映画ナタリー Power Push - 「キセキ ーあの日のソビトー」

松坂桃李×菅田将暉W主演、本当にあった“キセキ”の物語を解説!地獄のミサワ描き下ろしイラストも

松坂桃李と菅田将暉がダブル主演を務めた「キセキ ーあの日のソビトー」が1月28日に封切られる。本作は、GReeeeNの名曲「キセキ」誕生にまつわる、ある兄弟と家族、そして仲間たちの青春物語。歯医者と歌手、2つの夢を追いかける若者たちの姿を描く。松坂と菅田の共演に、忽那汐里、横浜流星、成田凌、杉野遥亮ら旬の俳優陣が華を添えた。

映画ナタリーでは、兄弟、仲間、家族の3つのキーワードから本作の魅力を解説。さらに、松坂と縁のあるマンガ家・地獄のミサワに描き下ろしイラストを寄せてもらった。

イラスト / 地獄のミサワ 文 / 秋葉萌実

「キセキ ーあの日のソビトー」ここがすごい! 魅力を徹底解説

兄と弟、それぞれの夢と挑戦

ジン(松坂桃李)
「キセキ ーあの日のソビトー」より。

メタルバンド、ハイスピードのボーカル。父の反対を押し切って音楽活動を続けメジャーデビューに漕ぎ着けるが、バンドメンバーと衝突。ヒデに頼まれて曲作りを手伝うようになる。

ここがすごい!
「キセキ ーあの日のソビトー」より。

弟思いのジンは、歯医者と歌手という2つの夢を追う弟たちのため顔出しなしで活動できるようレコード会社の社員に頼み込み、「親父には黙ってやればいい」とヒデを後押しする。自身の夢をヒデに託し、ともに追いかけるジンの姿に注目してほしい。また映画の冒頭には、ハイスピードのライブシーンが登場する。松坂は「初めはプロデューサーの役と聞いていたのですが、台本を見たら最初のシーンから歌っていて……騙されました(笑)」と歌に苦手意識があったそうだが、練習を重ねボイストレーナーに「メタル特有の、音を“当てる”声の出し方でコツをつかむのがうまい」と褒められるまでに。

ヒデ(菅田将暉)
「キセキ ーあの日のソビトー」より。

歯医者を目指しながらも、仲間と音楽を作ることの楽しさに目覚めていき、将来の進路に悩む青年。父と喧嘩して家を出て行ったジンを気にかけている。浪人中にCDショップ店員の理香(忽那汐里)と出会い親しくなる。

ここがすごい!
「キセキ ーあの日のソビトー」より。

素直で誠実な性格が魅力のヒデ。本作を観た人は、彼のひたむきな姿にきっと元気をもらえるはず! また劇中では、進級が危ぶまれたヒデがグループの活動を終了させると言い出して仲間やジンと衝突する場面も描かれる。ジンとヒデが正面からぶつかり合うシーンの撮影を、松坂は「菅田と以前共演した『王様とボク』で、2人でパスタを食べるシーンを撮影したときの感じを思い出しました。菅田もちょうど同じことを思っていたみたいで! 2人が同時に思い出すというのも素敵なことだなあと思いました」と振り返り、菅田は「桃李くんにつかまれて、あざになったんですよ。1週間治らなかった!」と冗談交じりに語っている。

地獄のミサワが「キセキーあの日のソビトー」のイラストを描き下ろし!

映画ナタリーでは、松坂桃李がファンと公言しているマンガ家・地獄のミサワに、本作の主要キャラクターを描き下ろしてもらった。松坂は地獄のミサワによるマンガ「いいよね!米澤先生」3巻の帯にコメントを寄せたことも。

地獄のミサワコメント「ソビト」
イラスト

厳格な父親と夢を追いかける息子

ジンとヒデに跡を継がせたい医師の父(小林薫)と、息子たちの決断を応援し優しく見守る母(麻生祐未)。
「キセキ ーあの日のソビトー」より。
「キセキ ーあの日のソビトー」より。
ここがすごい!

「バンドで食っていきます」というジンの宣言を聞いた父は、床の間の日本刀を持ち出すほど大激怒。音楽活動を一切認めない堅物ぶりを見せるが、心臓病を持つ患者・結衣(平祐奈)との交流を通して、その気持ちに少しずつ変化が……。父を演じた小林は「息子たちから見た父親は怖い人だったかもしれないけど、昭和的な男は『人生は厳しいもんだ』というところで生きているから、他人に対しても厳しく接せざるを得ないんだと思う。そういう一面も感じてもらえたらいいですね」と思いを述べている。怖すぎる父親、そしてその心情の移り変わりにも注目!

ジンやヒデは、医師としてたくさんの命を助けるためにがんばっている父を尊敬しつつも恐ろしく思っている。
「キセキ ーあの日のソビトー」より。
「キセキ ーあの日のソビトー」より。
ここがすごい!

両親の期待に応えたい気持ちはありながらも「自分が本当にやりたいことはなんなのか?」とそれぞれに悩むジンとヒデの姿が、丁寧に切り取られていく本作。菅田は“家族”が本作の重要なモチーフであるといい、「お兄ちゃんがいて、怖い親父がいて、天然のお母さんがいるという家族の話。その中で自分の進路とか、将来何をすればいいのかっていうのを悩む役」と自身が演じたキャラクターについて語った。劇中には兄弟が音楽の道に進むことを決意し、父に認めてもらおうと真摯に向き合う場面がたびたび登場する。緊張感あふれるシーンの数々をハラハラしながら見守ろう。

イラスト