sumika［camp session］“ド平日”に向けて奏でた初のビルボード東京公演

sumikaがアコースティックセット・sumika［camp session］名義で5月27日に大阪・Billboard Live OSAKA、翌28日に東京・Billboard Live TOKYOでライブイベント「sumika［camp session］Live Journey 2017 -Ensemble-」を開催した。この記事では東京公演のレポートを掲載する。

イギリス発のファッションブランドALLSAINTSとBillboard Liveが「Fashion with Music」をテーマに実施するコラボイベントの第2回として行われたこの公演は、sumika［camp session］にとって初めてのBillboard Liveのステージとなった。当日ALLSAINTSの衣装でそろえた彼らはゲストメンバーに井嶋啓介（B）を迎え、sumikaの楽曲のアレンジバージョンや未発表曲を披露した。

拍手に迎えられながら客席の後ろから登場したメンバーは、ステージにたどり着くと一礼して着席。片岡健太（Vo, G）の「ここにいる全員が友達って人はいないと思うんですけど、ビルボードのドアを出る頃には、映画を観たあとのような感覚で『あのシーンよかったよね』とか、そういうことを話題にしながら、知らない誰かが知らない誰かじゃなくなるような、そんな時間を精一杯作っていきたいなと思ってます」というコメントから、ノスタルジックな「知らない誰か」でライブをスタートさせた。

黒田隼之介（G, Cho）が起立して巧みなギターソロをアピールした「Amber」を経て、MCは初のビルボード公演に関する話題へ。メンバーの中でも特にビルボードに憧れていたという荒井智之（Dr）は、以前プライベートで会場に訪れた際に座った座席を指しながら、自身の異名を冠した“バロンシート”と名付けたいと話してオーディエンスの笑いを誘う。

「リフレイン」の演奏後、ライブは質問コーナーへ。メンバーは事前にオーディエンスから集めた質問シートを選び、悩み相談に答えていく。ここでは“バロンシート”に座っているファンからの質問が選ばれる一幕もあり、客席を沸かせた。質問コーナーの幕を閉じると、バンドは「ソーダ」で演奏を再開。通常は黒田がギターソロを奏でるパートでは、小川貴之（Key, Cho）がグランドピアノで華やかな旋律を奏でた。

片岡の口笛がゆったりとしたムードを演出した「うみべのまち」、アダルトなアレンジが施された「リグレット」を経て、エモーショナルな「月とコウモリ」では、片岡がギターを爪弾き、荒井がドラムをブラシで叩いて心地よいグルーヴを生み出す。さらに星空のような照明演出もファンを楽しませた。

「ちょっとしんみりしちゃったからアレやるか！」という片岡の提案から、本日2度目の質問コーナーが行われた。中でも複数集まったという「どうやったら人生を楽しく過ごせますか？」という質問に対し、彼は「好きなことを嫌いになるようなことをしないっていうのが大事だと思います」と回答。さらに「嫌なことをやらないっていうのはズルいって思われるかもしれない。でもそんな大事にしたいプライド、譲ってはいけないものは“ほこり”と言うんです」と言葉を重ねると、5人は熱のこもった演奏で「ほこり」を届け、ファンの目を釘付けにした。そしてこの日のラストナンバー「言葉と心」では、メンバーと観客の肉声での合唱が響く。曲の最後にスポットライトに照らされた片岡は、声を上げるように力強く歌い、オーディエンスの大きな拍手を浴びた。

アンコールで片岡は改めてファンに感謝を述べ、「明日からの“ド平日”、目をつぶればこの光景が待っているぞ、味方だぞ、って思ってもらえるように命をかけて歌います」とコメント。メンバーは「雨天決行」を温かなアンサンブルで届けていく。最後に片岡は「あなたの人生の主役はもちろんあなたです。僕たちは脇役でかまいません。だけど大切な、頼りがいのある脇役でいたいなと思います」と思いを伝えていた。

なお彼らは、7月12日にsumika名義の1stフルアルバム「Familia」をリリース。同作を携えて、9月より過去最多公演数のワンマンツアーを開催する。