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黒坂圭太「ようやく自分の言語を発見できた」、新千歳アニメ映画祭で歩み振り返る

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「陽気な風景たち」

「陽気な風景たち」

「アニメーションマスタークラス 黒坂圭太『ゆらめくかたち』」と題された企画が本日11月5日、北海道・新千歳空港ターミナルビルにて開催中の第4回 新千歳空港国際アニメーション映画祭の中で行われた。

本企画は「緑子/MIDORI-KO」などで知られ、国内外で高い評価を受ける黒坂圭太の近作を紹介するもの。「陽気な風景たち」「マチェーリカ/MATIERICA」「山川景子は振り向かない」という短編3本の上映と黒坂のトークショーが実施された。

黒坂は過去作の断片をスクリーンに流し、これまでの歩みを説明。その後、自作の変化について「東日本大震災のとき、私は自分自身の無力さに打ちひしがれました。使命感と絶望感に板挟みにされ、手も足も出なくなりました」と述懐する。続けて「そのとき新作も準備していたのですが、自分のやっていることややってきたことが無意味に思えました。当時は表現者として生きるべき理由を見いだせなくなっていた」と述べ、「描くべき主題が見つかず、ヤケクソのように鉛筆を握り何も考えず無意味に紙を汚し続けるという非生産的な行為を始めたのです。しかし不思議なことに無気力感が嘘のようにどんどん描けることに驚きました」と振り返る。

「部屋におびただしい量の鉛筆画が溜まっていた」と言う黒坂は「それが観ていただいた『陽気な風景たち』につながりました」と明かす。そして「私はこの画材と手法に運命的なものを感じています。30年以上アニメーションに関わっていますが、今ようやく自分の言語を発見できた気持ちです」と力強く語った。

黒坂はインターナショナルコンペティションとミュージックアニメーションコンペティションで審査員を務めたほか、空港のセンタープラザにてライブドローイングを行い映画祭に花を添えた。

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