第30回東京国際映画祭、グランプリはトルコ人監督によるSF「グレイン」

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第30回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが、本日11月3日に東京・EX THEATER ROPPONGIにて開催され、各部門の受賞結果が発表された。

第30回東京国際映画祭クロージングセレモニーの様子。

第30回東京国際映画祭クロージングセレモニーの様子。

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セミフ・カプランオール

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左からセミフ・カプランオール、トミー・リー・ジョーンズ。

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コンペティション部門の最高賞にあたる東京グランプリ / 東京都知事賞に輝いたのは、トルコ人監督セミフ・カプランオールによる「グレイン」。ジャン=マルク・バールが主演を務める本作は、移民の侵入を防ぐ磁気壁に囲まれた都市で、失踪した同僚研究者を捜す種子遺伝学者の旅を描いたSFだ。審査委員長のトミー・リー・ジョーンズからトロフィーを受け取ったカプランオールは「この映画は5年という長い旅路を経て完成しました。ここ東京から世界に広がっていく映画と信じています」と感慨を語る。

左からルカ・ベッリーノ、シルヴィア・ルーツィ。

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審査委員特別賞には、イタリア・ナポリ近郊の貧困地域に生きる人々を描いた「ナポリ、輝きの陰で」が選出された。監督のシルヴィア・ルーツィとルカ・ベッリーノは喜びに満ちた表情で抱き合い、演技未経験にも関わらず本作に出演したキャスト陣への感謝を述べ「決して生きることが容易ではない地域で暮らす人々に、この映画を捧げたい」と話す。

抱擁を交わすエドモンド・ヨウとダフネ・ロー。

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ダフネ・ロー

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左からヴィッキー・チャオ、ドアン・イーホン。

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最優秀監督賞に輝いたのは「アケラット ーロヒンギャの祈り」のエドモンド・ヨウ。ヨウは「20人もいない小さな撮影隊でこの映画を作りました。私たちはずっと家族、“アケラットファミリー”だったのです。関わってくれた人全員に『ありがとう』を言いたい」と話し、主演を務めたダフネ・ローは涙を流しながらその様子を見守る。またローは、全部門の出品作から宝石のような輝きを放った若手俳優に贈られる東京ジェムストーン賞に、松岡茉優石橋静河、アデリーヌ・デルミーとともに選出された。そのほか最優秀女優賞を「マリリンヌ」のデルミー、最優秀男優賞を「迫り来る嵐」のドアン・イーホンが受賞。また観客賞には松岡の主演作「勝手にふるえてろ」が選ばれた。

左からトミー・リー・ジョーンズ、アル・ゴア。

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会場には、クロージング作品として上映されるドキュメンタリー「不都合な真実2:放置された地球」の出演者である元アメリカ合衆国副大統領のアル・ゴアの姿も。学生時代からの友人であるジョーンズと抱擁を交わすと、会場から拍手が沸き起こった。

トミー・リー・ジョーンズ

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最後にジョーンズは、「5人の審査員(ジョーンズ、マルタン・プロヴォ、レザ・ミルキャリミ、ヴィッキー・チャオ永瀬正敏)全員が違う言葉を使うから審査は難航したよ」とユーモアを交えつつ、「最良の映画祭とは、製作者や観客を厳しい商業的な需要から解放すべきであると思う。私たちはカーアクションや銃撃戦、街の大爆発、危機に陥る女性、スーパーヒーローの登場といった商業的な要請を、決して必須としていない」とコメント。そして「私たちは皆さんへ素晴らしい時間を提供するために、謙虚な心と希望を持って仕える映画人であることを、審査員を代表して申し上げる」と決意を語り、日本語で「ありがとうございました」と締めくくった。

受賞結果は以下の通り。

第30回東京国際映画祭 コンペティション部門

東京グランプリ / 東京都知事賞

「グレイン」

審査委員特別賞

「ナポリ、輝きの陰で」

最優秀監督賞

エドモンド・ヨウ(「アケラット ーロヒンギャの祈り」)

最優秀女優賞

アデリーヌ・デルミー(「マリリンヌ」)

最優秀男優賞

ドアン・イーホン(「迫り来る嵐」)

最優秀芸術貢献賞

「迫り来る嵐」

最優秀脚本賞 Presented by WOWOW

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観客賞

「勝手にふるえてろ」

第30回東京国際映画祭 アジアの未来部門

作品賞

僕の帰る場所

スペシャルメンション

「老いた野獣」

国際交流基金アジアセンター特別賞

藤元明緒(「僕の帰る場所」)

第30回東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ部門

作品賞

「Of Love & Law」

東京ジェムストーン賞

松岡茉優(「勝手にふるえてろ」)
石橋静河(「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」)
アデリーヌ・デルミー(「マリリンヌ」)
ダフネ・ロー(「アケラット ーロヒンギャの祈り」)

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