映画ナタリー Power Push - 「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」

宮藤官九郎×長瀬智也×神木隆之介 3人の戦友が語る、“地獄の軽音楽部”誕生秘話

目の前にいるのは長瀬さんじゃなくて鬼なんです(神木)

──長瀬さんと神木さんは、2001年のドラマ「ムコ殿」以来の共演です。

長瀬 最近たまたま「ムコ殿」で共演したときの映像を観たんですけど、リュウがもうかわいくて。あのシーンが……。

神木 お風呂場の!

長瀬 そう、お風呂場で一緒のシーンとかね。とにかく「うわあ、こんなちっちゃかったんだ!」って、かわいくてかわいくて、もう。(神木を見つめて)すっごいかわいかったよ!

神木 マジですか(笑)。

長瀬 ちょうど今のリュウが、「ムコ殿」やってた頃の僕と同い年なんですね。リュウは、いい意味でかわいいまま大人になってると思う。でも今回、ちゃんと役同士でのコミュニケーションを意識してるなってことを感じましたね。この作品だったらキラーKと大助の温度差が面白いとか、観る人にとってのツボを考えているし、刺激をもらった部分がたくさんあった。僕にないものを持っているから、そういうデコボコな感じも面白かったし。「休みの日どこ行くの?」とか普段の生活の話をしても、僕が絶対しないような遊びをしてるんですよ。

──神木さんは、長瀬さんと久々に共演していかがでしたか?

神木隆之介

神木 前回長瀬さんにお世話になったときは8歳くらいだったので、僕は何も考えずにやっていたんです。でも今はそれぞれ考えてきた演技のプランをリハーサルでぶつけ合うことができて、少し不思議な気持ちでした。しかも目の前にいるのは、鬼なんです(笑)。

長瀬 ふふ。長瀬じゃなくてね。

神木 キバが生えているし、ツノも生えているし。だけど長瀬さんは人間そのものがカッコいいし、年下の僕が言うのもなんですけど、すごくかわいい部分もあって。いつも強く出るけどたまに情けないキラーKがすごく愛おしく思えるのは、長瀬さんの人間性なんだなって思いました。

宮藤さんは、基本パンクの人(長瀬)

──長瀬さんと神木さんは、クランクアップ会見の際に宮藤さんについて「普通では思い付かないような提案をしてくれる監督」とおっしゃってましたね。

左から神木隆之介、宮藤官九郎。

神木 宮藤さんは演技指導してくださるときに、スーッて来て、「こうでお願いします」って言ってくださって、またスーッて戻っていくんです。でも、すごくカッコいい演技指導をしてくださるんです!

宮藤 カッコいい演技指導? カッコつけてたってことかなあ(笑)。

神木 単純なのがすごくカッコいいと思うんです! ギターを「顔で弾け」って言われたり、演奏シーンなのに「お前、ギター弾くな」って言われたり。その結果カッコ悪いんだけど憎めないようなキャラクターになっていって。大助がモテたくて努力しているところとか、ダサいんだけど素直ですごくまっすぐなんですよ。

──無茶振り的なことはありました?

大助(神木隆之介)は地獄でさまざまな拷問を受ける。

宮藤 今回は無茶振りはないですよ。1日中吊られてたくらいだよね?

神木 そうです(笑)。

宮藤 地獄の拷問シーンでずっと吊られてる撮影が続いた日があって、「今日ずっと吊られてるな」って気が付いたんだよね(笑)。でも、そもそも拷問されてるので、それ以上の無茶振りはしてないです。

──長瀬さんは、印象に残っている宮藤さんの演出はありましたか?

長瀬 宮藤さんは、基本パンクの人なんだなって思うんですよね。そのシーンで伝えないといけないことはきちんと目指すんだけど、そこに行き着くまでの道のりがすごく自由だし、型をぶっ壊してるというか。今回だと、セットの作りかけの部分をわざと使ったりとか。

宮藤 うん(笑)。

長瀬 地獄の中に教室が出てくるんですけど、その壁がところどころ抜けてるんですよ。で、キラーKが教室の中に入るときに、わざわざ遠回りしてセットのドアから入ろうとするの。でもちょっとずつ壁がないもんだから、奥で僕がドアまで走っていくのが見えてるんだよね(笑)。

地獄農業高校のセット。

宮藤 それを全部撮ってるっていう。

長瀬 普通だったら「そこ抜けてるから壁を埋めよう」とか、カメラのアングルで見えないようにすると思うんですけど。わざと抜けてるところを狙うんですよ。

宮藤 でも、前に出てギターを弾こうとしたらシールドが抜けて、ペラペラな音しか出ないっていうのは長瀬くんのアイデアだったんですよね。

長瀬 あの残念さってなんなんでしょうね。

宮藤 カッコつけたつもりが音出てないときのね。「前に出なきゃよかった!」っていう瞬間だよね。

長瀬 めっちゃ盛り上がるところでボリューム上げるの忘れてたりね。「ああっ!」って。

宮藤 キラーKは一応、鬼になりたてっていう設定でやってたんです。だからキバが邪魔してときどき滑舌が悪かったりする。長瀬くんが気にしてたのは、「あんまりキバに慣れないほうがいい」ってことで。最初キバを付けて本読みやってみたら、一気に説得力がなくなったから(笑)。(関大助と言おうとして)「へきだいしゅけ、へきだいしゅけ」って!

長瀬 あっはは!

宮藤 これは面白いと思った。どうしても真面目なシーンは、セリフだけキバ付けずに別に録ったりして。最初はキバも上下用意してもらったんですけど、そうすると本当にしゃべれないので。だから長瀬くんと清野(菜名)さんは上だけにしてもらって。桐谷(健太)くんは、どうせ何言ってるかわかんないからどっちも付けてって(笑)。

ABOUT THE MOVIE

「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」2016年6月25日より全国公開
「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」
ストーリー

普通の高校生・大助は、同級生のひろ美のことが大好き。しかし修学旅行中のある日、大助は不慮の事故で命を落としてしまう。彼が目を覚ますと、そこは真紅に染まった空が広がり、ドクロが転がる“地獄”だった。慌てる大助を待ち構えていたのは、地獄農業高校の軽音楽部顧問で、地獄専属ロックバンド・地獄図(ヘルズ)のボーカル&ギターを務める赤鬼のキラーK。彼によると、閻魔大王の裁きにより人間に転生するチャンスがあるという。「ひろ美ちゃんにもう一度会いたい!」と願う大助は、キラーKの“鬼特訓”のもと、生まれ変わりをかけた地獄めぐりをスタートさせるが……。

スタッフ

監督・脚本:宮藤官九郎

主題歌:地獄図「TOO YOUNG TO DIE!」

キャスト

キラーK:長瀬智也
大助:神木隆之介
なおみ:尾野真千子
ひろ美:森川葵、宮沢りえ
COZY:桐谷健太
邪子:清野菜名
松浦:古舘寛治
じゅんこ:皆川猿時
修羅:シシド・カフカ
鬼姫:清
えんま校長:古田新太
その他キャスト:坂井真紀、荒川良々、瑛蓮、みうらじゅん、Char、野村義男、ゴンゾー、マーティ・フリードマン、ROLLY、快速東京、木村充揮、関本大介、ジャスティス岩倉、烏丸せつこ、田口トモロヲ、片桐仁、平井理央、中村獅童ほか

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PROFILE

宮藤官九郎(クドウカンクロウ)

1970年7月19日、宮城県生まれ。1991年より大人計画に参加し、「真夜中の弥次さん喜多さん」「少年メリケンサック」「中学生円山」といった作品の監督を務めるほか、多くの脚本、演出などを手がける。ドラマでは「池袋ウエストゲートパーク」「うぬぼれ刑事」「11人もいる!」「あまちゃん」などの脚本を担当。俳優としての出演作も「ゲゲゲの女房」「バクマン。」ほか多数。1995年に結成したパンクコントバンド・グループ魂ではギタリストを務め、作詞作曲も担当している。

長瀬智也(ナガセトモヤ)

1978年11月7日、神奈川県生まれ。1994年にTOKIOのメンバーとしてデビューし、2014年にはジャニーズ史上初めて夏フェス「SUMMER SONIC 2014」に参加。1995年にドラマ「カケオチのススメ」で初主演を果たし、以降ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」「ムコ殿」「タイガー&ドラゴン」「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」「うぬぼれ刑事」などに主演。出演映画には「ソウル」「真夜中の弥次さん喜多さん」「ヘブンズ・ドア」などがある。

神木隆之介(カミキリュウノスケ)

1993年5月19日、埼玉県生まれ。1999年「グッドニュース」でドラマデビュー。2005年に主演作「妖怪大戦争」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。「11人もいる!」「サムライせんせい」などテレビドラマで活躍する一方、「劇場版 SPEC~天~」「桐島、部活やめるってよ」「るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編」「脳内ポイズンベリー」「バクマン。」などに出演。2016年公開待機作に「太陽」や声の出演をする劇場アニメ「君の名は。」ほか。


2016年6月23日更新