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「あの日の声を探して」に寄せて大林宣彦が語る、フィクションの持つ力とは

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「あの日の声を探して」ティーチインイベントに登壇した、大林宣彦監督。

「あの日の声を探して」ティーチインイベントに登壇した、大林宣彦監督。

本日4月19日、「あの日の声を探して」の試写会が都内で行われ、本作に感銘を受けたという大林宣彦監督がティーチインゲストとして登壇した。

アカデミー賞受賞作「アーティスト」のミシェル・アザナヴィシウス監督が描いた本作の舞台は、ロシアに侵略された1999年のチェチェン。戦争で両親を亡くし、声を失った少年が懸命に生きていく姿を全編手持ちカメラの映像で捉えている。

「戦争を描くにはドキュメンタリーという手法もある中で、フィクションが持つ力とは?」という質問に、大林監督は「そもそも、映画っていうのは記録装置なんだ」と説明。「ただリアルな記録を見せても、それが拒否されれば風化してしまう」と人々が同じ過ちを繰り返しかねないことに警鐘を鳴らし、「フィクションには、“嘘から出たまこと”がある。たとえ絵空事でも、根も葉もあれば花が咲く。事実を超えた真実を伝えるのが劇映画というもの」と続ける。自身も「この空の花 ─長岡花火物語」といった作品で戦争や平和について伝えている大林監督は「感動したり、ときめいたり、映画を観るという喜びを感じながら後に続く世代の人たちに学んでもらわなければ」と映画作家としての使命を語った。

本作は1947年にユダヤ系ドイツ人であるフレッド・ジンネマン監督が制作した「山河遥かなり」から着想を得た作品。大林監督は「ホロコーストの孫世代が、未来に伝える手紙として映画という方法を使った」と話し、「この映画を観て1通の手紙を受け取ったと思い、それをもとに自分なりに問題を考えてほしい」とこれから映画を観る人に向けてメッセージを贈った。

「あの日の声を探して」は4月24日より全国でロードショー。

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