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ジャック・ドワイヨンが監督作を引っさげ来日、“近代彫刻の父”ロダンとの共通点語る

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ジャック・ドワイヨン(右)。

ジャック・ドワイヨン(右)。

監督作「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」の日本公開を記念して、ジャック・ドワイヨンが来日。9月21日、東京都内で舞台挨拶を行った。

「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」は、“近代彫刻の父”と称されるフランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの半生を描いたヒューマンドラマ。弟子入りを熱望するカミーユ・クローデルと出会い、愛と苦悩に満ちた日々を送ることになるロダンの姿を追う。ヴァンサン・ランドンがロダン、イジア・イジュランがクローデルを演じた。

本作のラストシーンを神奈川・箱根 彫刻の森美術館で撮影したドワイヨンは、日本の観客から大きな拍手で迎えられ満面の笑みを見せる。ロダン没後100年を記念したドキュメンタリーの制作を依頼されたことが本作を監督する契機となったと述べるドワイヨンは「現代はあまりにも娯楽的な作品が多く、アーティスティックな作品を世に送り出すことがだんだん難しくなっている。もしかしたらこれが最後の作品になるかも知れないと思ったし、ロダン自体にはもともと興味があった。機会をもらえるならば、今まで自分が描いてこなかったテーマでも、思う通りにやってみようと考えた」と明かした。

半年以上の時間をかけてロダンに関する文献を読みあさったと言うドワイヨンは「私がロダンを取り上げたのは偶然ではない。ロダンという人物は、本来であれば芸術家の道に進むことはできない貧困層の出身で、幾度も美術学校に落ちた。それでも数々の傑作を生み出したところにドラマを感じる」と述懐。また劇中で制作過程が描かれる、文豪バルザックの彫刻に触れ「あまりに先進的だったため、さまざまな酷評を受けた。だがロダンのような偉大な人物の映画を作るのは、クリエイターとしては当然のことかもしれない」とコメントする。

ロダンと自身の共通点について聞かれると「ロダンについて心を打たれるのは、いきなり石を掘り出す直感の人ではなく、粘土をこれでもかというくらいこねて、考え、答えを見つけていくところ。時間をかけて自分の望む形を探し続けていく。例えば『カレーの市民』は5年、『バルザック像』は7年もかけて完成させた。ロダンが準備習作を重ねるように、映画作家である私もまた、ワンシーンを撮るためにテイクを重ねて『これぞ!』というものを探していく。たとえ自分が脚本を書いていたとしても、いざ俳優たちとの撮影が始まるまではどんなふうになるのかまったくわからない。素晴らしいシーンというのは、向こうから私のほうへやってくるようなものだ」と回答。「それにしても、ロダンは『バルザック』に7年かけたのに、私はワンシーンに1日しかかけられないのはちょっと不公平だけどね」とジョークを交え会場を和ませた。

監督作「ポネット」で、撮影当時4歳だったヴィクトワール・ティヴィソルに第53回ヴェネツィア国際映画祭の女優賞をもたらしたドワイヨン。「相手が4歳の女の子でも大人の俳優でも、監督が与えられた役割は基本的に同じ。ワンショットがどんどん長尺になっていったり、テーマは時代によって絶えず変わっていったりはするけれど、今自分がやりたいという仕事が最善なんだと思う。私の中では『ロダン』も『ポネット』も、その理想に向かう姿勢はさほど変わらないのかもしれない」と監督としての歩みを振り返った。

「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」は、11月11日より東京・新宿ピカデリーほかにて全国ロードショー。

(c)Les Films du Lendemain / Shanna Besson

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