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顧問豊作2日目、民生“SMAカンタビレ”ライブ

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「『顧問豊作』奥田民生 day『SMAカンタビレ風』」の様子。(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)

「『顧問豊作』奥田民生 day『SMAカンタビレ風』」の様子。(撮影:三浦憲治&TEAM LIGHTSOME)

9月20、21日に東京・日比谷野外大音楽堂にてライブイベント「SMA 40th YO-KING & 奥田民生 presents『顧問豊作』」が開催。21日公演で、奥田民生によるレコーディングライブ「『顧問豊作』奥田民生 day『SMAカンタビレ風』」が行われた。

この日の公演は過去に民生が行った「ひとりカンタビレ」のSMA40周年バージョン。民生はSMA所属のアーティストをゲストに迎えて、野音のステージで新曲1曲の公開レコーディングを実施した。開演時間の15:00に観客が続々と会場に入場すると、ステージには黙々とアコースティックギターを弾いている民生の姿があり、スクリーンにはステージの様子や、レコーディングの要となるDAWソフトの画面が映し出されていた。

開演から30分ほど経ったタイミングで、民生は「SMA40周年を記念してお送りします。本日は1曲録音するのをただ観ていただくという、まったく盛り上がらない何時間かになると思います。今日はSMA所属のみんながいますし、途中で余興もありますんで、楽しみにしててください」と挨拶。続けてステージでレコーディングの準備をしているメンバーを紹介し、ここではSMA顧問であり「顧問豊作」のプロデューサーを担当しているYO-KING(真心ブラザーズ)、八熊慎一(SPARKS GO GO)、山内総一郎(フジファブリック)が紹介され、ベーシックトラックの録音が行われた。

ベーシックトラックの録音は、民生(Dr)、八熊(B)、山内(G)に加え、ゲストとしてSPARKS GO GOのたちばな哲也(Dr)、橘あつや(G)も参加。八熊はベースを肩から2本下げて、前半と後半のパートでそれらを使い分ける荒業を披露。しかし2本のベースの切り替えの部分で難航し、ベースパートは撮り直しの末にパンチイン&パンチアウトを駆使して無事に録り終えた。ステージの機材入れ替え時には民生、YO-KING、八熊、山内がじゃんけんをして勝者が1曲歌えるという余興が展開された。ここではYO-KINGが「絶対勝つぞー!」と宣言した通り、見事勝利して、KinKi Kidsへの提供曲「Hey! みんな元気かい?」を披露した。

続いては先に録り終えたベーシックトラックに、さまざまな楽器や歌を重ねていくオーバーダビングに移る。キーボードの斎藤有太、渡辺シュンスケが登場し、それぞれオルガン、ピアノの伴奏を収録。ここではオルガンのアウトプットに使用したLeslieスピーカーに興味を示した民生が、内部の回転するホーンローターとドラムローターによってサウンドに揺らぎが生まれる仕組みを「中のスピーカーが回ってて、エロエロエロエロって音が出るんですよ」とざっくりと解説する一幕も見られた。

このほかレコーディングの合間には八熊を中心としたトークが常に行われており、八熊は黒柳徹子のモノマネをして「YO-KINGさんは真心あるの? 真心のもう1人はどこいったの? もう1人の真心さんはいつからああなっちゃったの?」と話しかけるなどして観客を笑わせていた。このあと、フジファブリックの金澤ダイスケ(Key)が参加し、ワイルドなキーボードソロが披露される。無事にキーボード隊の録音が終わると、余興タイムで山内がフジファブリック「STAR」をアコギ弾き語りで歌い上げた。回線トラブルで待ち時間が伸びた関係で、さらに八熊による弁当の食レポなどで時間をつなぎ、民生は弾き語りで「風は西から」を歌って会場を盛り上げた。

その後ストリングスのレコーディングに参加したのは佐藤帆乃佳カルテット。なぜか1stバイオリンを蝶ネクタイをした桜井秀俊(真心ブラザーズ)が担当しており、1回目のレコーディング音源を聞き直した民生は「1stが一番弱気です」とあまり達者ではない桜井のバイオリン演奏についてツッコミを入れていた。しかし桜井はなんとかカルテットの一員として決められたパートを演奏し切ってストリングスの録音を終えた。

八熊が自身のソロ曲「TODAY」を弾き語りで披露したのち、ギターソロのレコーディングコーナーに。ここでは白井良明(ムーンライダーズ)がネイティブアメリカン風の羽飾りを頭にかぶって登場。白井は「起承転結のギターソロを」と挑んだが、民生から「全部これ“承”じゃない」と言われるほどの激しいソロを弾き倒して楽曲に彩りを加えた。その後桜井がROLLYを意識したというピンクの派手な衣装を着用してバイオリンソロのために再び姿を見せる。桜井は細川たかし「北酒場」のフレーズをウォーミングアップがてら演奏してからソロの録音に挑んでいた。ボーカルパートの録音では、YO-KINGが「どかーんと!」というフレーズを歌う場面もあった。その後ゲスト参加した住岡梨奈がAメロを、川畑要(CHEMISTRY)がコーラスを歌唱し、数テイクで民生から「オッケー!」と声をかけられていた。

すっかり日が暮れて、レコーディングも終盤に差し掛かったところで、合唱コーラスのために多数のゲストがステージに招かれる。ここでは大貫亜美(PUFFY)、福岡晃子(チャットモンチー)、蒼山幸子(ねごと)、ワタナベマユ、トミタ栞、UCARY(UCARY & THE VALENTINE)、田中美里、住岡梨奈という女性陣と、これまでに出演した男性アーティストに加えて近藤洋一(サンボマスター)、加藤慎一(フジファブリック)が参加。民生はパソコンの前でヘッドフォンをしながらコーラス録りの確認をしており、「リズムも悪ければ音程も悪い!」「ハシッてる! 早く帰ろうとするんじゃない!」「音程よりもリズムと元気が必要なんだよ!」などと最初は檄を飛ばした。そのディレクションもあってか、コーラス参加陣はテイクを重ねるごとに無事にまとまりを見せていった。

ミックスダウンの最中には住岡がテイラー・スウィフト「We Are Never Ever Getting Back Together」を即興のラップ風MCとともに歌い上げた。ステージ上のソファに座ってそれを聴いていた民生は「ああいうコール&レスポンス的なの自分はないのよね」と感想を口にしていたが、YO-KINGと八熊が「いい歌聞きたいなー」と民生にリクエスト。民生は夜風が吹き抜ける野音で「マシマロ」「野ばら」の2曲を観客に届けた。その後、キーボード録音の際に録り忘れたというオルガン演奏のために再び斎藤有太のレコーディングが行われた。ミックスダウンに時間がかかってしまい、さらにフリートークを続けていた民生、YO-KING、八熊だったが、ここでYO-KINGが歌うと宣言。「桜井さん、大至急ギターを持ってきてください」とマイクを使って呼びかけ、桜井と2人で「サマーヌード」を披露した。

そしてイベントのラストにはこの日制作された楽曲のラフミックスバージョンが披露された。この曲は「ハンコください」と題されたナンバーで、ラフミックスのお披露目時には民生がタンバリンを一発録りで足して、イベントの最後ですべてのレコーディングが終了した。ここで完成した音源は会場内で販売されたFelica内蔵のM-CAカードの購入者に向けて配信されている。

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