RIKU(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)の音楽履歴書。

アーティストの音楽履歴書 第28回 [バックナンバー]

RIKU(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)のルーツをたどる

サザンが大好きなサッカー少年がEXILEと出会い、筋骨隆々なボーカルになるまで

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アーティストの音楽遍歴を紐解くことで、音楽を探求することの面白さや、アーティストの新たな魅力を浮き彫りにする「アーティストの音楽履歴書」第28回には、連載初のダンスボーカルグループのアーティストとなるTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEのRIKUが登場。今回は、鍛え上げられた肉体と持ち前のハイトーンボイス、そして誰からも愛されるまっすぐなキャラクターでファンを魅了するRIKUのこれまであまり語られることのなかった音楽的ルーツを聞いた。自身のルーツとなった楽曲で構成されたプレイリストと幼少期の写真と共に楽しんでほしい。

取材・/ 清本千尋

気付いたらもう歌っていた

僕はMr.Childrenの「innocent world」が発売された1994年の8月10日に生まれました。両親が音楽好きで常に家に音楽が流れていたので、小さい頃から流れている歌を真似して歌っていたみたいです。自分の一番古い記憶でも、プレイヤーに表示されたトラックナンバーと歌詞カードの数字を照らし合わせて、一生懸命読める部分だけを読んで、読めない漢字の部分は真似して歌っていたことを覚えています。気付いたらもう歌っていたんですよね。

生後7カ月の頃のRIKU(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)。

生後7カ月の頃のRIKU(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)。

両親はマイケル・ジャクソンが好きで、子供の頃からミュージックビデオやライブ映像を一緒に観ながらMVや曲に込められたメッセージを教えてくれたんです。いろんな人種の方が登場する「Black Or White」のMVは鮮烈に覚えています。特に終盤の1人の人がいろんな人種に変化していくシーンのことはずっと覚えていました。当時はそれぞれの曲やMVに込められたメッセージを説明されてもよくわからなかったですが、今ではわかることもたくさんあって。マイケルの曲は全部世界平和を歌っていてすごく好きです。そうやってリスナーに救いを与えてきたマイケルの音楽を聴いてきたから、自分も目の前にいる人を音楽で救いたいと思うし、音楽はその可能性を秘めたものだと信じています。

僕は活発でサッカーが大好きな子供でした。そして“音楽を聴く”という行為をしなくともそばにあったので、小学校の音楽の授業があるまでは“音楽”というものがあることを認識していなかったです。楽器を弾きたいと思うこともなかったけれど、あまり練習しなくてもリコーダーが吹けて音楽の成績がよくて。あとすごく目立ちたがり屋で、合唱のときには1人で舞台の中心に立って目立てるからという理由で指揮者に立候補したんです。指揮者になるにはオーディションを受けなくてはいけなくて……それが僕にとって初めてのオーディションでした。給食の時間に何人か立候補者が集められて先生に言われた通りに指揮をして、その中から僕が選ばれたんですよ。今思えば、小さい頃から音楽を聴いていたからリズム感覚が身に付いていたのかも知れないです。

サザンを聴いて育った少年が歌手になり「Mステ」で桑田佳祐と初共演

家ではマイケル以外にサザンオールスターズさんやミスチルさん、ゴスペラーズさんの曲がよく流れていて。当時の僕はサザンが特に好きで、小5の頃にサザンの新しいアルバムが出ると知って親にお願いして買ってもらったのが「キラーストリート」です。意識的に何度も聴いた作品はこれが初めてでした。サザンは夫婦でバンドをやっているのがまずカッコいいなと思いましたし、桑田佳祐さんがバンドの中心ではあるけれど、原由子さんをはじめ桑田さんを支えるほかのメンバーの皆さんの空気感も好きで。「エロティカ・セブン」みたいな子供にはまだ早い言葉が入ったような曲もサザンは多いですけど、何もわからない僕は普通に歌っていましたね。そういう曲がある一方で、聴く人を優しく包み込むような楽曲もいっぱいあって「サザンにはできない音楽がないんだな。なんでもできるんだ!」と子供ながらに思ったんです。ポップスもソウルもR&Bもロックも全部やれちゃうのがサザン。あまりバンドを聴いてこなかった僕にとって、サザンはロックでもあるんです。

3歳の頃のRIKU(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)。

3歳の頃のRIKU(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)。

サザンの音楽にまつわる思い出は本当にたくさんあって、「あ、この曲は祖父母の家に行く車の中で聴いていたな」とか、曲ごと、アルバムごとに思い出せる情景があるんです。初めて行ったライブもサザンですし、自分の音楽ルーツの始まりはサザンかもしれないです。ライブには母と2人で行ったんですが、生でサザンを観るのも初めてだったし、音楽を聴きに来たはずなのに、ステージからホースで水を撒いたり、セクシーな女性ダンサーの方が出てきたりで、そのお祭りのような内容に衝撃を受けました。バラエティに富んだライブが刺激的で、よりサザンが好きになった瞬間でしたね。THE RAMPAGEとしてデビューして初めて「ミュージックステーション」に出たときに、たまたま桑田さんも出演されていて。自分が音楽の道を選んで「Mステ」に初めて出ることが決まって、そこに桑田さんもいるなんて運命だと思いました。ご本人に昔から桑田さんのことを大好きだということを伝えることはできませんでしたが、楽屋挨拶にも行かせていただけてうれしかったです。サザンはデビュー40年を超えた今もなお第一線でやられているのが本当にカッコいいし、シンガーとして桑田さんにめちゃくちゃ憧れています。

サッカー選手の夢破れEXILEと出会った中学時代

中学生の頃、僕は東京では強豪のサッカークラブに所属していたんです。でも中学時代はみんなよりも頭1個分小さかったし、試合も1軍で出られなくて「あ、自分ってこの程度だったんだ。これではプロにはなれないな」とサッカー選手の夢をあきらめました。そのタイミングで母親がEXILEのライブに連れて行ってくれて、そこでまた衝撃を受けて「そうだ、僕は歌が好きだったんだ」と思い出したんです。そんな中で高校に進学して、高2のときにEXPG STUDIOの特待生オーディションを受けたら受かったんですよ。「EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 2 ~夢を持った若者達へ~」でも2次審査までは行けたし、歌の道もあるのかなと思う中で、高校の文化祭ののど自慢大会みたいなイベントに出るようになって。野外のステージに1000人くらいが詰めかけるイベントだったんですけど、高2と高3で2年連続で優勝したんです。そこで大歓声を受けたときに、がんばり次第では歌でプロになれるのかもしれないと思ったんですよね。最初は芸能界を目指していることをバカにされたりもしたんですけど、ステージで歌っているところを見せたり友人をライブに招待する中で周りのみんなが認めてくれて、気付けば応援してくれるようになって。だからTHE RAMPAGEのボーカルとしてデビューできたことで、そうやって応援してくれた人たちに1つ結果を示せてよかったなと思っています。

4歳の頃のRIKU(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)。お遊戯会にて。

4歳の頃のRIKU(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)。お遊戯会にて。

歌手を目指すようになってからは、オープンキャンパスに行っても興味を持てる学部がなかったし、大学には行かず夢に向かってがんばろうと思っていたんです。親は大学に行ってほしかったみたいですが、もう僕は歌の道しか見えていなかったので、「進学はしないけれど絶対に歌手になるから見てて」って1年かけて親を説得して。高校を卒業してからは毎日バイトをしながらレッスンに通って、高校卒業翌年の2013年に開催された「EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 4 ~夢を持った若者達へ~」に運よく受かってTHE RAMPAGEのボーカル候補に選んでもらえたんです。本当に運がよかったなと思うんですけど、なるべくしてなったと思うところもあって。僕は占いがけっこう好きなんですけど、誕生日占いの本に1994年8月10日生まれの人は「人に癒やしを与える効果のある声を持った人」って書かれていたんですよ。しかもCDがリリースされるのはだいたい水曜日じゃないですか。僕が生まれたのも水曜日だったんです。もう、そういう運命だったんだって勝手に結び付けてます(笑)。

三浦大知に見つけた歌って踊れるボーカルのヒント

ダンスを始めたのは、EXPGに入ってからです。ボーカルコースだったんですけど、リズム感を養うためにダンスレッスンも受けることになって、最初は嫌々やっていたんです。そんな中で先輩が課題曲として三浦大知さんの「Your Love feat.KREVA」を歌っているのを聴いてカッコいい曲だなと思って調べてみたら、こんなに踊りながら歌えてカッコいい人がいるんだと驚いて。三浦大知さんは今でも本当に憧れなんです。最近観させていただいた「飛行船」のパフォーマンスも圧巻で、やっぱりこの人に憧れていて間違いはなかったと思いましたね。今もなおその道を極め続ける貪欲な姿勢がすごく好きです。きっとあの人はどこまで行っても「満足する」ということはないんだろうなって。だからこそいつか三浦大知さんのことを超えたいとも思いますし、僕の大きな目標です。

5歳の頃のRIKU(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)。

5歳の頃のRIKU(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)。

ダンスを始めた頃の話に戻すと、自分は三浦大知さんのようになりたいと思ってダンスのレッスンもがんばるようになったんです。HIROさんからも「THE RAMPAGEはボーカルも歌って踊るグループにしたい」と言われていたんですよ。その期待に応えたい、応えられないならLDHに必要ないでしょうと自分を奮い立たせて、1日でも早く歌って踊れるようになろうと、より一層トレーニングやレッスンに励みました。トレーニングはつらいんですよ。所属しているのがコーラスグループだったらこんなに鍛えないです(笑)。歌って踊るボーカルが求められている以上、その期待に応えられるのがプロだと思うし、プロとしてエンタテインメントを発信するのであれば中途半端なものは見せられない。皆さんは決して安くはないチケットを買って、日々忙しい中で時間を割いて僕らのパフォーマンスを観に来てくれるんだから、チケット代の100倍、1000倍の価値のあるステージをお見せしなければと僕は思っていて。あと単純に僕は人が喜んでいる姿が好きで、その笑顔を見られるのであればつらいこともがんばれる。喜ぶ顔をもっと見たいから日々鍛えているんです。

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