16. 俺はドルオタ
17. エレーナ
18. WEEKDAYS LIVE LIFE
19. 思い出のカラオケボックス
20. 1989
21. MIDNIGHT SCUMMER
<アンコール>
22. バンドマンの女

クリトリック・リス リアル生誕祭50thイベント

2019年10月29日(火)東京都 渋谷CLUB QUATTRO

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加茂啓太郎、ミュージシャンのカウンセリングも行っています。Linkをご覧下さい。 @keitarokamo

来なかった人は後悔しかないですね

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