凛として時雨、Zeppツアー千秋楽で超濃厚ライブ

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凛として時雨のZeppツアー「Tornado Z」の最終公演が、11月29日にZepp Tokyoにて開催された。

写真のようなレーザー光線は「moment A rhythm」「nakano kill you」の2曲で使用され、楽曲の世界観を彩った(撮影:河本悠貴)。

写真のようなレーザー光線は「moment A rhythm」「nakano kill you」の2曲で使用され、楽曲の世界観を彩った(撮影:河本悠貴)。

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凛として時雨は年明けからライブハウスツアーを開催。ファイナルでは、単独公演としては初めてのアリーナ公演に挑戦する。史上初となる規模の会場でどんな光景を見せてくれるのか、今から期待が高まるばかりだ(撮影:河本悠貴)。

凛として時雨は年明けからライブハウスツアーを開催。ファイナルでは、単独公演としては初めてのアリーナ公演に挑戦する。史上初となる規模の会場でどんな光景を見せてくれるのか、今から期待が高まるばかりだ(撮影:河本悠貴)。

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初夏に行われた全国ツアー「last A moment」に続き、今年2度目のZepp Tokyoワンマンとなったこの日は、前回同様チケットは即日完売。開演前から熱気が会場を満たし、立っているだけで汗ばむほどとなった。

そんな中、開演数分前からピエール中野(Dr)による恒例の前説がスタート。自分の名前を名乗るべきところを「押尾学です!」と挨拶したピエールは、なぜか湘南乃風へのリスペクトを示すように「来てくれたみんなに感謝。生んでくれた親に感謝」と熱くがなりたてる。合間で茶々を入れつつ、ひととおり注意事項を読み上げたところで、お馴染みの"バイブスコール"でオーディエンスを発奮。笑いと拍手が起こる中、前説はつつがなく終了した。

ほぼ定刻どおり静かに客電が落ち、不穏なSEとともにライブの幕が上がる。メンバーが順々に姿を現すと「ウォー!」という怒号にも似た歓声が反響した。会場の興奮を落ち着かせるように1曲目として鳴らされたのは、スローなリズムとささやくようなTK(Vo,G)の歌声が印象的な「mib126」。最初は身じろぎもせず3人の動きを見守っていた観客たちだったが、転調とともに響いたTKの絶叫が引き金となり激しくフロアを揺らした。

続いての「TK in the 夕景」では345(B,Vo)の冷たいボーカルが耳を刺激し、「想像のSecurity」では激しいライティングとoiコールがドラマチックな曲を盛り上げる。次々と展開されるライブの定番ナンバーに、オーディエンスの熱気はつねにピーク状態。中でも序盤のハイライトは、イントロのベース音が鳴った瞬間に咆哮のような声が上がった「DISCO FLIGHT」。憂いを帯びた流麗なギターと手数の多い圧巻のドラミング、重厚なベースがステージでぶつかりながら響く様は圧巻だった。

5曲を休みなく届けたところで、TKがアコースティックギターへと楽器を代え「Tremolo+A」のイントロを爪弾き始める。間断なく絶叫を繰り返していたそれまでとの楽曲から一転、やわらかな歌声を聴かせ会場をクールダウンさせた。さらに凛として時雨の楽曲の中でもメロウな雰囲気が強い「秋の気配のアルペジオ」「knife vacation」の2曲を披露し、バンドの持つ音楽性のレンジの広さを見せつけた。

息も詰まるような緊張と静寂が会場を支配する中で始まったのは、「moment A rhythm」。場内に立ちこめる熱気と湿気が異様なムードを作り出し楽曲の持つ密室感に拍車をかける。音数は少なめだが強烈な存在を放つリズム隊、TKの感情の押えた声とギターのディストーションが絡み合いながら展開されるこの曲を、オーディエンスは固唾を飲んで聴き入る。曲が終わると静かな拍手が会場を包んだ。

「moment A rhythm」の張り詰めた空気を打ち破るように、後半戦は「鮮やかな殺人」からスタート。ノンストップで繰り出される“動”を押し出したナンバーに感化され時折クラウドサーフに興じるファンの姿も。その熱気に応えるようにステージ上の3人は、迫真のパフォーマンスを繰り広げる。

「Sadistic Summer」を演奏し終えたところで、TKが「新曲を1曲やります」とアナウンスし新曲が披露された。この曲は従来の凛として時雨のベクトル上にある楽曲ではあるものの、どこか異質な匂いを持つ実験的なナンバー。狂気と穏やかさ、艶やかさと清涼感の両方を同居させたボーカル、スローテンポの中にも鋭利さを漂わせるリズム隊、変拍子を盛り込んだ起伏の激しい展開など聴きごたえはたっぷり。オーディエンスの反応も上々で、思い思いの形でその音を受け止めていた。

クラウドサーファーを次々と生み出した「JPOP Xfile」「感覚UFO」に続いては、ワンマンでは欠かせないMCコーナーが始まる。まず口を開いたのはTK。「告知がありまして……」と控えめな声で前置きをすると、全国ツアーの最終公演を4月17日にさいたまスーパーアリーナで開催することを発表。さらに「よかったら今日来てる人は4人ずつ連れてきてください」と穏やかに語り、会場の笑いを誘った。続いて345の物販紹介コーナーがスタート。345がはにかみながらニューアイテムの説明をすると、「カワイー!」という声援が上がる。ひととおり紹介が終わったところで、「みなさんお待ちかねのピエールです」という言葉に続きピエールにスポットが当てられた。

野太い声援を受けたピエールは、意気揚々とコール&レスポンスをスタート。一体感あふれるオーディエンスの声に笑みを浮かべると「バイブス、ビンビンじゃないですか! 改めまして押尾学です」と大声で挨拶。続けてなぜか「ホットペッパー」のCMソングを元気いっぱいに歌い出し、そのままBEAT CRUSADERSにも負けず劣らずの下ネタコールへなだれ込む。当初は嬉々として声を上げ応えていた観客たちだったが、次第に過激さを増す下ネタに徐々に引き気味に。すると「声が小さい!」とものすごい勢いで逆ギレするピエール。今やなくてはならないものとなりつつあるMCコーナーだが、ツアーを経て暴走に拍車がかかった模様だ。その後も「俺、『ホットペッパー』のCMを狙ってるんですよ!」とアピールしたかと思えば、上島竜兵(ダチョウ倶楽部)のネタを会場を巻き込んだ形で披露。ピエールのフリにあわせて、2階席も含めふわりとジャンプするという異様な光景が広がる。そして無法地帯に近い状態となったMCは、フロア全体の壮観なXジャンプで締められた。

失笑&爆笑にあふれた空気をぬぐい去るように会場に轟いたのは、「Telecastic fake show」「nakano kill you」の2曲。「Telecastic fake show」では、クラウドサーファーたちがオーディエンスの頭上を泳ぎ、フロア前方が危険地帯と化する。そのテンションに感化された3人は、続けざまに超絶スピードでラストナンバーの「nakano kill you」を叩きつけると颯爽とステージを降りた。

MCを含め1時間半強。アンコールも一切なしといういつもの形で終わりを告げたこの日のライブ。しかし3人の濃密なパフォーマンスはその場にいたオーディエンスを魅了し、終演後にはそれを讃えるような力強い拍手が起こっていた。

2009年11月29日「Tornado Z」Zepp Tokyo公演 セットリスト

01. mib126
02. TK in the 夕景
03. 想像のSecurity
04. テレキャスターの真実
05. DISCO FLIGHT
06. Tremolo+A
07. 秋の気配のアルペジオ
08. knife vacation
09. moment A rhythm
10 .鮮やかな殺人
11. ハカイヨノユメ
12. Sadistic Summer
13. 新曲
14. JPOP Xfile
15. 感覚UFO
16. Telecastic fake show
17. nakano kill you

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音楽ナタリー @natalie_mu

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