映画ナタリー Power Push - 「キングコング:髑髏島の巨神」

モンスターバースの幕開け!オタク監督がお気に入りを詰め込んだ新たな怪獣映画

「キングコング:髑髏島の巨神」監督 ジョーダン・ヴォート=ロバーツ インタビュー

モンスターに夢中だった少年時代

──まずはこれまで、キングコングというキャラクターにどのように触れてきたのか教えてください。

ジョーダン・ヴォート=ロバーツ

僕は子供の頃、図書館から借りてきた本に載っている映画のモンスターに夢中でした。フランケンシュタインとかゴジラとかね。レイ・ハリーハウゼンにも興味がありました。当時は、今のようにオタク文化が隆盛でなんでもある、ということはなくて。ジャンルの中心となるものはコングとゴジラ、その2つでした。だからコングが何者で、どういう存在で、何について描かれているのか、僕の頭の中をストーリーが駆け巡っていたんです。あるとき父親が、30cmか40cmくらいのキングコングのフィギュアをガレージセールで買ってきたことがありました。小さかった僕はタンスの上に置かれたフィギュアを見上げてワオ!となって、それでどういうことができるのか、すべての可能性について考えていました。

──1933年版の「キング・コング」を初めて観たのはいつ?

10代の初め頃、父に「キング・コング」を探して見せてもらいました。子供にモノクロ映画を見せたら簡単に居眠りしてしまうものですが(居眠りする音を出しながら)、あの映画はとても完璧で、すべてにおいて見事に作られていたのです。エフェクトやいろいろなものが本当に素晴らしい。傑作ですね。

「エヴァ」のメカみたいな動きは、モーションキャプチャでは出せない

──日本のマスコミ向けプレゼンテーションで登壇した際、今回の作品は「1933年版に立ち返っている」と話していましたね(参照:「キングコング」監督が樋口真嗣とオタトーク、宮崎駿やエヴァの影響も)。体長約30mというサイズについては「畏敬の念を抱いてしまうような大きさ」と言っていました。

「キングコング:髑髏島の巨神」より。

巨大なゴリラではなく、コングを孤独な巨神として描いているんです。だから2足歩行しているし、行動も非常に人間的。抱え込んでいる怒りを原動力とするけれど、非常に人間性があるので、キャラクターを作り上げるのが難しかったです。コングは孤独な巨神であり、髑髏島の王でもある。だから高潔さ、プライド、そしてひと匙の悲しさというエッセンスを加えたかったのです。

──何か参考にした作品はあったのでしょうか。

悲しさに関しては、「ワンダと巨像」というテレビゲームからも着想を得ていて。巨像がのそのそと、非常にゆっくりと動く。そこに物悲しさを見出して、それを意識して動きを作っていきました。

──動きはモーションキャプチャがもとになっているのですか?

「キングコング:髑髏島の巨神」より。

いえ、今回モーションキャプチャは、あくまで動きをどうするかという試行錯誤の中で使ったに過ぎません。「新世紀エヴァンゲリオン」のメカみたいな動きはモーションキャプチャでは出せない。とても俊敏でスタイリッシュな動きなのでね。表情もILMのアニメーターたちがCGアニメーションで付けているんです。そういう意味で、この作品はとてもアニメ寄りだと言えます。

戦争映画であり、反戦映画でもある

──続いて時代背景についての質問です。「地獄の黙示録」「プラトーン」を意識したとのことですが、なぜ「キングコング」を作るうえでベトナム戦争という題材を織り交ぜたのでしょう。

最初にマックス(・ボレンスタイン)の脚本を見せてもらったときは、1917年が舞台になっていました。それはとてもクールでしたが、僕が作りたいバージョンではなくて。彼らは「ありがとう、でもけっこうです。次の作品でお願いしましょう」という感じでした。そしてレジェンダリー(・ピクチャーズ)とワーナー・ブラザースの人たちが「あなたはどういうものが作りたいの?」と聞いてくれたんです。

──すでにアイデアはあったんですか?

「キングコング:髑髏島の巨神」より。

どういうバージョンがいいのか、僕もわからなかった。その週末に座って考えていたんです。そうしたら突然、焼け付くような真っ赤な太陽を背にしたコングのシルエット、チョッパー作戦の光景、ナパーム弾、(ジミ・)ヘンドリックスの音楽、「地獄の黙示録」のようなベトナム戦争の世界やモンスターといったものが頭に浮かんで。

──なぜそのようなアイデアに行き着いたのでしょう?

今、僕らが直面していることを反映していると思うんです。負けつつある戦争、政治的スキャンダル、社会不安など。人々は片足を古い世界に突っ込み、もう一方を新しい世界に突っ込み、どうやって前に進めばいいかわからない。僕らの世代全体が、どうやって前進し、バトンを手渡せばいいのかわからないんです。そして古い世代がそのバトンにしがみついている。それらすべてのことに幻滅し、ある意味壊れた人々を、彼らより大きなものの中に放り込むというアイデアが僕にはありました。正直言って、レジェンダリーやワーナー・ブラザースは笑って僕を部屋から追い出すだろうと思ってたのですが、「それはクレイジーだ。オッケー、そのバージョンで映画を作ろう」と言ってくれました。だから僕は戦争映画にしようというアプローチでこの作品を作りました。さらに言うなら反戦映画です。

「キングコング:髑髏島の巨神」2017年3月25日(土)全国公開
「キングコング:髑髏島の巨神」
ストーリー

未知なる生命体の存在を確認しようと、学者やカメラマン、軍人からなる調査隊が太平洋の孤島スカル・アイランド(髑髏島)に上陸した。そこに突如現れたのは、巨大なる島の守護神・キングコング。島を破壊したことで彼を怒らせてしまった人間たちは究極のサバイバルを強いられることに。脅威はキングコングだけにとどまらず、まだまだ多くの巨大怪獣たちが島に潜んでいた。為す術もなく逃げ惑う人間たち。果たして調査隊は島から脱出できるのか──。

スタッフ
  • 監督:ジョーダン・ヴォート=ロバーツ
  • 脚本:ダン・ギルロイ、マックス・ボレンスタイン、デレク・コノリー
  • 原案:ジョン・ゲイティンズ、ダン・ギルロイ
  • 製作:トーマス・タル、メアリー・ペアレント、ジョン・ジャシュニ、アレックス・ガルシア
  • 製作総指揮:エリック・マクレオド、エドワード・チェン
キャスト
  • ジェームズ・コンラッド:トム・ヒドルストン(日本語吹替:GACKT)
  • メイソン・ウィーバー:ブリー・ラーソン(日本語吹替:佐々木希)
  • プレストン・パッカード:サミュエル・L・ジャクソン
  • ビル・ランダ:ジョン・グッドマン
  • ハンク・マーロウ:ジョン・C・ライリー
  • ジャック・チャップマン:トビー・ケベル
  • ビクター・ニーブス:ジョン・オーティス
  • ヒューストン・ブルックス:コーリー・ホーキンズ
  • グレン・ミルズ:ジェイソン・ミッチェル
  • レグ・スリフコ:トーマス・マン
  • レルス:ユージン・コルデロ(日本語吹替:真壁刀義)
  • グンペイ・イカリ:MIYAVI
  • モーションキャプチャ(キングコング):トビー・ケベル、テリー・ノタリー
ジョーダン・ヴォート=ロバーツ

1984年9月22日生まれ、アメリカ・デトロイト州出身。映画監督。もともとはテレビドラマや短編作品を手がけていた。長編デビュー作となった青春コメディ「キングス・オブ・サマー」は2013年のサンダンス映画祭コンペティション部門でプレミア上映され、高い評価を受ける。現在は映画版「Metal Gear Solid(原題)」の監督としてプロジェクトを進行中。