「忍びの国」大野智×石原さとみインタビュー|リアルにグサッ!リアルにイラッ!?夫婦役を通して抱いた気持ち

監督が「ちょっと動き考えてくれ」って(大野)

──中村監督の作品なだけあって、合戦シーンも小気味よさを感じさせる仕上がりになっていました。大野さんは立ち回りも多かったですがいかがでしたか?

大野 舞台では殺陣の経験があったのですが、今回もやっぱり難しかったです。相手と呼吸を合わせないといけないので、家で1人で練習というわけにもいかないですし。でもちょっと懐かしい感じもありましたね。舞台のときもこんな感じだったなと。

──無門は動きが多彩で面白かったです。

「忍びの国」より、左から無門(大野智)、下山平兵衛(鈴木亮平)。

大野 ひょうひょうと相手をかわす動きは、楽ではないですが体に力が入っていないのでやりやすかったです。(鈴木亮平演じる)平兵衛との一騎打ちは、撮影中ずっと緊張感が続いていました。一手間違えると当たっちゃうので、常に気を張った状態で。そのときばかりは世間話をする余裕もなく、お互い一点を見つめながら頭の中でシミュレーションしていました。

石原 私はアクションシーンの撮影現場にはいなかったので、普通にお客さんとして映像で観ました。ずっとバチバチし合っているんじゃなくて、相手に対して無門がひょうひょうとしてるから和めるんです。あと冒頭の(満島真之介演じる)次郎兵衛との対決は、無門の残酷さが描かれていて、この映画の色を表すシーンになっていましたね。でも描き方によってはグロテスクになってしまうところを中村監督がポップに仕上げてくださったので、女性も十分観やすい作品だと思います。それでいてゲーム感覚なエンタメで終わらず、最後はしっかり伝わるものがありますし。

──今回、大野さんご自身で動きを付けたシーンもあると聞いたのですが?

「忍びの国」より、左から下山平兵衛(鈴木亮平)、下山次郎兵衛(満島真之介)。

大野 無門が鎧を脱いで戦う場面ですね。監督がいきなり「ちょっと動きを考えてくれ」って振るから、えー!?って。「普通によけるんじゃ面白くないからいろいろやってほしい」と言われたので、じゃあちょっと30分待ってくださいと。

石原 へー、すごい!! もう1回観てみます(笑)。

撮影中は地元トークでリフレッシュしていた(大野)

──ありがとうございます。それにしても、時代劇はあまり夏に撮影しないそうですね。暑くて相当苦労されたのでは?

大野 クランクインしてすぐお国と一緒のシーンの撮影があって、もうそのときから大変でしたよ。暑さが。ずっと汗かいていました。セットの小屋の中で日陰を探しながら、こっちのほうが涼しいかな?とちょこちょこ移動したり(笑)。

石原 私もずっと扇風機を探してさまよっていました(笑)。スッとしている役だから、汗をかきたくなかったので。

──山奥での撮影で、どのようにリフレッシュしていたんですか?

大野 空き時間にずっとしゃべっていたよね。僕たち地元が一緒なんですよ。

石原 そうそう! 同じ町っていうレベルじゃないくらいの近さ(笑)。

大野 「あそこ行ったことある?」「行ってた!」とかね。どんどん盛り上がっちゃって。

石原 習い事の教室とか、よく行っていたお店が同じだったり。あとバス停の話もしましたよね。

大野 「さとみちゃんそこにいたんだ、すれ違っていたかもね?」みたいな(笑)。近いのはなんとなく知っていたけど、ここまで同じだとは思わなかった。

石原 爆笑しながら話していましたよね!

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「忍びの国」
2017年7月1日(土)全国公開
「忍びの国」公式サイト

時は戦国。魔王・織田信長は勢力を拡大し、織田家の天下統一に向け猛進していた。次に狙うは伊賀の国。そこには人を人とも思わない非情な忍者衆が暮らしていた。忍びの1人である無門は、彼の前ではどんな堅牢な門も意味をなさないと形容されるほどの凄腕ながら、普段は怠け者で、女房・お国に頭が上がらない。一方、無門の強さに匹敵する伊賀忍者・下山平兵衛は、家族の命でさえも粗末に扱う伊賀の考えに疑念を抱く。ある日、ついに織田の軍勢が伊賀攻めを開始。平兵衛が祖国を裏切り、伊賀への手引きを行ったのだ。武力・兵力では到底敵うはずもない伊賀だったが、無門率いる忍びの軍団は秘策を用意して織田軍に対抗する。

スタッフ / キャスト

監督:中村義洋
原作・脚本:和田竜
主題歌:嵐「つなぐ」
出演:大野智、石原さとみ、伊勢谷友介、鈴木亮平、知念侑李、立川談春、國村隼、マキタスポーツ、平祐奈、満島真之介、でんでん、きたろう
ナレーション:山﨑努

大野智(オオノサトシ)
1980年11月26日生まれ、東京都出身。1999年、嵐のメンバーとしてデビュー。2011年、中村義洋監督作「映画 怪物くん」で映画単独初主演を飾った。ドラマ主演作には「魔王」「歌のおにいさん」「鍵のかかった部屋」「死神くん」「世界一難しい恋」などがある。絵画やオブジェの創作に励むクリエイティブな一面も持ち、2008年と2015年に個展「FREESTYLE」「FREESTYLE II」を開催した。
石原さとみ(イシハラサトミ)
1986年12月24日生まれ、東京都出身。2003年、映画デビュー作「わたしのグランパ」で第46回ブルーリボン賞新人賞をはじめ多数の映画賞を獲得する。2006年公開「北の零年」で第29回日本アカデミー賞優秀助演女優賞に輝いた。2016年公開「シン・ゴジラ」は第40回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞し、自身も助演女優賞に選出された。そのほか近年の出演作に「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」シリーズ、ドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」など。
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