cero、六本木に作り上げた2日間の非日常空間「Wayang Paradise」

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ceroが東京・EX THEATER ROPPONGIにて12月21、22日の2日間にわたり単独公演「Wayang Paradise」を実施。オールスタンディング形式の初日、座席指定型の2日目とそれぞれ趣向を変えたライブを繰り広げた。

cero「Wayang Paradise」2日目公演の様子。(撮影:三浦知也)

cero「Wayang Paradise」2日目公演の様子。(撮影:三浦知也)

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1日目

高城晶平(Vo, Flute, G)(撮影:三浦知也)

高城晶平(Vo, Flute, G)(撮影:三浦知也)[拡大]

初日のステージにはメンバー3人と“スペシャルサポーター”のベース・厚海義朗、ドラム・光永渉、パーカッションや管楽器などをマルチに操るMC.sirafu(片想い、ザ・なつやすみバンド、うつくしきひかり)とあだち麗三郎の4人が登場。彼らは「ワールドレコード」のイントロをダイナミックに鳴らしたり、「わたしのすがた」にてパンキッシュな轟音のアンサンブルを挟んだりと息の合った合奏を繰り出す。また荒内佑(Key, Cho)が奏でるエレピの音色が印象的なアーバンソウル「Summer Soul」をはじめ、7人はブラックミュージックのエッセンスを取り入れたサウンドで観客を揺らした。

cero「Wayang Paradise」初日公演の様子。(撮影:三浦知也)

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今回の2DAYS公演はいずれも川村亘平斎によるインドネシアの影絵芝居「ワヤン・クリ(Wayang Kulit)」をフィーチャーしたもので、初日公演にはVIDEOTAPEMUSICもVJとして参加。「船上パーティー」ではVIDEOTAPEMUSICが古い外国映画の豪華客船やダンスシーンの映像を次々表示させ、楽曲の非日常的な雰囲気をビジュアルで表現した。一方川村はアフロポップ調のナンバー「Elephant Ghost」の曲中で影絵を操りながら“象の幽霊”を名乗り、おどろおどろしく「この大きな夜は私の世界、どんなものでも思いのままに変えられる。あなたたちに空飛ぶペンギンを見せてあげよう!」と話す。そんな彼のセリフ回しを合図にバンドも楽曲を「exotic penguin night」にスイッチする巧みなステージ運びで観客を驚かせた。

cero「Wayang Paradise」初日公演の様子。(撮影:三浦知也)

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cero「Wayang Paradise」初日公演の様子。(撮影:三浦知也)

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高城晶平(Vo, Flute, G)がラップのようなフローで歌詞を届けた「ticktack」や哀愁交じりのアダルトなアレンジを施した「ターミナル」を経て、彼らはニューシングル「Orphans」を披露。VIDEOTAPEMUSICによる都市の映像がステージに向かって投影される中で、高城らは映像を体に受けながらはかなげに楽曲を歌い上げる。続けてバンドは「夜去」をプレイし、楽曲のアウトロではあだちが1人でサックスの音を高らかに鳴らす。そこへ荒内がピアノの音を重ね、高城が「Wayang Paradiseへようこそ!」と話した瞬間にリズム隊の伴奏が加わって前作シングル「Yellow Magus」に。高城は手元の機材を操ってトリッキーなSEを注入したり、メンバーの演奏に体を預けたりしながら軽快に歌唱する。そのままスキャットを交えてノンストップで小沢健二「1つの魔法 (終わりのない愛しさを与え)」のカバーを歌った。

「さん!」で本編を終えた彼らはアンコールでも充実のパフォーマンスを展開。「Contemporary Tokyo Cruise」の合唱で一体感を作り、「マイ・ロスト・シティー」では扇情的なリズムでオーディエンスをどんどん盛り上げていく。最後は上空から夜景を見下ろす映像とともに、浮遊感を高めたアレンジで「小旅行」を披露。余韻をたっぷり残して初日を締めくくった。

2日目

cero「Wayang Paradise」2日目公演のbiobiopatataのパフォーマンスの様子。(撮影:三浦知也)

cero「Wayang Paradise」2日目公演のbiobiopatataのパフォーマンスの様子。(撮影:三浦知也)[拡大]

初日とは異なり、ステージに幕がかけられた状態で開演時間を迎えた2日目。最初の音をオーディエンスに届けたのは遠藤里美(片想い)らによる6人組の管弦楽団・biobiopatata。客席後方から登場した彼女たちは通路を練り歩きながら「水平線のバラード」をインストで披露し、最後はステージの幕に投影された影絵を背に曲を終える。そして観客からの拍手が鳴り止む前に、今度はステージ上のメンバーが「Yellow Magus」のパフォーマンスをスタート。ceroは初日の面々に古川麦(Horn, Tb, Viola)を交えた8人編成によるグルーヴィな演奏で、マーチのリズムをイントロに取り入れた「マウンテン・マウンテン」などの楽曲をプレイしていった。

cero「Wayang Paradise」2日目公演の様子。(撮影:三浦知也)

cero「Wayang Paradise」2日目公演の様子。(撮影:三浦知也)[拡大]

cero「Wayang Paradise」2日目公演の様子。(撮影:三浦知也)

cero「Wayang Paradise」2日目公演の様子。(撮影:三浦知也)[拡大]

この日は川村の影絵と、天井から吊り下げられた電球や柱状のライトなど照明を多用したステージ演出が用意された。ビジュアル面だけでなく彼らはメンバー編成も前日から大幅に変え、演目に合わせて柔軟に変えるスタイルでライブを行っていく。biobiopatataを招いて前日以上にエキゾチックな「Contemporary Tokyo Cruise」を作った高城が「大人数って楽しいね。戻れなくなりそう」と満足気に話す一方で、次の曲はチェロとバイオリンを伴うのみの“少人数”でバンド初期のナンバーを演奏。幅広い音楽表現をメンバーおよびパート替えによって実現させた。

多彩な内容のパフォーマンスで観客を魅了させながら、高城はMCにて来年ニューアルバムを出したいと発言。そして初期のナンバーからも気付かされるものがあるという話題から1stアルバム収録曲「あののか」をじっくりプレイした。高城、荒内、橋本翼(G, Clarinet, Cho)が最後の一音まで丁寧に音を紡ぎ、拍手が鳴り止むのを待ったあとでこの日も聴衆に「Orphans」を届けた。背後に影絵のビル群を映しながら、彼らは歌詞の世界観を素朴に表現する。そして「もうやりきったよね」と万感の思いを口にする高城たちは軽やかに「さん!」を演奏して本編を終えた。

アンコールではまず7人とストリングスのメンバーを交え、たっぷり時間をかけてスローナンバー「マクベス」をプレイ。続けてこれまで登場した全メンバーを登場させて“総勢16名のcero”をステージ上で作り上げる。高城は自分のやりたいイメージを具現化させてくれた友人とスタッフに感謝を述べ、オーケストラルな「小旅行」と異国風情に満ちた「 (I found it) Back Beard」を全員で演奏。再々度の声にも応じて最後に「あとがきにかえて」で2日間公演の幕を下ろした。

※記事初出時、一部アーティスト名の表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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cero「Wayang Paradise」
2014年12月21日 EX THEATER ROPPONGI公演

メンバー

高城晶平 / 荒内佑 / 橋本翼 / MC.sirafu / あだち麗三郎 / 厚海義朗 / 光永渉
影絵:川村亘平斎
VJ:VIDEOTAPEMUSIC

セットリスト

01. ワールドレコード
02. マウンテン・マウンテン
03. わたしのすがた
04. Summer Soul
05. 船上パーティー
06. 我が名はスカラベ
07. Elephant Ghost
08. exotic penguin night
09. ticktack
10. ターミナル
11. あとがきにかえて
12. あののか
13. Orphans
14. 夜去
15. Yellow Magus
16. 1つの魔法 (終わりのない愛しさを与え)
17. さん!
<アンコール>
18. Contemporary Tokyo Cruise
19. マイ・ロスト・シティー
20. 小旅行

cero「Wayang Paradise」
2014年12月22日 EX THEATER ROPPONGI公演

メンバー

高城晶平 / 荒内佑 / 橋本翼 / MC.sirafu / あだち麗三郎 / 光永渉 / 厚海義朗 / 古川麦 / biobiopatata(遠藤里美、てんこまつり、ホンダユカ、ハラナツコ、菅原雄大、林亨) / 関口将史 / 田島華乃
影絵:川村亘平斎

セットリスト

01. 水平線のバラード(biobiopatata)
02. Yellow Magus
03. マウンテン・マウンテン
04. Summer Soul
05. Elephant Ghost
06. 我が名はスカラベ
07. 大洪水時代
08. 船上パーティー
09. マイ・ロスト・シティー
10. Contemporary Tokyo Cruise
11. roof
12. バードコール
13. outdoors
14. cloud nine
15. あののか
16. Orphans
17. 夜去
18. さん!
<アンコール>
19. マクベス
20. 小旅行
21. (I found it) Back Beard
<ダブルアンコール>
22. あとがきにかえて

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エモ太(又はOK-MURA) @emota

世間的にもっと浸透してもよさそうなバンドナンバー1!だと思うけど、どう?/cero、六本木に作り上げた2日間の非日常空間「Wayang Paradise」 - 音楽ナタリー http://t.co/mCian5wFtu

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