銀杏BOYZ、日本武道館で亡き恩師へ捧げた「スローバラード」

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銀杏BOYZが昨日1月15日に東京・日本武道館で単独公演「世界がひとつになりませんように」を開催した。

峯田和伸(銀杏BOYZ)(Photo by AZUSA TAKADA)

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峯田和伸(銀杏BOYZ)(Photo by AZUSA TAKADA)

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銀杏BOYZ(Photo by AZUSA TAKADA)

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2003年1月15日、前身バンドGOING STEADYが解散し、銀杏BOYZが始動。それから15年が経った本日、銀杏BOYZは自身2度目で約1年3カ月ぶりの日本武道館公演を行った。峯田和伸が敬愛する編集者・エッセイストの末井昭らが所属する5人組歌謡グループ・ペーソスがオープニングアクトとして演奏を披露したあと、開演時刻ちょうどになると会場が暗転。オープニング映像の上映が終わり、峯田が1人でステージに現れた。「1月15日は自分にとって誕生日でもあり、葬式でもあり、結婚式でもある」と、1月15日がいかに自分にとって特別な日であるのかを来場者に伝えたあと、アコースティックギターをかき鳴らしながら「生きたい」を歌い始める峯田。満員の観客が固唾をのんで見守る中、彼はまっすぐ前を見据えて歌い続ける。「ベイベー!」と叫んだ峯田がステージに転がると、山本幹宗(G)、藤原寛(B, Cho / AL)、岡山健二(Dr/ classicus)、加藤綾太(G / 2)が演奏に加わり、会場は真っ赤な光と轟音に満たされた。

銀杏BOYZ(Photo by AZUSA TAKADA)

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マイクに食らいつくように「生きたい」を歌った峯田は「あけましておめでとう! 銀杏BOYZです!」と挨拶をしてから「若者たち」を熱唱。観客も拳を突き上げながら峯田と共に大声で歌い、続く「駆け抜けて性春」ではYUKIの歌唱パートを会場に集まった約1万人のファンが大合唱した。銀杏BOYZは昨年のツアーでお披露目された新曲「GOD SAVES THE わーるど」、「東京タワーのてっぺんから、武道館までジャンプする」と歌詞を武道館仕様にした「骨」といったキャッチーなナンバーでフロアを沸かせる。「恋は永遠」の曲中では、峯田が「On my Radio 僕らはいつか 銀杏BOYZを聞かなくなっても 銀杏BOYZは1月15日の今日の武道館を この空間をきっと きっと忘れません きっと忘れません」と今の思いを歌に乗せて届けた。

峯田和伸(銀杏BOYZ)(Photo by AZUSA TAKADA)

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峯田は「元号が変わるけど、何も変わらないでいたいんですよ。自分がいつか売れるときが来たとしても、このままでいたら俺はずっと峯田和伸のまんまでいられるんじゃないかなって。自分が自分のままでいられたらカッコいいんじゃないかなと思うんです」と話したあと、今日この日を迎えられた喜びを改めて口にする。そして「年末、武道館が火事になって(ライブが)キャンセルになる夢を見たんですよ。火事にならなくてよかった。今日無事にこの日を迎えることができてうれしいです! やっと……夢で逢えました!」と言い、マイクを握りしめて「夢で逢えたら」を気持ちよさそうに歌った。

銀杏BOYZ(Photo by AZUSA TAKADA)

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ロマンチックな「ナイトライダー」を経て、銀杏BOYZは「I DON'T WANNA DIE FOREVER」をプレイ。アッパーチューンに乗って観客たちは思い思いに踊り、峯田が繰り出すコール&レスポンスに大声で応えた。「漂流教室」で死について歌ったあと、峯田は「高校2年のときにばあちゃんが死んで、その1週間前くらいに大好きだったNirvanaのボーカル(カート・コバーン)が亡くなって。あのときに本当に好きな人が亡くなるという初めての体験をしたんです。2階の自分の部屋でレコードでNirvanaを聴いていて、1階に親戚が集まって、線香の匂いがして。それ以来あのNirvanaのアルバムを聴くと線香の匂いがする。あの部屋の風景が音楽にぴったりくっ付いてる。いつか銀杏BOYZの音楽も誰かの暮らしの中にぴったり張り付いてたら、いつでも思い出してもらえるなって」と話す。加えてRCサクセションの「スローバラード」が、バンドを辞めようと思った自分を励ました1曲であることを明かした。

左から峯田和伸(銀杏BOYZ)、Dr.kyOn。(Photo by AZUSA TAKADA)

左から峯田和伸(銀杏BOYZ)、Dr.kyOn。(Photo by AZUSA TAKADA)[拡大]

そんな峯田のMCを経て、銀杏BOYZは「新訳 銀河鉄道の夜」を披露。アウトロのノイズから銀杏BOYZが「NO FUTURE NO CRY」「SEXTEEN」と2曲連続で演奏すると、アグレッシブなパフォーマンスと爆音でオーディエンスは大いに沸いた。バンドメンバーが去りステージに再び1人になった峯田は、銀杏BOYZを支えた恩師であり、2011年に亡くなった音楽プロデューサーの坂田喜策氏について語る。そして坂田氏の紹介で知り合ったというDr.kyOnをステージに呼び込み、2人でRCサクセションの「スローバラード」を披露した。そのままDr.kyOnのピアノ伴奏で峯田は「光」を歌い、途中からバンドメンバーも合流。楽器を持った5人が音をぶつけ合う中、峯田はステージを転げ回りながら咆哮するように熱唱し、銀杏BOYZは壮絶なパフォーマンスを繰り広げた。

銀杏BOYZ(Photo by AZUSA TAKADA)

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Dr.kyOnを送り出した銀杏BOYZは、爽快感のある「ボーイズ・オン・ザ・ラン」でラストスパートをかける。最後の力を振り絞るように全力で歌ってまぶしい笑顔を見せた峯田は「最後に出たアルバム(の発売日)から今日で5年。そろそろ出したほうがいいですよね。今年は完成させるのが目標、2019年はがんばりたいです」と今年の抱負を述べた。そして峯田は代表曲「BABY BABY」をバンドメンバーに初めて聴かせた2000年の、下北沢のスタジオの様子をステージ上で再現。観客は、弾き語りだった「BABY BABY」に峯田の指示でメンバーが楽器の音やコーラスを重ね、アレンジが完成していく様をじっと見守る。2番に入るところで峯田が「2番はお客さんが歌ってくれます」とマイクを客席に向けると、オーディエンスが大合唱。「あのスタジオから20年後、1万人のお客さんが日本武道館で一度に歌ってくれるなんて夢にも思わなかったです」と感激した峯田はそのまま「BABY BABY」を噛みしめるように歌った。

銀杏BOYZ(Photo by AZUSA TAKADA)

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銀杏BOYZは「僕たちは世界を変えることができない」「エンジェルベイビー」を演奏してライブを終了させたが、会場には「やるなら今しかねーべ!」と、アンコールを求める観客たちの声が響く。それに応えて再登場した銀杏BOYZは「ぽあだむ」で演奏を再開。最後は「もしも君が泣くならば」を観客と共に熱唱し、峯田はやりきった表情でステージを下りた。

この日のライブの模様は4月6日(土)21:00からスペースシャワーTVにて「銀杏BOYZ ライヴ特番『世界がひとつになりませんように』」として放送される。

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銀杏BOYZ「世界がひとつになりませんように」2019年1月15日 日本武道館 セットリスト

01. 生きたい
02. 若者たち
03. 駆け抜けて性春
04. GOD SAVES THE わーるど
05. 骨
06. 恋は永遠
07. 夢で逢えたら
08. ナイトライダー
09. I DON'T WANNA DIE FOREVER
10. 漂流教室
11. 新訳 銀河鉄道の夜
12. NO FUTURE NO CRY
13. SEXTEEN
14. スローバラード(オリジナル:RCサクセション)
15. 光
16. ボーイズ・オン・ザ・ラン
17. BABY BABY
18. 僕たちは世界を変えることができない
19. エンジェルベイビー
<アンコール>
20. ぽあだむ
21. もしも君が泣くならば

スペースシャワーTV「銀杏BOYZ ライヴ特番『世界がひとつになりませんように』」

2019年4月6日(土)21:00~22:00

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