映画ナタリー Power Push - 「警部補 矢部謙三~人工頭脳VS人工頭毛~」池田鉄洋インタビュー

矢部と秋葉の“BL関係?”に波乱!! 3代目相棒が語る「トリック」愛

「トリック」シリーズ全作品解説も!

2000年にスタートした「トリック」から生まれ、2010年と2013年に連続ドラマ化された「警部補 矢部謙三」が、auの動画配信サービス・ビデオパスとテレ朝動画限定で配信される。タイトルは、「警部補 矢部謙三~人工頭脳(ZUNOU)VS人工頭毛(ZUMOU)~」。連続殺人犯を逮捕するため山奥の旅館に足を踏み入れた生瀬勝久演じる矢部が、最新鋭の人工頭脳と競いながら事件解決に挑むという、昨今のAIの急激な進歩に警鐘を鳴らすようで鳴らさない、ミステリー&コメディだ。権威にはめっぽう弱いうえに頭部に悲しい秘密を抱える矢部とコンビを組むのは、おなじみ秋葉原人(あきばはらんど)。演じる池田鉄洋に、あり余るトリック愛、矢部(=生瀬)愛を語ってもらった。

取材・文 / 橋本達典 撮影 / 平岩享

「警部補 矢部謙三 ~人口頭脳(ZUNOU)VS人口頭毛(ZUMOU)~」はビデオパス限定で見放題独占配信

池田鉄洋インタビュー

撮影初日から「待ってました!」という雰囲気

──「警部補 矢部謙三」が、おおよそ4年ぶりに復活。「トリック劇場版 ラストステージ」公開の折には、生瀬さんともどもシリーズの完結を惜しまれていましたが、今回オファーを受けたときはどんなふうに思われましたか?

「警部補 矢部謙三~人工頭脳(ZUNOU)VS人工頭毛(ZUMOU)~」より、左から秋葉原人(池田鉄洋)、矢部謙三(生瀬勝久)。

シリーズは「完全に終わり」だと言われていたので、まず驚きました。「ラストステージ」の打ち上げの席では、スタッフさんも含め、やはり未練と言いますか……。「まだまだやりたい!」「いや、いつかやるんだ!」という思いはひしひしと感じましたから、もちろん僕もそうですが、皆さん喜んだと思います。

──とはいえ「トリック」のこと(笑)、復活もあるのでは……と予想されていた?

(笑)。頭のどこかにはありましたね。だけどまさか「矢部謙三」から復活するとは思いもしなかったですけど。それもまた、「トリック」らしいなと。ですが、期待していた半面、もしも復活するのなら、そろそろ秋葉に代わる4代目の相棒が来るんだろうなと覚悟していた部分もあったので、「また僕でいいんですか!?」という喜びと安堵感もあり。衣装合わせのときには、生瀬さんに「まだ池田くんなの?」なんて冗談を言われましたね(笑)。

──いざ、撮影がスタートへ。現場はどんな雰囲気でしたか?

「警部補 矢部謙三~人工頭脳(ZUNOU)VS人工頭毛(ZUMOU)~」より。

もうね、初日からスタッフさんの「待ってました!」という気持ちがあふれていました。最優先で駆け付けたというスタッフさんもいらっしゃいましたし、行けずに残念だという声もたくさん聞きましたし。配信されるドラマをご覧になればおわかりだと思いますが、小道具だとか小物も、みんなそのまま。「トリック」シリーズは完結したわけですから、普通であれば捨てちゃうんでしょうけど、「来る、復活の日のために!」と、大事に倉庫にしまってあったとか。ですから生瀬さんも、矢部謙三としてカツラを……いや、違うか(笑)。生瀬さんいわく“帽子”をかぶった瞬間から、すぐに矢部謙三に戻られていましたし。かく言う僕も、トレードマークである紙袋を持てば秋葉になれましたし。長年、自分の中に染み付いた、愛すべき役なんだなと改めて思いました。

「あの役者はテレビに出しちゃいけないんじゃないか」と言わしめた

──秋葉役として、2005年に放送された「TRICK新作スペシャル」より参加されていますが、当時の気持ちをお聞かせください。

池田鉄洋

(山田里見役の)野際陽子さんが出演された舞台をご覧になった堤幸彦監督が、そこに出ていた私を見て、秋葉役に選んでくださったそうで。当時は、舞台役者としてほとんどテレビドラマに出たことがなかった役者を連ドラのレギュラーで出すんですから、大抜擢ですよね? だから、そのお気持ちが本当にうれしかったですし、期待に応えなきゃと思いました。でも、とあるスタッフさんの奥様がオンエアで秋葉を観て「あの役者はテレビに出しちゃいけないんじゃないか」と。不思議な世界観の作品も多々ある堤監督の映画やドラマを山ほど観てきた奥様にさえ、気持ち悪いと言わしめたそうで(笑)。秋葉は、いわゆる“キモい”キャラクターですから、喜んでいいのやら何やら、複雑な心境でしたね。

──人気シリーズに途中参加ということで、さぞや難しい役だっただろうなと想像します。

堤監督って、試してくるんですよ。「あそこからここに来るまで好きにしゃべってて」とか。「虫がたくさん飛んでる。あとはお願い」とか。それが秋葉のファーストカットで。ラストは、温泉に入っていて「生瀬さんがスーツのままズブズブとお湯に入っていきます。その直前でカットをかけます」と言っていたのに、かけないとか。だから生瀬さんは、本番でどんどんお湯に入っていく。パッと監督のほうを見たら、「お前が何か言わないとカットかけねえぞ」的な目をしてる(笑)。で、困った揚げ句、松田優作さんのモノマネをして「なんじゃこりゃあ!」って叫んだんですね。今思うと恥ずかしい……もっと面白いことが言えなかったのかなと反省するんですけど、その洗礼には大いに鍛えられました。右も左もわからなかったので、ほかの現場でも、いろんなことをやっちゃって。あちこちで怒られたりして(笑)。とは言え、「トリック」によって広く顔を知っていただきましたし。当時は4畳半の風呂なし、共同トイレのアパート暮らしの貧乏役者でしたから、堤監督には感謝してもし足りないくらいです。

ドラマ「警部補 矢部謙三~人工頭脳(ZUNOU)VS人工頭毛(ZUMOU)~」

ドラマ「警部補 矢部謙三~人工頭脳(ZUNOU)VS人工頭毛(ZUMOU)~」
2017年3月7日(火)23:23(みんなフサフサ)auビデオパス・テレ朝動画にて配信開始(全5話)※以降、毎週火曜に1話ずつ更新

「トリック」シリーズに登場するキャラクター、矢部謙三を主人公としたドラマ「警部補 矢部謙三」シリーズの新作。天才科学者ディープ・マナブが、自ら開発した人工知能ゴッド・アイ・ジョーを使って、日本警察が手も足も出せない殺人犯・闇の行司を捕まえると宣言した。それを知った警視総監は引くに引けなくなり、責任を押し付けるべく刑事・矢部を殺人事件の専任捜査員に任命。闇の行司の目撃情報があった温泉地へ意気揚々と向かう矢部と彼の部下・秋葉原人は、そこでディープ・マナブと壮絶な頭脳戦(頭毛戦)を繰り広げることとなる。

スタッフ / キャスト
  • 脚本:福田卓郎
  • 音楽:辻陽(※辻は一点しんにょうが正式表記)
  • 演出:木村ひさし
  • 出演:生瀬勝久、池田鉄洋、袴田吉彦、大高洋夫、内田慈、森岡豊、上遠野太洸、山地まり、コビヤマ洋一、中村祐志、佐戸井けん太、大和田伸也

「トリック」シリーズ全作品
ビデオパスで見放題配信中

<テレビシリーズ>
  • 「TRICK」
  • 「TRICK2」
  • 「木曜ドラマTRICK」
  • 「警部補 矢部謙三」
  • 「警部補 矢部謙三2」
<スペシャルテレビドラマ>
  • 「TRICK新作スペシャル」
  • 「TRICK新作スペシャル2」
  • 「TRICK新作スペシャル3」
<劇場映画>
  • 「トリック劇場版」
  • 「トリック劇場版2」
  • 「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」
  • 「トリック劇場版 ラストステージ」

「警部補 矢部謙三 ~人口頭脳(ZUNOU)VS人口頭毛(ZUMOU)~」はビデオパス限定で見放題独占配信

auビデオパスとは

「ビデオパス」は映画(洋画・邦画)やドラマ、アニメなどさまざまなジャンルの映像作品を視聴できる、auスマートフォン向けの動画配信サービス。最新のレンタル作品や月額562円(税抜)の見放題プランに加え、会員登録不要の無料作品もご用意。見放題プランは、毎月もらえる「ビデオコイン」を使って追加料金なしで毎月1本の最新作品を視聴でき、初回登録時には30日間無料でお試し視聴できる。

池田鉄洋(イケダテツヒロ)

1970年10月31日生まれ。東京都出身。舞台、テレビドラマ、映画、CMなどで幅広く活躍。テレビドラマ「医龍~Team Medical Dragon~」シリーズや、コントを中心としたバラエティ番組「サラリーマンNEO」で注目を集める。2011年、「行け!男子高校演劇部」で初めて映画の脚本を手がけた。また所属劇団・猫のホテル内でコントユニットの表現・さわやかを立ち上げ、劇作家、演出家としても活躍している。2016年には「舞台版 こちら葛飾区亀有公園前派出所」や、阿佐ヶ谷スパイダース「はたらくおとこ」に出演したほか、舞台「パタリロ!」の脚本を担当(2018年春には第2弾が上演予定)。出演舞台「東京2/3」が、2017年5月10日から14日まで東京・サンシャイン劇場で上演される。