映画ナタリー

森達也が松江哲明とトーク、佐村河内守に密着した「FAKE」を「楽しかった」と回想

104

森達也

森達也

FAKE」のDVD発売を記念し、監督の森達也が本日3月12日、ドキュメンタリー作家の松江哲明とともに東京・紀伊國屋書店新宿本店でトークイベントを行った。

「FAKE」は、2014年に“ゴーストライター騒動”で話題になった佐村河内守を追うドキュメンタリー。DVDには劇場公開版に未公開シーンを加えたディレクターズカット版が収録されている。

松江は公開1年前の2015年に、まだ3時間以上あるバージョンを見せてもらっていたそうで、当時から本作への期待を高めていたことを明かす。そしてドキュメンタリー作品をソフト化するにあたり、ボカシを入れるよう要求されることが多いのに対し、「『FAKE』は(映像が)そのまま。メーカーや作り手の覚悟を感じました」と指摘。森は「ボカシやモザイクが入るのは、誰かが見せてはいけないと判断したから。でも当の本人たちはその言動に誇りを持っているかもしれない」と前置きし、「世界中で日本のメディアが一番モザイクが好き。でももっとモザイクの使い方はデリケートでなければいけない。そういう意味でこの作品にはモザイクもボカシもありません」と持論を述べる。

ディレクターズカット版については、森から「大きく言うと3つのシーンが加わりました」と説明が。佐村河内と交流のあった盲目の少女が「思いを語るというのは表情でも伝えること」と話すシーンの話題では、松江が「泣きそうになりました」と感想を伝える。また森がマイクをオンにし忘れていたシーンの話になると、「(森の過去作)『A』でも同じことがありましたよね」と松江。その指摘を受け、森が「どう考えても使えないシーンだったけど、音がない世界を体験してみましょう!という大義名分になるのではと(笑)」と返すと、松江は「森さんってそういう部分を隠さないですよね」と投げかける。「理論武装してるからこそできること。隙があるフリしてるだけです」と強がる森に、松江は「そういうところが萌えポイントなんですね」と深くうなずいてみせた。

そして松江は、本作の関係者試写後の打ち上げにて、森が「作品を作ってみんなに見せるのは楽しいな」と言っていたと回想する。森含む4人の監督が参加したドキュメンタリー「311」を除くと、森にとって「A2」以来およそ15年ぶりの単独監督作となった本作。森は「皆さんの感想や意見を聞いたり、楽しい1年でした」と、本作が公開された2016年を振り返った。また映像に対する創作意欲は尽きないようで、イベント後の取材では、森が「シナリオのあるドラマを撮りたいと思っています。いろいろ企んでますので、何かしらのめどが付いたら公表します。ジャンルは……ホラーということにしておいてください」と次回作について口にする場面もあった。

「FAKE」のDVDは現在販売中。

(c)「Fake」製作委員会

映画ナタリーをフォロー