aiko、ホーム大阪の“夢の舞台”で過ごしたツアー最終日「ここをどうしても降りたくない」

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aikoが12月9日に大阪・フェスティバルホールで全国ホールツアー「Love Like Pop vol.20」の最終公演を行った。

aiko「Love Like Pop vol.20」大阪・フェスティバルホール公演の様子。(撮影:岡田貴之)

aiko「Love Like Pop vol.20」大阪・フェスティバルホール公演の様子。(撮影:岡田貴之)

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デビュー20周年イヤーとなった今年の「Love Like Pop」は、半年間にわたり全27カ所45公演が行われたaiko史上最大規模のホールツアー。aikoは佐野康夫(Dr)、須長和広(B)、佐藤達哉(Key)、浜口高知(G)、設楽博臣(G)、小林太(Tp)、川原聖仁(Tb)、山本公樹(Sax)からなるバンドメンバーと共に、最新アルバム「湿った夏の始まり」収録曲を軸にしたセットリストを携えて各地でライブパフォーマンスを披露した。

aiko「Love Like Pop vol.20」大阪・フェスティバルホール公演の様子。(撮影:岡田貴之)

aiko「Love Like Pop vol.20」大阪・フェスティバルホール公演の様子。(撮影:岡田貴之)[拡大]

ホームタウンの大阪らしい異様なまでの熱気が漂う中、まずはステージと客席を隔てる紗幕に20年を振り返るオープニング映像が流れ出す。そこにaikoの影が映し出され、紗幕が落ちると最新アルバム収録曲「ストロー」でライブが始まった。イエローとブルーのバイカラードレスに赤いベルトをしめたaikoは、スカートをはためかせながら歌声を届け、会場には早くも大きな手拍子が鳴り響いていく。パワフルなドラミングから2005年のナンバー「エナジー」に入ると、バンドメンバーの躍動感のある演奏によって会場の熱気はぐんぐんと上昇。スカのリズムに切ない歌詞を乗せた「あたしのせい」ではホーン3管が色を添え、さらにパワーアップしたサウンドが会場を大きく揺らした。

「Love Like Pop vol.20! 皆さんこんばんは、aikoです。最終日に来てくれてどうもありがとうございます」という挨拶から、「どこでチケット取ったの?」「aikoと話すの何回目?」とファンとリラックスしながら会話を繰り広げたaiko。「今日は日曜日やから、明日仕事の人もいるかもしれないけど、いい意味でみんなにしっかり傷を付けられるように、いろんな曲といろんなお話を用意してますので、最後までよろしくお願いします」と語り、メロウな「くちびる」「二時頃」「雨フラシ」をバンドと寄り添うように届けて観客を惹き付ける。

aiko「Love Like Pop vol.20」の様子。(撮影:岡田貴之)

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壮大なアンサンブルと照明がステージを満たす中で、じっくりと歌を聴かせた名バラード「瞳」のあとは、キーボードでの弾き語りコーナーが用意された。その1曲目「恋人同士」では、aikoの「男子は女の子がこういうことを思ってるってことを、心して聞いてほしいと思います」との前置きに、客席の“男子”が口々に「はい!」と返事をするひと幕も。そんな「普段から好きって言ってほしい」という思いが込められた歌詞や、楽曲の持つ素材のよさを味わえるピアノのメロディに、会場中のオーディエンスはじっくりと聴き入っていた。また乾燥しているため風邪が流行る季節だと話題に挙げたaikoは、「♪みんなの汗とみんなの唾液でこの会場の湿度を上げよう」とユーモアあふれる即興弾き語りでファンを思いやりつつ、2曲目として語りかけるように「ずっと近くに」を届けた。

再びバンドメンバーを迎え、最新アルバムの1曲目「格好いいな」を披露したaikoは、序盤からリラックスした空気感で展開されたこのライブについて「あんまりツアーが終わる感じがしなくて。いつも通り楽しく進めさせてもらってます。そういうふうにライブができるのは、皆さんのおかげだと思ってます。たくさんしゃべったり、一生懸命ステージを観てくれて本当にありがとうございます」と思いを明かす。キーボードの跳ねたリズムから入った「ドライブモード」、前向きなポップチューン「未来を拾いに」ではスクリーンにaikoの姿が大写しに。彼女はメインステージ両側に延びるサイドステージまで足を運び、ファンとハイタッチしたり手をつないだりと至近距離でのコミュニケーションを楽しんだ。

aiko「Love Like Pop vol.20」の様子。(撮影:岡田貴之)

aiko「Love Like Pop vol.20」の様子。(撮影:岡田貴之)[拡大]

おなじみの「男子! 女子! そうでない人!」ののちは、「551(大阪名物・蓬莱の豚まん)があるときー! ないときー……」「aikoのライブがあるときー! ないときー……」という大阪ならではのコール&レスポンスも。さらに「aikoがおるときー! おらんときー……」と続けたaikoは、「大丈夫、ずっとおるから! 後半戦もよろしくお願いしまーす!」とファンと約束した。キーボードとホーンのサウンドが踊るように躍動する「beat」、リズミカルなポップナンバー「予告」、客席に金テープが飛び出したライブアンセム「夢見る隙間」によって後半戦の会場は熱気に包まれていく。aikoは最新アルバム随一のアッパーチューン「ハナガサイタ」、本編最後の「あたしの向こう」で名残惜しそうに前列のファンと手を触れ合いながら歌声を響かせていた。

観客によるエネルギッシュなaikoコールに呼ばれてステージに戻ったaikoは、ボンデージパンツとツアーグッズのビッグTシャツによる全身真っ赤な装い。スクリーンに歌詞が映し出される中、ホーンやアコースティックギターをフィーチャーした大人っぽいサウンドの上で「うん。」を歌唱した。ここでaikoは、デビュー当時に大阪・江坂ブーミンホール(現:ESAKA MUSE)で行った初めてのワンマンライブを回想し「こうやってフェスティバルホールでライブすることができて、気付いたら20周年迎えていて。私がデビューするときには生まれてなかった子たちがライブに来てくれて。これからも一生懸命がんばります。お父さんとかお母さんには『あんた歳なんやから、無理しなくてええ』って言われるんやけど、歌で無理することなくなったら、がんばるところがないから。だからみんな、嫌なことがあったら、全部ステージに投げてください。私たちが受け取って、すりこぎで潰して……海に撒くから!(笑)」と笑顔でファンに愛を伝えた。

「みんなに届きますように。一対一で聴いてね」と柔らかな表情で「向かいあわせ」を届けたaiko。歌い終えると彼女は「アンコールなんて名ばかりで、ただ私が歌いたかった本編の続きなんです。セットリストで決まってるのは次の曲まで。そのあとはみんな次第です(笑)」と意味深に笑ってみせ、「milk」で“名ばかり”のアンコールを終えた。そしてステージ前方で一礼し、手をつないだままステージをはけたaikoとバンドメンバーだったが、逆再生のように手をつないだまま再登場。会場が沸き立つ中「やりたい曲がほんまにいっぱいある」というaikoは、バンドメンバーやスタッフとステージ上で打ち合わせを行い、キュートでパワフルな「Power of Love」でライブを再開させた。オーディエンスの合唱が広がった「キラキラ」を経て、ロックチューン「be master of life」をドロップすると、ステージに倒れこむほどに熱い歌声を届けて「もっと暴れろー!!」と咆哮したaiko。浜口と設楽は大きく体を動かしながら歪んだギターサウンドを響かせ、佐藤は自身の座っていた丸イスでキーボードを奏でるなど、バンドメンバーも熱のこもった演奏で会場に熱気の渦を作り上げた。

aiko「Love Like Pop vol.20」の様子。(撮影:岡田貴之)

aiko「Love Like Pop vol.20」の様子。(撮影:岡田貴之)[拡大]

aikoはここまで25曲を終えてもなお歌い足りない様子で、「ほんまに大丈夫ですか?」「私、鬱陶しい女だと思われるの嫌なんです(笑)」と観客を気遣いつつも、ツアー中に計6回立ったフェスティバルホールのステージに触れつつ「今年こんなに立てると思わなくて、夢みたいで。ここをどうしても降りたくないし、みんなと一緒に過ごしたい」と本音を漏らした。そして「男子! 女子! そうでない人!」のコール&レスポンスで観客のテンションをこれでもかと引き上げたaikoは、その力を出し切るように「鏡」のロックアレンジバージョンでファンと何度も何度も声をそろえていく。「長い間ホントにありがとうございました。皆さん、これからもよろしくお願いします! お元気で。よいお年を。メリークリスマス。aikoでした」と挨拶し、「それがー!」「ライブ!」のかけ声でダブルアンコールを締めくくった。

しかしエンディングムービーの放映が終わってもファンによる熱狂的なaikoコールは止まず、aikoはステージ袖からひょっこりと顔を出した。「しつこいですかね? 何度も何度もほんまにすみません」と不安げなaikoだったが、「家の洗濯物を取り込むとか畳むとか、そういう日常を少しでもがんばろうって思ってもらえるように。今日のこのライブを思い出してもらえたらうれしいです。また会ったときに向き合えるように“背筋を伸ばして”歌います」と歌詞を引用しつつ「えりあし」を披露。ここまで3時間に及ぶライブを繰り広げたとは思えない美しいファルセットで自身の思いをファンに届け、深い余韻を残して「Love Like Pop vol.20」最終公演の幕を閉じた。

aikoはこのあと、2019年1月から3月にかけてアリーナツアー「Love Like Pop vol.21」を開催。大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナ、福岡・マリンメッセ福岡で3都市6公演を行う。現在各プレイガイドではチケットの先行抽選予約を受付中。詳しくはaikoのオフィシャルサイトを確認しよう。

※記事初出時より、一部写真を変更しました。

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aiko「Love Like Pop vol.20」2018年12月9日 フェスティバルホール セットリスト

01. ストロー
02. エナジー
03. あたしのせい
04. くちびる
05. 二時頃
06. 雨フラシ
07. 陽と陰
08. Loveletter
09. 瞳
10. 恋人同士
11. ずっと近くに
12. 格好いいな
13. ドライブモード
14. 未来を拾いに
15. beat
16. 予告
17. 夢見る隙間
18. ハナガサイタ
19. あたしの向こう
<アンコール>
20. うん。
21. 向かいあわせ
22. milk
<ダブルアンコール>
23. Power of Love
24. キラキラ
25. be master of life
26. 鏡
<トリプルアンコール>
27. えりあし

aiko Live Tour「Love Like Pop vol.21」

2019年1月26日(土)大阪府 大阪城ホール
2019年1月27日(日)大阪府 大阪城ホール
2019年2月9日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
2019年2月10日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
2019年3月9日(土)福岡県 マリンメッセ福岡
2019年3月10日(日)福岡県 マリンメッセ福岡

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読者の反応

てってってー @tetetep

【ライブレポート】aiko、ホーム大阪の“夢の舞台”で過ごしたツアー最終日「ここをどうしても降りたくない」(写真5枚) - 音楽ナタリー https://t.co/ys2QJK4el0
3階最後列だったけど最前列のように楽しかった

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