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入江悠、究極の夢とは?「リベリアの白い血」福永壮志に海外での映画制作を聞く

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左から福永壮志、入江悠。

左から福永壮志、入江悠。

リベリアの白い血」のトークイベントが東京・UPLINKにて8月17日に行われ、監督を務めた福永壮志とゲストの入江悠が登壇した。

米ニューヨークを拠点に活動する福永の長編デビュー作にあたる本作では、リベリアのゴム農園で過酷な労働を強いられていた主人公シスコが単身アメリカへ渡り、移民の現実を目の当たりにしながらも都会で奮闘する姿が描かれる。ニューヨークで開催された映画祭で福永と出会い、意気投合したという入江は本作の脚本を「シンプルで力強い」と絶賛。福永は「これが最初で最後となってもやる価値があると思って作った」と話す。

キャストオーディションや撮影交渉などは、福永が単身リベリアへ乗り込みすべて行った。「(その話を知ったとき、)ここまでやったのか!と。本当に冒険ですよね」と驚いたという入江。「海外で撮りたい気持ちはずっとある。高校3年のときにNYU(ニューヨーク大学)の願書を取り寄せたことがあります」と明かし、「海外で撮ろうと思っても、作家はまずアイデンティティの問題にぶち当たる。“アメリカに行った日本人”として撮るのか、“現地の人”として撮るのか。この映画はそういうのを取っ払って、そもそも主人公が日本人じゃない映画は珍しい」と指摘する。また入江が主人公の目線の演技を称賛すると、福永は「ほとんどオーディションで見つけた人たちで、全体的にみんな芝居がオーバーだったので抑える作業はしました」と説明。「でも目線は彼らが元から持っているもの。内戦の経験だったり、ああいう視線になる理由を役者それぞれ抱えていたんです」と続けた。

さらに2人の話は映画制作におけるニューヨークとロサンゼルスの土壌の違いから、インディペンデントと商業映画の比較まで広がる。インディペンデントから始まり、商業映画も手がける入江は「スタッフが大勢いる場合と少数だけの場合、どちらが効率がいいかは作品によって違いますよね」と自身の実感を口にした。そして「僕は(スティーヴン・)スピルバーグの『宇宙戦争』みたいな映画を作るのが究極の夢なんです。そういう映画はインディペンデントではおそらく到達できない。でももう少し小さいキャラクターが出るような映画だとスタッフはそんなにいらないですよね。自分はそういう考え方です」とどちらか一方にこだわるわけではないことを述べる。

入江は「日本の若手監督ってよく半径1mを描くんですよね。僕が昔撮った『SRサイタマノラッパー』も『リベリアの白い血』と同じくらいの尺だけど、こんなにスケールが違う」と口にし、改めて「福永の視野の広さがすごい。嫉妬するとかじゃないくらい衝撃を受けました」とコメント。「いつかは海外で撮りたいです。言語も違う人とコミュニケーション取り合ってものを作っていくのは映画に向いていると思うので」と自身の希望を話すと、福永も「手伝えることがあったらなんでも」と笑顔で応えた。

「リベリアの白い血」はUPLINKで上映中。

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