内田裕也お別れ会に1700人、内田也哉子の送る言葉は「Fuckin' Yuya Uchida」

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3月17日に79歳で永眠した内田裕也のお別れ会「内田裕也 Rock'n Roll葬」が本日4月3日に東京・青山葬儀所にて行われた。

「内田裕也 Rock'n Roll葬」の様子。

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「内田裕也 Rock'n Roll葬」の様子。

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1939年11月17日に兵庫県で生まれた内田は、1959年に日劇の「ウエスタンカーニバル」でデビューして以降、ロックンローラーとして活躍。俳優としても多くの作品に参加しており、近年では2017年製作の「星くず兄弟の新たな伝説」にロックの神様役で出演している。また、年越しオールナイトイベント「NEW YEARS WORLD ROCK FESTIVAL」のプロデュースをライフワークとし、2018年の第46回で「朝日のあたる家」など4曲を歌い切ったのが最後のステージとなった。

妻で女優の樹木希林とは結婚45年、別居43年という夫婦関係を築いた。彼女が2018年9月に死去した際には精神的ショックと体調不良から入院を余儀なくされ、半年後には肺炎のため東京都内の病院で樹木のあとを追うように息を引き取った。

「内田裕也 Rock'n Roll葬」の様子。

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自身の葬送について生前から希望を伝えていた内田。葬儀委員長を務めた元ザ・スパイダースの田邊昭知をはじめ業界をともに開拓してきた仲間が運営することや、青山葬儀所で開催することに加え「メジャーに盛大に!」という希望通り、会場には自身のイラストとともに「内田裕也 Rock'n Roll葬」と書かれた巨大な看板などにぎやかな装飾が施された。祭壇は、横尾忠則がデザインした「NEW YEARS WORLD ROCK FESTIVAL」第1回のポスターをモチーフとしており、富士山やエベレスト、ピラミッドを菊類、バラ、ダリアなど1万5000本もの花で表現。中央に配置されたLEDモニターには遺影のほか、在りし日の内田を捉えた写真、映像が映し出された。

堺正章

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開式直後には、第46回「NEW YEARS WORLD ROCK FESTIVAL」の映像とともに、内田の「僕は今、あの世にいます。Rock'n Rollで生きて、Rock'n Rollで死んでいけたことに感謝いたします」というセリフが流れる。弔辞では、まず親交の深かった堺正章がマイク前に立ち「あなたは私たち後輩にとっては、よき手本でもあり、悪しき手本でもありました。その悪しき手本の中にあなたの魅力がたくさん詰まっていたように感じます」と話し出し、2人の思い出を振り返った。続けて樹木の死去に触れ、「あんた呼ばれたんですよ。あんたが1人でこの世にいたんじゃ危ないってんで。樹木希林が呼んだんです。今会ってるでしょう?」と遺影に語りかけた。

崔洋一

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鮎川誠

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続けて、崔洋一が言葉を捧げる。内田が主演を務め、崔がメガホンを取った「十階のモスキート」誕生前夜を思い起こし、1982年のある夜に内田からかかってきた電話の内容を述懐。「『頭に来たから映画作ろうよ! 俺は新しい人と組みたいんだ。警官が強盗して最後に金食っちゃうんだよ!』。裕也さんの声がダンスしていました。受話器から裕也さんがガンガン飛び出してきます。僕たちは瞬時のうちに契りを交わしました」と話し、完成した同作を「幸せな映画」と表現した。そして「あなたのフィルモグラフィです」と内田の出演した映画のタイトルを1本ずつ丁寧に読み上げ、冥福を祈る。その後、鮎川誠SHEENA & THE ROKKETS)の弔辞に続き、内田の娘婿である本木雅弘が横尾からの言葉を代読した。

「内田裕也 Rock'n Roll葬」の様子。

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最後に喪主を務めた娘・内田也哉子が謝辞を述べる。也哉子は列席者に感謝を伝え「私は正直、父をあまりよく知りません。『わかりえない』という言葉のほうが正確かもしれません」と一言。「ともに過ごした時間の合計が数週間にも満たない」ことや、捉えづらい内田の人格もあり、彼が荼毘に付されたあとも悲しむことに戸惑っていたという。そして生前の樹木と内田の姿を訥々と語る。「母は晩年、自分は妻として名ばかりで、夫に何もしてこなかったと申し訳なさそうに呟くことがありました。『こんな自分に捕まっちゃったばかりに、、、』と遠い目をして言うのです。そして、半世紀近い婚姻関係の中、折り折りに入れ替わる父の恋人たちに、あらゆる形で感謝をしてきました。私はそんな綺麗事を言う母が嫌いでしたが、彼女はとんでもなく本気でした」と明かし、「二人を取り巻く周囲に、これまで多大な迷惑をかけたことを謝罪しつつ、今更ですが、このある種のカオスを私は受け入れることにしました」と話す。そして「最後は彼らしく送りたいと思います」と宣言し、ひと呼吸置いて「Fuckin' Yuya Uchida, don't rest in peace just Rock'n Roll!!!」と父に言葉を捧げた。

本木雅弘

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囲み取材には、崔と本木のほか、浅田美代子尾藤イサオ、DJ KOO、美勇士が参加。本木は「さまざまな意味で私たち家族については美談になりすぎているなと感じることもあるんですが」と前置きし、内田について「希林さんとの関係も含め、我々のようなやわな時代に生きていた人間にはわからないようなことを2人ともくぐり抜けてきたんだと、身内ながら感じています」と述べた。記者から「父としての内田裕也像」を問われると「自分のような体裁で固めまくった小さな男からすると、裕也さんも、先日亡くなった萩原健一さんも男の憧れ。面倒ごとを面倒がらずに切り込んでいく野性が自分にはない。遠くにいるような存在です」と語る。そして、也哉子の謝辞の感想を問われると「すべてを語れているわけではないと思いますが、彼女なりにいろんな形で向き合っていこうという決意の表れだと思います」と妻の胸中に思いを馳せた。

北野武

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北大路欣也

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時折冷たい風が吹き込む場面もあったが、穏やかな日差しに恵まれたお別れ会には、秋元康浅野忠信安藤和津岩城滉一大友康平北大路欣也北野武郷ひろみ指原莉乃滝田洋二郎竹中直人田代まさし千原ジュニア松田美由紀薬丸裕英らも出席。関係者約950人、一般参列者750人が内田の死を悼み、集まった。

「内田裕也 Rock'n Roll葬」の様子。

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戒名は「和響天裕居士(わきょうてんゆうこじ)」。「響」と「和」は也哉子と本木の希望で組み込まれ、「和」には天上でも音楽を奏で続け平和を願う意味が込められた。なお「響」は世に響かせるという意味があり、樹木には世を映し出す「鏡」を用いた「希鏡啓心大姉」という戒名が付けられている。

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内田也哉子 謝辞全文

本日は大変お忙しいところ、父、内田裕也のロックンロール葬にご参列いただきまして、誠にありがとうございます。親族代表として、ご挨拶させて頂きます。
私は正直、父をあまりよく知りません。「わかりえない」という言葉の方が正確かもしれません。けれどそれは、ここまで共に過ごした時間の合計が数週間に満たないからというだけではなく、生前、母が口にしたように「こんなにわかりにくくて、こんなにわかりやすい人はいない。世の中の矛盾をすべて表しているのが内田裕也」ということが根本にあるように思えます。私の知りうる裕也は、いつ噴火をするかわからない火山であり、それと同時に、溶岩の狭間で物ともせずに咲いた野花のように、清々しく無垢な存在でもありました。
率直に言えば、父が息をひきとり、冷たくなり、棺に入れられ、熱い炎で焼かれ、ひからびた骨と化してもなお、私の心は、涙でにじむことさえ戸惑っていました。きっと、実感のない父と娘の物語が、はじまりにも気付かないうちに幕を閉じたからでしょう。けれども、きょう、この瞬間、目の前に広がる光景は、私にとっては単なるセレモニーではありません。裕也を見届けようと集まられたお一人、お一人が持つ、父との交感の真実が、目に見えぬ巨大な気配と化し、この会場を埋め尽くし、ほとばしっています。
父親という概念には、到底、おさまりきらなかった内田裕也という人間が叫び、交わり、噛みつき、歓喜し、転び、沈黙し、また転がり続けた震動を、皆さんは確かに感じ取っていた。
「これ以上、お前は何が知りたいんだ」
きっと、父もそう言うでしょう、、、。
そして、自問します。私が唯一、父から教わったことは、何だったのか? それは、多分、大袈裟に言えば、生きとし生けるものへの畏敬の念かもしれません。彼は破天荒で、時に手に負えない人だったけど、ズルイ奴ではなかったこと。地位も名誉もないけれど、どんな嵐の中でも駆けつけてくれる友だけはいる。
「これ以上、生きる上で何を望むんだ」
そう、聞こえてきます。
母は晩年、自分は妻として名ばかりで、夫に何もしてこなかった、と申し訳なさそうに呟くことがありました。『こんな自分に捕まっちゃったばかりに、、、』と遠い目をして言うのです。そして、半世紀近い婚姻関係の中、折り折りに入れ替わる父の恋人たちに、あらゆる形で感謝をしてきました。私はそんな綺麗事を言う母が嫌いでしたが、彼女はとんでもなく本気でした。まるで、はなから夫は自分のもの、という概念がなかったかのように。勿論、人は生まれもって誰のものでもなく個人です。歴とした世間の道理は承知していても、何かの縁で出会い、メオトの取り決めを交わしただけで、互いの一切合切の責任を取り合うというのも、どこか腑に落ちません。けれども、真実は、母がその在り方を自由意志で選んだのです。そして、父もひとりの女性にとらわれず心身共に自由な独立を選んだのです。
二人を取り巻く周囲に、これまで多大な迷惑をかけたことを謝罪しつつ、今更ですが、このある種のカオスを私は受け入れることにしました。
まるで蜃気楼のように、でも確かに存在した二人。私という二人の証がここに立ち、また、二人の遺伝子は次の時代へと流転していく、、、。
この自然の摂理に包まれたカオスも、なかなか面白いものです!
79年という永い間、父がほんとうにお世話になりました。
最後は、彼らしく送りたいと思います。

Fuckin' Yuya Uchida,
don't rest in peace
just Rock'n Roll!!!

2019年4月3日 喪主 内田也哉子

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