中村佑介が語る「トランスフォーマー/最後の騎士王」|マイケル・ベイの過剰なサービスと気遣いに敬意

この時代に残る、代用できない価値あるもの

──中村さんは変形玩具がお好きということですが、本作の変形シーンはいかがでした?

一回分裂したあとまたくっつく、マグネット合体的なシーンがすごかった。変形とは違う面白さがありましたね。それを玩具的コストの中で形にしないといけないタカラトミーの人たちは大変だろうなって思いました(笑)。

──確かに、大変そうですね(笑)。

中村佑介

僕は商業作家でアーティストではないんですが、今の時代「アートとは何か」と聞かれたとき、誰もが簡単に答えを言えなくなってしまった。その中で1つの答えがこの変形玩具なんじゃないかと思ってるんです。今の時代、無料で観たり、聴いたりすることが当たり前になっている。代用が利くんなら「YouTubeでいいか」みたいな。そんな中で物を手に入れる魅力ってなんだろうってことを作り手の1人としてよく考えていて、この玩具のようなjpgやMP3などで代用できないものが残っていくと思うんです。

──体験こそが大きな価値になっているということですか?

そうです。マイケル・ベイ監督が3DやIMAXなど手元にある端末では代用が難しいフォーマットを選んでる理由も同じなんじゃないかと思います。

──本作でイラストにしたいと思ったキャラクターを教えてください。

それぞれのキャラクターに思い入れがあるのでメインキャラクター全員を描きたいです。あとさっきも言ったように「トランスフォーマー」っていうのはさまざまな関係性が切り取られているので、組み合わせたイラストを描こうと思えば何百通りもいける。でも時間的な制約で全部は描けそうにありませんが(笑)。

──ちなみに一番好きなキャラクターはなんですか?

ハウンドです。デブのおっさんのキャラクターなんですけど、それを僕が描いたところで……求められていないっていうね(笑)。なので求められているスクィークスとイザベラを描こうと思っています。その2人を中心にスペースがあれば所狭しといろいろ描こうかなと。

これまでの中で一番メガトロン

──シリーズを観たことがない中村さんのファンの方々に本作をオススメするとしたらなんと言いますか?

これまでの作品は男映画だったと思うんです。でも新作は女性のメインキャラクターが2人いて、スクィークスやコグマン、ホットロッドなどかわいいキャラも登場して誰が観ても楽しいです。しかもそれぞれのキャラクターの関係性が描かれて、それを観ているだけで面白いんじゃないかな。

──では最後にシリーズのファンに一言お願いします。

「トランスフォーマー/最後の騎士王」より。

メガトロンがこれまでの実写映画の中で一番メガトロンだったって伝えたいです(笑)。「扱いやノリが一番メガトロンだったねー」というファン同士だからできる話を、早くみんなと共有したいですね。

キャラクター紹介

  • オプティマス・プライム(CV:ピーター・カレン / 吹替:玄田哲章)
    オプティマス・プライム
    (CV:ピーター・カレン / 吹替:玄田哲章)
    オートボットを率いる正義のリーダーで、プライム族最後の末裔。16輪の大型トラック・ピータービルトにトランスフォームする。創造主によって暗黒面に導かれ“ダーク・オプティマス”として人類を滅亡の危機に陥れる。
  • バンブルビー
    バンブルビー
    オプティマスのよき右腕であり、人間に友好的なオートボット。声帯機能が壊れていてラジオを通して会話する。シボレー・カマロにトランスフォームし、オプティマスが不在の中リーダーとしてディセプティコンと戦う。
  • ホット・ロッド(CV:オマール・シー / 吹替:多田野曜平)
    ホット・ロッド
    (CV:オマール・シー / 吹替:多田野曜平)
    第2次世界大戦時にバンブルビーとコンビを組んでいたオートボット。バートン卿に仕え、ボディガード的な役割を果たしている。黒いランボルギーニ・チェンテナリオにトランスフォームする。
  • コグマン(CV:ジム・カーター / 吹替:金子由之)
    コグマン
    (CV:ジム・カーター / 吹替:金子由之)
    中世の時代から選ばれた人間の側近として仕えてきた執事のような存在のトランスフォーマー。オートボットやディセプティコンとは異なるヘッドマスターという特殊な種族で、トランスフォームはしない。
  • スクィークス
    スクィークス
    バイクのベスパからトランスフォームしたオートボット。イザベラと旅を続ける中で負傷し、ビークルモードに変身できなくなってしまう。言葉を話すことはできず、機械音で意思表示をする。
  • メガトロン(CV:フランク・ウェルカー / 吹替:中村浩太郎)
    メガトロン
    (CV:フランク・ウェルカー / 吹替:中村浩太郎)
    オプティマス・プライムのライバルで、ディセプティコンを率いる凶悪なボス。試作品のガルバトロンとしてよみがえった後、メガトロンとして完全復活した。ジェット機のような姿へトランスフォームする。
  • ケイド・イェーガー(マーク・ウォールバーグ / 吹替:土田大)
    ケイド・イェーガー
    (マーク・ウォールバーグ / 吹替:土田大)
    バンブルビーたちオートボットとともにディセプティコンと戦ってきた発明家。政府に狙われており、現在は愛する娘と離れて生活している。
  • ヴィヴィアン(ローラ・ハドック / 吹替:樋口あかり)
    ヴィヴィアン
    (ローラ・ハドック / 吹替:樋口あかり)
    オックスフォード大学の教授。ホット・ロッドに拉致されるような形でバートン卿のもとに連れてこられ、自身の家系の秘密を知る。
  • イザベラ(イザベラ・モナー / 吹替:桜井日奈子)
    イザベラ
    (イザベラ・モナー / 吹替:桜井日奈子)
    スクィークスと行動をともにする強い意志を持った少女。両親を失っており、ケイドたちが暮らすスクラップ工場に押しかけてくる。
  • バートン卿(アンソニー・ホプキンス / 吹替:池水通洋)
    バートン卿
    (アンソニー・ホプキンス / 吹替:池水通洋)
    イェーガーとヴィヴィアンにトランスフォーマーたちの秘密を教える英国の老紳士。コグマンとホット・ロッドを従え、人類を救うため奔走する。
「トランスフォーマー/最後の騎士王」
2017年8月4日(金)全国ロードショー
「トランスフォーマー/最後の騎士王」
ストーリー

幾度となく人類を救ってきたオプティマス・プライムが地球を去ったあと、メガトロン率いる悪の集団ディセプティコンは勢力を伸ばし続けていた。正義の集団オートボットのリーダーになったバンブルビーはケイド・イェーガーとともに地球を守ろうとするが、世界は荒廃していく。そんなある日、廃墟と化した街で助けた少女イザベラやバイク型のトランスフォーマー・スクィークスなどとともに暮らしていたケイドのもとに、不思議なトランスフォーマー・コグマンがやってくる。コグマンによって謎の英国老人バートン卿の豪邸に案内されたケイド。そこにはオックスフォード大学の教授ヴィヴィアンも招待されていた。2人はバートン卿によって1000年以上前から始まり、独立戦争、ナポレオン戦争、第2次世界大戦などの歴史のターニングポイントにトランスフォーマーが深く関わっていたことを知る。そんな中オプティマスが地球に帰還。守護神が戻ってきたことで再び平穏が訪れるかと思われたが、彼は仲間であったバンブルビーと人類に刃を向け……。

スタッフ

監督:マイケル・ベイ
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、マイケル・ベイ、ブライアン・ゴールドナー、マーク・バーラディアン
脚本:マット・ホロウェイ、アート・マーカム、ケン・ノーラン

キャスト

ケイド・イェーガー:マーク・ウォールバーグ
ヴィヴィアン:ローラ・ハドック
イザベラ:イザベラ・モナー
ウィリアム・レノックス:ジョシュ・デュアメル
シーモア・シモンズ:ジョン・タトゥーロ
バートン卿:アンソニー・ホプキンス

「トランスフォーマー/最後の騎士王」

「トランスフォーマー/最後の騎士王」
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中村佑介(ナカムラユウスケ)
1978年生まれ、兵庫県出身。大阪芸術大学デザイン学科卒業後、ロックバンドASIAN KUNG-FU GENERATIONのCDジャケットを手がけ脚光を浴びる。その後、さだまさしやSAILSのCDジャケット、「謎解きはディナーのあとで」シリーズの表紙などを描く。また湯浅政明監督、森見登美彦原作のアニメーション「四畳半神話大系」「夜は短し歩けよ乙女」でキャラクター原案を担当。2017年9月18日まで、あべのハルカス内にある大阪芸術大学スカイキャンパスで活動15周年を記念した個展「中村佑介展 15 THE VERY BEST OF YUSUKE NAKAMURA」が開催される。