「あなたたちを生かせる存在に」あいくれ、万感のツアーファイナル

あいくれが6月16日に東京・TSUTAYA O-Crestにてライブツアー「読まずに食べないでツアー」の最終公演を開催した。

このツアーは彼女たちが初の全国流通盤「アンシャンテの手紙」を携えて4月にスタートさせたもの。最終公演となったこの日は、Another Story、I-RabBits、SILHOUETTE FROM THE SKYLITというバラエティ豊かなゲストを迎えて行われた。

トップバッターはあいくれと初競演となるAnother Story。彼らは壮大な「Beautiful world」、ドライブ感ある「End of story」と、ヘビーなナンバーを畳み掛けていった。MCではKeiGo（Vo）が「怖い？（笑）」と冗談交じりにオーディエンスに問い掛ける。彼はあいくれメンバーにも「優しくしてください」と言われたと笑いながら明かし「精いっぱい優しめに叫ぶんで一緒にライブしてください」と意気込みつつ、激しいシャウトを繰り返し観客を圧倒した。

I-RabBitsはパンキッシュな「9LIVES」で場内をハッピーなムードに一変させる。初競演でありながら「（I-RabBitsの）音楽が好き」という理由でオファーされたことを竹下麻衣子（Vo, Piano）は「純粋な愛しかないと思う」と喜び、「純粋な愛で返したい」と笑顔を見せた。続けて彼女は「未完成なあいのうた」でシンガロングを発生させ、「はじまりのハッピーエンド」では伸びやかな歌声を惜しみなく披露。バンドはその後もポップチューンを軽やかに届けていった。

続いてステージに登場したのは1カ月ぶりのライブだと言うSILHOUETTE FROM THE SKYLIT。彼らは現れるなり“汁ティッシュ”をオーディエンスに配布し、「コールアンドレスポンス」ではファンと乾杯をするなど、観客を巻き込んだパフォーマンスを展開する。SeshiroX（Vo）は「若者・あいくれをぶっ潰しに来た」と宣言するも、ミディアムチューンをしっとりと届けたのち「あいくれ、ツアーお疲れ！」と労りの言葉をかけ、あいくれへとバトンをつないだ。

この日の主役、あいくれはゆきみ（Vo）の「東京都立川市から来ました、あいくれ、始めます」という挨拶に続き、「始まりの歌を」という曲紹介から「ノンフィクションドラマ」でライブをスタートさせた。こめたに（Dr）による骨太のドラミングに乗せ、小唄（G）が軽やかにギターフレーズを奏でる。ゆきみは手を伸ばしたり、しゃがみこんだりしながら、情感たっぷりに深みのあるボーカルで「回顧展の林檎」や「リビルド」を歌い上げていった。MCでは初の全国流通盤を携えて回ったツアーを振り返るメンバー。ゆきみは「皆さんのおかげで成り立ったツアー」とスタッフやファンへの感謝を述べる。さらにフロアをぐるりと見渡し、「目の前にいるあなたたちだけのために歌を置いていきたいと思います」と力強く言うとライブを再開させた。ミディアムチューン「愛を注ぐ」では後ろから強い照明が差し込む中、ゆきみが艶やかな歌声を響かせる。そして「全身全霊で歌って帰るよ！」と言い放ち、「ハロー ハロー ハロー」へ。間奏でゆきみは「あいくれに出会ってくれて本当にありがとう」と語り始め、「昔はずっと消えたいと思ってた。でも今は失いたくないものがいっぱいあって『消えたくない、生きたい』と思うようになりました。それだけあなたたちが大切です。だから私たちもあなたたちを生かせる存在になれたら」と思いを吐き出し、エモーショナルな空気の中で本編を終えた。

アンコールではゆきみが「ファイナルという名前ですが、今日が始まりの日だと思っています」と言う。そしてツアー初日およびこの日のオープニングナンバーを飾った「ノンフィクションドラマ」を再びプレイし、ツアーを締めくくった。

なおこの日のステージであいくれは2ndミニアルバム（タイトル未定）を今冬にリリースすることを発表した。新作の詳細は追ってアナウンスされる。