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ジョニー・トー初のミュージカル映画、シルヴィア・チャンが製作の日々を振り返る

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シルヴィア・チャン

シルヴィア・チャン

本日11月26日、第16回東京フィルメックスの特別招待作品「華麗上班族」の上映が東京・有楽町朝日ホールで行われ、出演者でありプロデューサーでもあるシルヴィア・チャンがティーチインに参加した。

シルヴィア・チャンが脚本・演出を担当した舞台をベースにした本作は、「エグザイル/絆」といった香港ノワールをはじめ幅広いジャンルに挑んできた監督ジョニー・トーが初めて手がけたミュージカル作品。リーマンショック前後の時期を背景に、大企業に勤める社員たちの愛憎や悲喜こもごもを照らし出す内容で、シルヴィア・チャンは「欲望にかきたてられる中、人間が変わっていくことを描きたかった」と伝える。

舞台を映画化したいと持ちかけたのはジョニー・トーからだったといい、シルヴィア・チャンは「はじめは冗談かと思いました。だって私が監督をしたかったから」と笑った。2人は時間をかけて多くのことを話し合ったそうだが、まず決まったのは“大都会”を舞台にするということ。香港でも上海でもない“大都会”ではさまざまな言葉が飛び交うと想定し、俳優には自分の話す言語を使うよう指示したという。また透明に作られた近未来的なオフィスのセットは、ジョニー・トーの提案によるものだとシルヴィア・チャンが明かす。「現代ではある種、人間にプライバシーがない。みんなが何をやっているか、考えているかを知っているような」とセットに込めた意味を解説。さらにオフィスに作られた巨大な階段については上昇志向の象徴であり、鉄でできた網は人間が檻の中の動物に見えるようにしたと言及して、ウォン・カーウァイ作品で有名な美術監督のウィリアム・チャンに感謝した。

本作は、ジョニー・トー、シルヴィア・チャンと「過ぎゆく時の中で」などで組み、ともに1980年代の香港映画界を盛り上げてきたチョウ・ユンファの出演も話題に。彼と久々に同じスクリーンに収まったシルヴィア・チャンは「もちろんお互いいろいろ変わりました。変わらないのは、2人とも相変わらず映画が大好きだということ」と述懐。またミュージカル作品であるにも関わらず、チョウ・ユンファが「殺されても歌いたくない」と主張したことを打ち明けて笑いを誘う場面も。シルヴィア・チャンは「彼の撮影時間はきっちり決まってたんです。オーバーすると追加のギャラが発生するから」と笑いながら、「でもなかなか現場を離れなくて、『やっぱり現場が好きなんだな』と思いました」と言葉を続ける。そして「一緒のシーンが少なかったから、また機会があれば別の作品を撮りたいです」と再共演に意欲を見せた。

第16回東京フィルメックスは11月29日まで開催中。

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