映画ナタリー Power Push - 「何者」

就活は静かな戦争!? 6人の俳優が語る若者たちの“リアル”

菅田将暉
菅田将暉 @神谷光太郎

佐藤健よりもモテるキャラにならなきゃいけなかった

──光太郎を演じるにあたって、どのように役を作っていきましたか?

監督の三浦大輔さんと「光太郎は、拓人への『俺はなんでお前が受からないのかわかんないんだよ』という言葉が嫌味に聞こえないキャラクターにしたいね」と話していて、そのワンシーンのために全部やってきたところがあったんです。その中で、バンドの演奏シーンは短いけどすごく象徴的でした。あの場面の撮影でカラスは真っ白とかLAMP IN TERRENの松本大くんとかバンドマンの方々と仲良くなったんですけど、みんなどこかロマンチックでした。自分の夢や思いをまっすぐに語れて、そこに嫌味がない。

──ライブシーンはインパクトがあって、光太郎の明るくてどこか飄々とした感じのあるキャラクターが伝わってきました。バンドメンバーの皆さんに刺激を受けて光太郎の役をつかんでいったのでしょうか。

彼らの姿を見たときに「光太郎はこういう方向性なのかな」と思いました。笑っている光太郎の周りに人がいっぱいいるような印象にしたくて。今回は佐藤健(扮する拓人)という人間よりもモテるキャラクターにならなきゃいけなかったので大変なハードルだったんですよ(笑)。でも健くんはいい意味でダサくて冴えない感じを出してくれたので、僕は自由に明るく演じられました。

光太郎は素直で、相手の目を見て接することができる人

──理香の部屋にみんなで集まっているシーンは会話や動きがとても自然でしたが、どのくらいアドリブが入っていたのでしょうか?

実はアドリブはゼロで、すべてセリフだったんです。アドリブに見えるように生々しく描くっていうのが三浦組の特徴だったのかな。あと最初にみんなで集まって台本読みをやったときに、僕は地が出るしゃべり方をしていたんですけど、そこで三浦さんに「光太郎はそんな感じで」と言われて(笑)。これでいいんだ……なんて思いつつ、光太郎はよくしゃべるキャラクターなのでウザくならないようにしなきゃなと意識しました。

──そうなんですね。光太郎はいつも天真爛漫に振る舞っていますが、瑞月と電話しているシーンではぐっと男らしい雰囲気になりますよね。

「何者」より。

瑞月との電話の場面は、光太郎の男っぽい部分を出そうと思って声のトーンを落としたんです。理香が光太郎について「何も考えていないように見えて、飄々と自分の欲しいものを勝ち取っていく人」と言うシーンがありますよね。傍から見たらそう見えるんだけど、僕は光太郎はちゃんと相手の目を見て接することができる人だなと感じました。そういえば、有村架純さんに一度「瑞月は光太郎のどこが好きなんですかね?」って聞いたことがあるんですよ。そうしたら「まっすぐなところじゃない?」と言われて。「そうですよね! もうこの発想自体が駄目なんだな」と思いました(笑)。

──つい相手に聞いてしまうところが駄目なんだなと?(笑)

はい。僕はそういうところが駄目なんだと思います。あと光太郎のような人は目の前の物事に対して素直に反応できるけれど、そうじゃない人はTwitterとかSNSに思いを吐き出すんだろうなと思いました。

みんな本気出せば就活に成功する

──クランクイン前に就活体験をされたそうですが、一番就活に向いていそうな共演者は誰でしたか?

みんな本気出せば成功すると思います!

──それは役者としてですか? それとも人間として?

菅田将暉

人間としてですね。ここにいる方たちは普通じゃないですもん(笑)。オーラがあるし個性があるし、場の空気も読める。それは本気出せば全員受かりますよね?

──対応力もある人たちですしね。

はい。本当にそう思います。

──「何者」は個性あふれるキャラクターがそろっていますが、ご自身がもっとも共感する人物は?

誰だろう。拓人の冷静分析系な感じもわかるしな……。でもやっぱり光太郎が近いから、この役が僕に来たんだろうなと感じます。この間撮影現場で「腕と手を組むときにどちらの手を上にするかで、インプットやアウトプットが論理系か感覚系なのかがわかる」という話を聞いたんです。僕は両方とも感覚系で、なんにも考えてないんだなと思って(笑)。みんなどちらかは論理派になるはずらしいんですけど。

──光太郎も感覚派なところがありますよね。

そうですね。僕自身も光太郎に似ているところがあるなと思います。ただ僕は天真爛漫という感じではないかな。

最初は“仲が悪そうな5人”というテーマで集められた

──では菅田さんが共演者の方々に◯◯系男子、女子とキャッチコピーを付けるとしたら?

健くんはまさに冷静分析系! 有村さんもキャッチコピーの通り素直な方だなと思いました。女性陣は2人ともわりとはっきりした性格ですね。二階堂ふみさんは自分の好きなものに対する情熱がすごい方。僕、彼女には洋服への愛で完全に負けたなって思っていて。知識が豊富で努力家だし、そういう面では意識高い系だと感じます。

──岡田将生さんはいかがですか?

菅田将暉

僕、岡田のマーくんのツッコミが好きなんですよ。みんなにいじられたときのツッコミが超うまくて、特に小栗旬さんとのやりとりが秀逸なんです。マーくんはじたばた系男子な感じがしますね。カッコいいのに意外とじたばたしていて、そこがかわいいんです。

──山田さんはどうでしょう? 今回はあまり共演シーンがありませんでしたが。

山田さんはずるいですよね! ヒゲとか。……それは冗談ですけど(笑)。あまり底が見えない感じがしていて、それがあえて見せないようにしているのか、見えないほど深いのかはわからないんです。あとは作品選びから何から、面白いことを常に考えているんだなというのが伝わってきます。

──劇中では緊張感あふれるシーンもありましたが、現場では皆さんワイワイと過ごしていたんでしょうか?

最初は(プロデューサーの)川村元気さんに“仲が悪そうな5人”というテーマで集められたんですけど。確かに仲良くなる感じの5人ではないなとは思いましたが、特に何も事件も起こらず楽しく過ごしていました(笑)。

「何者」2016年10月15日より公開

「何者」2016年10月15日より公開

かつて演劇サークルに所属し、脚本の執筆や芝居に熱中していた大学生・拓人。今ではリクルートスーツに身を包み、ルームメイトの光太郎とともに就職活動に本腰を入れようとしている。拓人は光太郎の恋人だった瑞月に思いを寄せているが、彼女はいまだ光太郎に未練があるようだ。ある日、自分たちが暮らす部屋の上階に瑞月の友人・理香が住んでいることを知った拓人と光太郎。彼らは理香の提案で、就活の情報交換のため彼女の部屋に集まるようになる。理香の就活のやり方や、彼女と同棲中の恋人・隆良の就活生を見下すような態度に違和感を覚えつつ、拓人はままならない現実に次第に焦りを感じるように。そんな日々の中で、ついに仲間内から1人目の内定者が現れて……。

スタッフ

監督・脚本:三浦大輔
原作:朝井リョウ「何者」(新潮文庫刊)
音楽:中田ヤスタカ
主題歌:中田ヤスタカ「NANIMONO(feat.米津玄師)」

キャスト

二宮拓人:佐藤健
田名部瑞月:有村架純
小早川理香:二階堂ふみ
神谷光太郎:菅田将暉
宮本隆良:岡田将生
サワ先輩:山田孝之

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菅田将暉(スダマサキ)

1993年2月21日生まれ、大阪府出身。2013年に「共喰い」で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、以降、「男子高校生の日常」「そこのみにて光輝く」「ピンクとグレー」「ディストラクション・ベイビーズ」などに出演。今後も「デスノート Light up the NEW world」「溺れるナイフ」「キセキ ーあの日のソビトー」「銀魂」「あゝ、荒野」「帝一の國」などの公開が控える。