吉澤嘉代子が「美しい人たち」と回るツアー、OLの1人カラオケから生まれるドラマ

吉澤嘉代子が11月18日、東京・恵比寿ザ・ガーデンホールにてワンマンツアー「吉澤嘉代子とうつくしい人たちツアー」の追加公演を行った。

8月3日にリリースされたミニアルバム「吉澤嘉代子とうつくしい人たち」を携え、東京、名古屋、神戸の3都市で展開された今回のツアー。初日の愛知・THE BOTTOM LINEにはザ・プーチンズ、2公演目の東京・東京キネマ倶楽部には伊澤一葉（あっぱ、the HIATUS）と曽我部恵一、兵庫・クラブ月世界には岡崎体育と、作品内でコラボレーションしたアーティストが各会場にゲストで参加した。ステージは吉澤が演じる1人カラオケが趣味の独身OLを主人公とした物語を軸に進行し、ゲストも登場人物となって物語の一部を演じる。追加公演にはザ・プーチンズが再びゲスト出演し、演劇仕立ての演出でコラボレーションした。

カラオケルームを模したステージに1人で現れた孤独なOL・吉澤は、モーニング娘。の「LOVEマシーン」をノリノリで熱唱すると、そのまま横山裕章（Key / agehasprings）と能村亮平（Dr）の演奏に乗せてオリジナルナンバー「綺麗」「ユキカ」「恥ずかしい」へとつなげた。歌い終えた吉澤はソファに戻ると「カラオケって楽しいなあ」とひと呼吸置いてドリンクを発注したが、やけにいい声のカラオケ店員は吉澤の注文を無視して一方的に「当店自慢のガリスカッシュ」を運んでくる。意外においしいガリスカッシュを飲みながら、吉澤は「次は何を歌おうかなー。あ、吉澤嘉代子メドレーっていうのがある。吉澤嘉代子って、あの魔女修行とかしてる不思議ちゃんだよね」と、「ガリ」「ブルーベリーシガレット」「ケケケ」「チョベリグ」をメドレーで披露。「ガリ」では桶に入れたガリを投げ、「チョベリグ」では客席を回りながら観客とのコール＆レスポンスを楽しんだ。

「吉澤嘉代子の曲めちゃめちゃ歌いやすーい」とゴキゲンな吉澤は、ここで「吉澤嘉代子とうつくしい人たち」から「ねえ中学生 feat. 私立恵比寿中学」「アボカド feat. 伊澤一葉」「ゆりかご feat. 岡崎体育」の3曲を歌い、「次はやっぱりあの曲」と「じゃじゃじゃ feat. ザ・プーチンズ」を入力しようとしたところで、「スペシャルサービス」と書かれたメニューに気付く。気になった吉澤がフロントに確認すると、いい声の店員は「当店はザ・プーチンズに大変力を入れておりまして、街角マチコと街角マチオが常駐しております。ちなみに、マチオのほうは私です」と説明。ステージにはその店員のマチオと、テルミンを用意したマチコが現れ、吉澤と3人で「じゃじゃじゃ feat. ザ・プーチンズ」をパフォーマンス。さらに吉澤はザ・プーチンズの楽曲「ナニコレ」もマチオとのデュエットで歌った。

吉澤とザ・プーチンズによる奇妙な芝居と歌のコラボが終わると、ステージ上のモニターにはカラオケDAM「DAM CHANNEL TV」のスペシャルバージョンが上映される。映像では吉澤が演じる「安保角子」「ウッツクシーン・ヒット」が不思議なやりとりを繰り広げ、場内は笑いに包まれた。暗転ののち、衣装を変えて登場した吉澤が未発表のバラード「残ってる」を歌うと場内のムードは一変し、観客は吉澤の歌声に聴き入る。続けて、東京キネマ倶楽部公演では伊澤と横山のピアノ連弾も見られた「ちょっとちょうだい」、吉澤がアコースティックギターをかき鳴らす「シーラカンス通り」と、アップテンポな楽曲を畳みかけた。そして「泣き虫ジュゴン」をじっくりと歌い上げると、吉澤は最後に、学生時代からの憧れであるサンボマスターとコラボした「ものがたりは今日はじまるの feat. サンボマスター」を披露した。

アンコールの声を受け再度登場した吉澤は、横山のピアノ1本をバックに「東京絶景 feat. 曽我部恵一」を熱唱。能村を呼び込みさらにもう1曲「がらんどう」を歌ってステージを去ったが、客席からは再びアンコールを求める拍手が上がる。ステージに戻った吉澤は笑顔で声援に応えると、「私、吉澤嘉代子は、来年の春に3枚目のアルバムを出します！」と発表し、そのニューアルバム（タイトル未定）からの1曲「一角獣」を弾き語りで初披露した。1stアルバム｢箒星図鑑｣では少女時代、2ndアルバム「東京絶景」では日常をテーマに設けてアルバム制作を行った吉澤だが、3rdアルバムは本人の説明によると「バーン！って感じの濃いもの」になるとのこと。どのような作品ができあがるのか、ファンは春のリリースを楽しみに待とう。