音楽ナタリー

忌野清志郎告別式でヒロトら弔辞&バンド生演奏

90

5月2日に永眠した忌野清志郎の告別式が、本日5月9日正午より東京都港区の青山葬儀所で行われた。抜けるような青空の下、数多くのファンが弔問の長い列を作り、友人や関係者など約1000人も集まって清志郎との別れを惜しんだ。

この日の告別式は無宗教の“ロック葬”として開催。式場の外には巨大なうさぎ人形(バルーン)やTHE TIMERSのヘルメット、ライブでおなじみのコタツ、ファンによる千羽鶴などが飾られ、清志郎の代表曲が次々と流された。

葬儀は、NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS plus 武田真治による演奏で幕開け。MCが「今日は素晴らしい1日になるでしょう!最後までごゆっくりお見送りください」といつものライブさながらに弔問客を煽り、「紹介します!キング!ゴッド!FOREVER忌野!!」と叫びながら、「忌野清志郎之霊位」と書かれた位牌の上でマントを揺らす。

出席者全員による黙祷のあとは、竹中直人、大竹しのぶ、甲本ヒロトの3名がそれぞれに弔辞を述べた。竹中直人は「ボス、キング、ゴッド、いろんな呼び名があったけど、僕にとっては“清志郎さん”です。僕たちは今も信じられない気持ちでいっぱいです。『忌野清志郎が死んじまった』……何度つぶやいても受け入れることができない。でも本当なんですよね」と語り「俺は忌野清志郎の友達なんだぜって、世界中の人に自慢したいです。清志郎さん、またね!」と最後に大きく手を振った。

大竹しのぶは「ときどき空の上から『愛し合ってるかい?』って問いかけてください。『OK、ベイベー、サイコーだぜ!』って答えられるように、あなたのように強く優しく、明るく楽しく生きていきます」とその思いを伝えた。

そして甲本ヒロトは黒い革ジャン姿でマイクの前に立ち、ゆっくりと話し始めた。

甲本ヒロトによる弔辞

キヨシロー。キヨシロー。あなたとの思い出にはろくなものはございません。突然呼び出して、知らない歌を歌わせたり、なんだか吹きにくいキーのハーモニカを吹かせてみたり。レコーディングの作業中にはトンチンカンなアドバイスばかり連発するので、レコーディングが滞り、我々はそのたびに聞こえないふりをするので必死でした。でも今考えると全部冗談だったんだな。

今日も「キヨシローどんな格好してた?」って知り合いに聞いたら、「ステージ衣装のまま寝転がってたよ」って言うもんだから、「そうか、じゃあ俺も革ジャン着ていく」って来たら、なんか浮いてるし。キヨシローのまねをすれば浮くのは当然だった。でもあなたはステージの上はすごく似合ってたよ。ステージの上の人だったんだな。

一番最近会ったのは去年の11月のThe Whoの来日公演、武道館の。そのときあなたは客席の人でした。ステージの上ではなくて。たくさんの人がキヨシローに憧れるように、あなたはロックンロールに憧れていました。僕もそうでした。

そんな観客同士の共感を感じ、とても身近に感じた直後、あなたはポケットから何かを出して、それは業界のコネを最大限に生かした、戦利品とでも言いましょうか、ピート・タウンゼントのギターのピックでした。観客の1人なんかじゃねえや。僕があまりにもうらやましそうにしているので、2枚あったうちの1つを僕にくれましたね。(自分のポケットからピックを取り出して)これだ。ピート・タウンゼントが使ってたピックです。これはもう返さなくていいよね。ありがとう。一生忘れないよ。短いかもしれないけど一生忘れないよ。

今日はありがとうを言いに来たんです。数々の冗談をありがとう。いまいち笑えなかったけど。今日もそうだよ。ひどいよ、この冗談は。うん、でもなるべく笑うよ。キヨシロー、ありがとう。

キヨシローを支えてくれたスタッフのみなさん、家族のみなさん、親族のみなさん、友人のみなさん、最高のロックンロールを支えてくれたみなさん、ありがとう。どうもありがとう。あとひとつ残るのは、今日もたくさん外で待っているあなたのファンです。彼らにありがとうは僕は言いません。僕もその1人だからです。それはあなたが言ってください。どうもありがとう。ありがとう ──。

甲本ヒロトによる弔辞の後は、葬儀委員長であるユニバーサルミュージック最高経営責任者兼会長・石坂敬一が挨拶を述べ、親族らによる献花が行われた。

そして告別式の最後には、再びNICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS plus 武田真治が登場。生前の清志郎の歌声(ライブ音源)にあわせて、「雨あがりの夜空に」を生演奏した。会場には紙吹雪が舞い、告別式の会場は忌野清志郎のロックンロールショウそのものだった。

なお、会場ではおなじみのヒット曲とともに、忌野清志郎のボーカルによる「Oh!RADIO」も流れていた。この曲は清志郎が作詞作曲を担当し、FM802の春のキャンペーンソングとしてスガシカオ、岸田繁(くるり)らが歌うナンバー。清志郎が歌うこのバージョンはデモとして録音されたもので、ユニバーサルミュージックによると現時点はCDリリースなどは未定とのこと。ソウルフルな清志郎の歌声が胸を打つこの楽曲が、今後公式に発表されることに期待したい。

音楽ナタリーをフォロー