荒井晴彦がキネ旬1位獲るも白石和彌、阪本順治に嫉妬?「演出と脚本教わる」

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「2019年 第93回キネマ旬報ベスト・テン」の表彰式が本日2月11日、東京・文京シビックホールにて開催された。

「2019年 第93回キネマ旬報ベスト・テン」表彰式の様子。

「2019年 第93回キネマ旬報ベスト・テン」表彰式の様子。

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荒井晴彦

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日本映画1位は荒井晴彦の監督作「火口のふたり」。荒井は「赫い髪の女」「神様のくれた赤ん坊」「遠雷」「ヴァイブレータ」など、自身が携わり、過去にベスト・テンにランクインした作品を次々と挙げ「僕の作風で1位は無理なんじゃないかとあきらめてました。自分が3本目に撮った作品でまさか、という感じ。70過ぎた脚本家が撮った、低予算でR18の裸の映画が1位でいいんでしょうか」ととぼけてみせる。続けてキャストやスタッフ、選考委員たちに感謝を伝え「映画はいいのに演出と脚本がよくなかったのか、監督賞と脚本賞をいただけませんでした。演出は白石和彌、脚本は阪本順治に教わってまたこの場に戻ってこようと思います」とジョークを飛ばす。そんな荒井の背後では、日本映画監督賞の白石、日本映画脚本賞の阪本が爆笑していた。

白石和彌

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白石は、昨日2月10日に発表された第92回アカデミー賞でポン・ジュノの監督作「パラサイト 半地下の家族」が作品賞を含む4冠を獲得したことに触れ、「歴史の変わる瞬間だと思ったんですが、同時にすごい悔しさも覚えました。SNSで『日本映画は韓国映画に比べて全然ダメだ』と書かれていて、少し責任も感じつつですが、いつか必ずや満足がいく映画を届けられるようにがんばります」と野望を掲げる。最後に「ちなみに」と付け足した白石は「荒井さんと飲むといつも『お前の映画は全然ダメだ!』と言われていますし、去年公開の『止められるか、俺たちを』は荒井さんが編集長を務める『映画芸術』でワースト1位で、『麻雀放浪記2020』はワースト3位。ですので、特に演出でお教えすることはありません!(笑)」と“反撃”した。

阪本順治

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半世界」で日本映画脚本賞を受賞し、読者選出日本映画第1位に選ばれた阪本は、「今日は荒井さんにこのあと呼ばれているので、何を言われるのか……」と恐れるふりをして見せ、観客を笑わせる。阪本は2000年に「顔」「新・仁義なき戦い。」で監督賞と脚本賞を獲得しており、「あのときは、のちに賞をもらうことを考えずにやっていましたね」と当時を振り返る。司会が「半世界」には主演を務めた稲垣吾郎の新しい一面が映し出されていると称賛すると、阪本は「かっこいい言い方ですけど、映画監督の仕事は俳優の顔を撮ることです」とコメント。しかし、「偉そうでしたかね……ななめ後ろが気になっちゃって」と背後の荒井を警戒していた。

平野レミ

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特別賞が贈られたのは、2019年10月に死去した、イラストレーターであり映画監督の和田誠。代理で登壇した妻の平野レミは「私はこういう場は場違いなんです! しょっちゅうレミパン持って料理ばっかりしてるので」と明るく述べ、「うちの夫はただただ映画が大好きなので、私のライバルは映画だったんです。また映画観てる、今日も観てる!って。でも私は一言も文句を言ったことはありませんでした。もうちょっと長く生きてれば、こういう賞をいただけて、最高だったと思います」と続け、「お父さん、こういう賞をいただきましたよ!」と天国の和田に語りかける。生前の和田の人柄について、平野は「すべてが優しいの。あんまり優しい人と結婚しちゃったから、つらいんですよね。今私、悲しくて悲しくて本当につらいんです。もう泣いちゃうから、やめますね!」と大らかに話しながらも、寂しさをにじませた。

「2019年 第93回キネマ旬報ベスト・テン」の受賞結果は以下の通り。

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2019年 第93回キネマ旬報ベスト・テン 受賞一覧

日本映画ベスト・テン

1位「火口のふたり
2位「半世界
3位「宮本から君へ」
4位「よこがお」
5位「蜜蜂と遠雷」
6位「さよならくちびる」
7位「ひとよ」
8位「愛がなんだ」
9位「嵐電」
10位「旅のおわり世界のはじまり」
読者選出日本映画ベスト・テン第1位「半世界」

外国映画ベスト・テン

1位「ジョーカー」
2位「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
3位「アイリッシュマン」
4位「運び屋」
5位「グリーンブック」
6位「家族を想うとき」
7位「COLD WAR あの歌、2つの心」
8位「ROMA / ローマ」
9位「象は静かに座っている」
10位「バーニング 劇場版」
読者選出外国映画ベスト・テン第1位「ジョーカー」

文化映画ベスト・テン

1位「i-新聞記者ドキュメント-」
2位「福島は語る」
3位「人生をしまう時間」
4位「山懐に抱かれて」
5位「蟹の惑星」
6位「作兵衛さんと日本を掘る」
7位「東京干潟」
8位「誰がために憲法はある」
9位「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」
10位「アイたちの学校」

個人賞

日本映画監督賞:白石和彌「ひとよ」「凪待ち」「麻雀放浪記2020
日本映画脚本賞:阪本順治「半世界」
外国映画監督賞:トッド・フィリップス「ジョーカー」
主演女優賞:瀧内公美「火口のふたり」
主演男優賞:池松壮亮「宮本から君へ」
助演女優賞:池脇千鶴「半世界」
助演男優賞:成田凌「愛がなんだ」「さよならくちびる」ほか
新人女優賞:関水渚「町田くんの世界」
新人男優賞:鈴鹿央士「蜜蜂と遠雷」「決算!忠臣蔵」
読者選出日本映画監督賞:阪本順治「半世界」
読者選出外国映画監督賞:トッド・フィリップス「ジョーカー」
読者賞:宇多丸(RHYMESTER)/ 三沢和子 連載「2018年の森田芳光」
特別賞:和田誠

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