コミックナタリー Power Push - 「となりの怪物くん」ろびこ&「たいようのいえ」タアモ

もっとも旬な少女マンガ家ふたりが ガチ本音で共鳴するスペシャル対談!

恋愛以外のテーマも描いてみたかった

──そこらへん対照的なのも面白いですね。じゃあ逆に、ろびこさんからタアモさんに質問は?

ろびこ 「たいようのいえ」はざっくり言えば疑似家族もので、タアモさんのそれまでの作品とは結構違う路線だと思ったんですが、ずっと「こういうのが描きたい」って暖めてたんですか?

「たいようのいえ」より。(c)タアモ/講談社

タアモ ずっと暖めてたというのではないです。ただデザートに来る頃ちょうど、恋愛以外のテーマも描いてみたいと思ってたんです。それに、もっと広い年齢層に読んでもらえるお話を描きたいなと思って。

ろびこ なるほどー。疑似家族をテーマに描こうと思ったのは?

タアモ 家族っていうものが好きだからかな?「つながる」とか「つながり」とか大好きだし。とはいえ連載してる間にテーマがずいぶん恋愛寄りになってきたから、当時の気分とも少しズレてきましたね。

──せっかくなので、ろびこさんも、どんなお話を描きたくて「となりの怪物くん」を立ち上げたのか、教えてください。

ろびこ 実は私も「疑似家族もの」を提案してたんですよ(笑)。父と娘の。でもその企画はボツになって、「じゃあワイワイ明るい楽しい感じで」って方向転換した結果、高校生が主人公でワイワイってなった。

タアモ でも、ワイワイ楽しく、だけじゃ、この主人公2人にはならないですよね?

「となりの怪物くん」より。(c)ろびこ/講談社

ろびこ そうか、そうかもですね……。雫は連載の主人公だから、いちばん描きたい子にしたんです。すべてに対して距離を取っていて、どこか醒めてるような。

タアモ ハルくんは?

ろびこ ハルは……うーん(笑)。雫がそういう自分の世界以外を遮断しちゃってるような子なので、それを壊したり引っ掻き回してくれるような存在にしたいと思いました。予測不能で何をしでかすかわかんない人、みたいな。だけど彼の中にはちゃんと行動原理があるっていう。でも、いつもその彼なりの行動原理がわからなくなって、ネームでクドクドと悩むことになっちゃうんですけど。苦労させられっぱなしですね、主人公2人は。

──ふたりとも他人との接触に難があって、それが出会うことで、お互いをお互いが育て直すようなお話だなあと思って読んでいます。

ろびこ わあ、ありがとうございます。周りの子たちも含めて、どうしたらうまくいくのかな、いくといいなーって思いながら描いてますので、そう言っていただけると嬉しいです。えーと、今後もどうぞよろしくお願いします(笑)。

──はい。では、まだまだいろいろ聞きたいですがかなり長くなってきたので、それぞれの作品の立ち上げについてきれいに話が出たところで、そろそろ対談を終えたいと思います。締めとしてですね、先ほどお聞きした互いの作品のお気に入りキャラを、ご自身の画風で描いていただくなんて、できますでしょうか。無茶を言いましてスミマセン。

ろびこ 喜んでー。じゃあ私から、ラジカルさんを。アナログで鉛筆絵なんて久しぶりだなー。

「たいようのいえ」よりラジカルさんを下描き中のろびこ。

タアモ ………わ、ろびこ絵になってる。感動的! デジタルでもアナログでも上手い人は上手いってことですね。

ろびこ いやいやいや。そんなほめんでくださいよ(笑)……ってとこでできたー! バトンタッチです。

タアモ えーじゃあ雫ちゃんを。……うわ、あかん、飲み過ぎたわ。……わ、ほらダメやわー。……あーもう、やり直せんかなこれ。

ろびこ タアモさん、いつもそうやって独り言言いながら描いてるんですか?(笑)

タアモ いつもなかなかうまく描けなくて、どんどんヘコんでくんですよ(笑)。ぶつぶつうるさくてすいません。

「となりの怪物くん」より水谷雫を執筆中のタアモ。

ろびこ いや、面白いです(笑)。………わー、タアモさんの目で雫になってる! かわいい!ありがとうございます!

タアモ こちらこそありがとうございます。

2人 これで大丈夫でしょうか?

──ありがとうございます。バッチリです。では、最後にコミックナタリーの読者の皆さんへ一言ずつお願いします。

ろびこ この度は対談企画をどうもありがとうございます。コミックナタリーさんで対談なんて嬉しいです。いつもコミックナタリーさんをご覧の皆さんにも喜んでいただけますように……。

タアモ コミックナタリーさんには私も読者としてお邪魔しているので、いつも私が読者として楽しませていただいてるように、皆さんにもこの対談を楽しんでいただけたら幸いです。

──今日はどうもありがとうございました。

2人 こちらこそ、今日はどうもありがとうございました。

ろびこ画「たいようのいえ」よりラジカルさん(左)と、タアモ画「となりの怪物くん」より水谷雫。

ろびこ / 「となりの怪物くん(8)」 /  2011年10月13日発売 / 440円(税込) / 講談社

あらすじ

となりの席の吉田くんは入学初日の流血事件以来、一度も学校に来ない…。自分の成績にしか興味のなかった水谷雫はたまたまプリントを届けたため、その吉田春に勝手に友達認定されてしまう。しかも、春の純粋さを知って優しく接すると今度は告白までされちゃって…!?

冷血女子×超問題児=笑いと胸キュンたっぷりの新感覚青春ラブストーリー♡

タアモ / 「たいようのいえ(4)」/ 2011年10月13日発売 / 440円(税込) / 講談社

あらすじ

子供の頃、むかいの基(ひろ)の家に入りびたっていた真魚(まお)。その家に行くと必ず元気になれたから。数年後…父の再婚で家に居場所のなくなった真魚は、両親を亡くして以来独りで家を守る基の家に住まわせてもらうことになったけど…!?

年の差幼なじみ2人の明るく切ない同居ラブストーリー♡

ろびこ

プロフィール写真

2005年にTHEデザート5月号にて掲載の「デメキンイック。」でデビュー。代表作はデザート(ともに講談社)で連載中の「となりの怪物くん」。鹿児島県出身。10月8日生まれ。A型。

タアモ

プロフィール写真

2001年にデラックス別冊少女コミック10月号(小学館)にて掲載の「てのひらをかさねて」でデビュー。代表作はデザート(講談社)で連載中の「たいようのいえ」。大阪府出身。1月26日生まれ。B型。